2007年10月29日

12歳たちの伝説 1 / 後藤竜二

12歳たちの伝説〈1〉 (ピュアフル文庫) [文庫] / 後藤 竜二 (著); ジャイブ (刊)

五年生の時からパニック学級だった一組が、六年一組に。
そこへ、馬鹿でかいゴリラのぬいぐるみに付き添われてやってきた若い女の先生がやってきた。
崩壊した学級が、この先生、通称ゴリちゃんによって、少しずつ変わっていく。

コンプレックスを抱え、家族や抗えない人との関係に心を重くし、いらつき、傷つき・・・
そういういろいろをしまいこんで、学校へやってくる子どもたち。
問題はひとつじゃないし、ひとりの先生の力だけで解決できるものでもないだろうけど、きっかけは大人が作ってやれるかもしれないと思う。
子どもたちの心の声に、やきもきしたり、はっとしたり。
小さな人たちの先を、願いを込めて見守りたい。
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2006年11月08日

にゃーこちゃん


にゃーこちゃん

にゃーこちゃん

  • 作者: 高橋 和枝
  • 出版社/メーカー: ブロンズ新社
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 単行本



ある日うちにやってきて、そしていってしまったキジトラのメスの、のら猫にゃーこちゃんのお話。
たるんだおなかをぼたぼた揺らしながら、散歩したり、えさを食べたり、昼寝をしたり。
うちにいるけどのら猫なので、わたしの知らない顔もたくさん持っている。
そして年をとったいつか、いってしまった。わたしの知らないところで。

単純な色使いで描かれるふてぶてしい面構えのにゃーこちゃん、そしてわたしとの日々は、これぞ猫!の世界。
誰を主人とおもねらない、そのそっけなさを何より愛する猫好きにはたまらない魅力です。
できるなら私も、にゃーこちゃんのように毅然と、さらりと、この世を去りたい。
なかなか猫のようにはいかないかもしれない、けれど。
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2006年06月01日

きりんゆらゆら / 吉田道子


きりんゆらゆら

きりんゆらゆら

  • 作者: 吉田 道子
  • 出版社/メーカー: くもん出版
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 単行本


これは児童書、ということになるのかな。でもすごく良かった。登場人物がとても魅力的。

三度目の転校となる5年生の新学期、荒太はクワガタくんという同級生が気になった。
今はほとんどしゃべらなくてみんなから何となく避けられているクワガタくんだが、その原因は半年前の交通事故にあることを知った荒太は、クワガタくんのことをもっと知りたいと図書館に向かう。

転校続きで、友だちというものに期待もせず、嫌われないよううまく立ち回ることばかり考えていた荒太が、どうにも気になった同級生。どうやらクワガタくんの事情を知っているらしい、いとこの高士にいちゃんは、「十八頭目のラクダ」になるんだなと応援してくれる。
この「十八頭目のラクダ」というエピソードが、おもしろい。
高校生から見れば、小学生が友だちのことで悩む姿なんてのはかわいく見えるんだろうが、この高士にいちゃんの距離の取り方が絶妙。子ども扱いもせず、かといって手出しもせず。
子どもには、自分の力ではどうにもならないことがたくさんある。
そんなことで何度も悲しんだり傷ついたりしたくないから割り切ろうと、クールを装う荒太が初めて、自分からぶつかっていこうとしている。これは応援したくなるよ。

そっとしておく、というのがいい時もある。でも、子どもが精一杯の思いから自分を閉ざしているなんてのは、いいはずがない。本当は、大人が何とかしなくちゃいけない問題だったと思うけど、同じ子どもだから、真正面からぶつかっていくことができたのかなとも思う。
心の底にしまわれたものの謎解きがあったり、実はけっこう重い内容なんだけど、ちょっと笑える誤解や荒太の明るさに、からっとさわやかな読了感が味わえた。
クワガタくんがかわいい、荒太も素直でいい、でも誰より高士にいちゃんの存在が光っている。
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2005年11月15日

海辺の王国

海辺の王国 [単行本] / ロバート ウェストール (著); Robert Westall (原著); 坂崎 麻子 (翻訳); 徳間書店 (刊)

第二次世界対戦中のイギリス、空襲により家族を一度に失った12歳のハリーは、おばさんのところへ預けられるぐらいならと逃避の旅に出る。
飼い主を失った犬のドンとともに、寝る場所や食べ物を探し、意地の悪い大人に立ち向かい、親切な人を頼り時には利用しながら、数々の困難を乗り越え成長していく物語。

