2013年06月28日

ふがいない僕は空を見た

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫) [文庫] / 窪 美澄 (著); 新潮社 (刊)

R−18ということで何となく後回しにしていたけれど、後続が外れなしなので、これは読むしかないでしょうということでデビュー作。
うん、やはりこれも良かった。

語り手をそれぞれ変えた5編のうち最初の2編は、やっかいな恋愛にばかだなぁと思いながらも笑う余裕があった。
福田の『セイタカアワダチソウの空』あたりから、つかまれていく。
たたみかけるように起こる出来事に、心を削られていく福田が痛々しくて。
たとえ他の人にとって田岡さんがどんな人でも、福田にとっては、低く暗いほうへ流されていくはずだった自分をせき止め、引っ張り上げてくれた人だったんだよね。
人にはいくつもの面があって、いいとか悪いとかだけじゃないんだよなぁ
子どもを守りたいのに傷つけてしまう田岡さんにも、福田と同じく祈るような思いがする。

そして母です。これはもう、等身大。他人事な気がしない。
立場や環境は違えど、子どもと向き合い育てていくのは、いくつになっても迷いのなか。
たまたま子供が大きなつまづきもせずスムーズに育ちあがれば、これで良かったのかと思い、思いがけない方向へ向かってしまえば、何が悪かったのかと責めもする。
そのふたつに大きな違いはない。
ひとりの人間として生きているのだから、取捨選択のとりあえずの結果が目の前にあるだけだ。

しかしいいな、お産って。
そんなことを目の当たりにして育って、いい子が育たないわけないじゃない。
実際に同じ立場に置かれたらとんでもなく悩むと思うけど、きっと大丈夫。
行き辛さもバネにして、伸びやかに育っていけ。と思う。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 窪 美澄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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