小心者ゆえに乱暴で、弱いものを支配しようとする父、そんな父に痛めつけられながらも、おもねる母。
父はいつも怒り、母はいつも不機嫌だ。矛先はいつも、三歳の春日に向かう。
近くにいる母方の縁者、父方の縁者さえ父にとっては怒りの対象で、春日にとって味方ではない。
やがて弟ができ、春日は幼稚園へ行くことになるが、いたぶられる相手が増えただけで、春日に
安息の日々はない。息をする回数を数えて時間を過す。
いつも自分だけが正しく、気分のままに接する人。繰り返し繰り返し綴られる虐待のバリエーション。
あまりにも痛ましい日々の中で、彼女はどうやって自分の価値を見失わずに育つことができたのか。
育つにつれ、春日は親を超えてゆく。
現状は変わらない。でも明らかに春日の目線は、親への憐憫と許しといたわりさえ含んでいる。
ああいう人間にはなるまい。その思いが春日を育てたんだろうか。
子として思いあたるふしもあり、親として身のちぢまる思いもあり。
子どもっていうのは不自由なものだなと、いろいろ思い出し思いいたる。
背け、春日。どんどん背いて、自由になれ。
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