戦時中という特殊な状況にあっても、子どもがひとりで自由に生きていくには、相応の困難が待ち受けている。 雨風をしのぐ家、温かな寝床、空腹を満たす食べ物、それらを全て自分の力で見つけなければならないし、 どこの誰とも知れない子どもを不審がる大人から、逃げなければならない。
時に絶望感に陥りながらも、それでもハリーは自分の力で生きていくことを選んだ。
苦難はあっても、それ以上に自由であることのすばらしさを知ってしまったのだ。
そしてこの人となら、と家族になることを望んだマーガトロイドと出会ったとたん、元の家族と再会することになる。

血の繋がった家族がいるなら、子どもであるハリーは家族の元に戻らなければならない。
離別前の親子関係がどうだったのかはわからないけれど、再会した家族はハリーが自分たちの知らない世界を持ち、 そこで成長したことにとまどい、憎しみさえ感じている。
ハリーは、いつか必ずマーガトロイドのもとに帰ろうと決意して物語は終わるのだが、見知らぬ他人を見るような目で血縁の家族を見続けなければならないハリーは、 幸せなんだろうか?
何ヶ月か離れて暮らしている間に、自分の世界を築き上げてしまった息子と、それが理解できない家族との齟齬はわかるけれど、 血の繋がった両親や妹と再会しても喜びどころか、後悔しか感じない少年というのはどうなんだろう?
親兄弟の方もずいぶん底意地悪く描かれているし、どうも後味が悪くていけない。
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2005年03月26日

そらまめうでて さてそこで



タイトルに惹かれて手にした児童書。
食べ物の話なのだが、時代物なのでチビにはちょっと難しいかな?ということで自分用に。

隠居したら、ゆくゆくは自分の食べるものくらい自分で作ってみたいと、縁あって知り合った料理人の七蔵のもとへ弟子入りした庄左衛門じいさん。 自分の知らないうちに料理の手ほどきを仕込まれた孫の舞とともに、料理の奥深さを知っていくという、おいしいお話。
ゆりねで作る「うづまきゆり」をはじめ、きちんと手をかけて作られるお菜の、おいしそうなこと!
料理の基本は、食べる人のことを考えて、いかにおいしく食べてもらえるか工夫すること。
そして食べる側も、その気持ちをくみ取ること。料理を介してやり取りされる気持ちが大切なのだと、改めて思わされる。庄左衛門さんが、なかなかかわいいおじいちゃんぶりで、好感。

ところでタイトルは、久保田万太郎氏の「たけこの煮、そらまめうでて、さてそこで」という名句から拝借したものだそう。時節にぴったり。
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2004年09月07日

緑色の休み時間 / 三輪裕子



伊勢英子さんによる表紙絵と挿絵も美しい、小学校上級からお勧めという児童書。
課題図書にもなったことのある本だそうだが、私は初読み。
回り道をしてきた分、大人になってからもお楽しみがたくさん残されているようで、うれしい。

小学6年生の広太は、夏休みに出かけたイギリスの北ウェールズの農場で、青い目の少年ランダルと出会い、冒険と友情のひと夏を過ごすこととなった。というお話。
何よりウェールズ地方の情景が美しい。 
青い空、広い農場、湖、ごつごつした岩山、古城。
素朴で温かい人たち。作者が憧れがそのまま伝わってくるようだ。
広太の男の子らしい無鉄砲さも、言葉が通じないランドルと試行錯誤しながら気持ちを通わせていく様子も、ほほえましい。
読んでいると気持ちはすっかり異国のの地へ飛び、青々とした広大な大地で馬を走らせたり、
カレンダーでしか見たことがないような古城の探検をしてみたいと、夢のように思う。
子供の頃読んでいたらきっと、もっと影響されただろうな。
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2004年07月05日

みどりのゆび / モーリス・ドリュオン


みどりのゆび (岩波少年文庫)

みどりのゆび (岩波少年文庫)

