
象のダンス
- 作者: 魚住 直子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
「非・バランス」「超・ハーモニー」以降の作品を見かけたことがなかったので、とても楽しみに読み始めた。が、どうも前作ほど後味がさわやかでない。
前作同様、主人公ミスミの両親は、住居であるビルの1階に会社を構えながら仕事一辺倒で、
ミスミのことは全く気にもかけていない。15歳のミスミはお金だけを与えられ、食事はもちろんのこと、
身の回りの一切をひとりでこなさざるを得ない。 寂しさも不満もあっただろうに、それを訴えられる親子関係ではない。
仕事が忙しく、おもしろくなったからといって、こうまですっぱり子供を切り捨てられるものだろうか?
ずいぶん極端な気がする。 それほど自分だけがかわいいなら、子供など持たなければよろしい。
でもいるんだよね、こういう人。自分だけがいつも正しい。
親に大切にされているという実感のないミスミは、自分を大事にすることもできない。
誰に何を言われようと、どう思われようと、気にしない。自棄になるパワーもないほど、投げやり。
そんなミスミの心を初めて動かしたのは、写真をきっかけに知り合ったタイの少女チュアンチャイ。
貧しいながらも病気がちな母親をいたわりながら暮らすチュアンチャイを、ミスミはどれほどうらやましく思ったことだろう。 甘えること、期待することをいくら自分に禁じても、本当の気持ちはどんどん心からあふれてしまう。 だから優しくされるだけで、 しょうもない男にも引っかかってしまうのだ。
15歳。まだまだ考えも浅く、人を見る目も甘いけれど、チュアンチャイのように本当に心を通わせられる人はこれからもまだ現れるはず。 ミスミなら、こんな親でもその縛りから抜け出せるかな。