  • 作者: モーリス ドリュオン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: 単行本


どんなところにでも花を咲かせることのできる「みどりのおやゆび」を持った少年チトの物語。
他の子どもと違うチトの良さをわかってくれ、共犯者になってくれる庭師のムスターシュ。
こういう人物が、子どもにも、そして大人にも必要なんじゃないかな。
良くないことだ、間違っていると思っていても、どうしようもない、しかたがないと思ってしまうのが大人。 世の中そんなに簡単じゃない?そうかもしれない、けれど良いと思うことをやってみる勇気があれば、ほんの少しずつでも変わっていくかもしれない。 おとぎ話の中だけでなく。
私はみどりのおやゆびを持たないけれど、声を上げない命に耳をかたむけることだけは忘れないようにしよう。
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2003年03月05日

赤い蝋燭と人魚 / 小川未明


赤い蝋燭と人魚

赤い蝋燭と人魚

  • 作者: 小川 未明
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 単行本


酒井駒子さんの、いかにも夜の海を思わせるほの暗く妖しい雰囲気の絵に惹かれ、思わず手にとってしまった。神様に授かった子として大事に育てていたはずの老夫婦が、 人魚の娘が疲れ果てていくのも気にかけず、香具師に騙されたか大金に目がくらんだか売り払ってしまうというおろかさと、我が子を思う気持ちを裏切られた人魚の母親の恨み、 自責。黒々と襲ってくる。
人魚の娘はどうなったのだろう?嵐にあっても人魚なのだから、助かったのではないかと思うのだけど、その後も母親はひとりのようだし。ずいぶんと物悲しい話だ。
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2003年02月10日

子どもたちの森 / 岩瀬成子



伊勢さんの絵にひかれて読んでみた。
夢のような、夢でないような不思議なお話だった。

いつも一緒に遊んでいたとなりのみえちゃんが引っ越した。
みえちゃんは二つ年上で、時々わたしがやりたくないことを命令してやらせたり、いじわるなことを言ったりするけど 、わたしより何でも上手にできた。
お姉ちゃんみたいな存在だったんだろうな。ちょっと恐くて、ちょっと尊敬。
そしてわたしは、みえちゃんにもらった自転車を乗り回すうち、みえちゃんが内緒にして教えてくれなかった森のかくれがに迷い込む。
ビルの階段は、子どもだけが入れる不思議な森への入り口だったのだ。
きくちゃんはみえちゃんと離れ離れになって、そのぽっかりとした欠落感を自分でどう思えばいいのかわからなかったのかもしれない。
その何とも言えない気持ちを乗り越えていくために、森へ招かれたような気がする。

そういう、別れにともなって揺れる気持ちが描かれているのだと思うけれど、これを子どもが読んで何か感じることができるのだろうか?
それとも子どもなら何か響くものがあるのかな?
大人の私は、どう感じていいのかよく分からなかった。
でも伊勢さんの絵は、すてき。
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2003年02月09日

象のダンス / 魚住直子


象のダンス

象のダンス

  • 作者: 魚住 直子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本


「非・バランス」「超・ハーモニー」以降の作品を見かけたことがなかったので、とても楽しみに読み始めた。が、どうも前作ほど後味がさわやかでない。
前作同様、主人公ミスミの両親は、住居であるビルの1階に会社を構えながら仕事一辺倒で、
ミスミのことは全く気にもかけていない。15歳のミスミはお金だけを与えられ、食事はもちろんのこと、
身の回りの一切をひとりでこなさざるを得ない。 寂しさも不満もあっただろうに、それを訴えられる親子関係ではない。
仕事が忙しく、おもしろくなったからといって、こうまですっぱり子供を切り捨てられるものだろうか?
ずいぶん極端な気がする。 それほど自分だけがかわいいなら、子供など持たなければよろしい。
でもいるんだよね、こういう人。自分だけがいつも正しい。

親に大切にされているという実感のないミスミは、自分を大事にすることもできない。
誰に何を言われようと、どう思われようと、気にしない。自棄になるパワーもないほど、投げやり。
そんなミスミの心を初めて動かしたのは、写真をきっかけに知り合ったタイの少女チュアンチャイ。
貧しいながらも病気がちな母親をいたわりながら暮らすチュアンチャイを、ミスミはどれほどうらやましく思ったことだろう。 甘えること、期待することをいくら自分に禁じても、本当の気持ちはどんどん心からあふれてしまう。 だから優しくされるだけで、 しょうもない男にも引っかかってしまうのだ。

15歳。まだまだ考えも浅く、人を見る目も甘いけれど、チュアンチャイのように本当に心を通わせられる人はこれからもまだ現れるはず。 ミスミなら、こんな親でもその縛りから抜け出せるかな。
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