2023年09月14日

 獣の夜

獣の夜 - 森 絵都
獣の夜 - 森 絵都

ものすごーく久しぶりの森作品は、日常に入り込んだほんの少しの非日常がぐらりと、あるいはゆるやかにその先を変える7編でした。
ドラマチックな展開に思わず二ヤリとする表題作をはじめ、ごくごく短いながらじんと沁みる話、情景に胸が痛む話もあるけれど、作者の真骨頂とも言える、立ち止まってしまった背をぽんと押してくれるような少し不思議であたたかな話が多かった。

てるてる坊主の話も後味は良かったのだけど、そこは手を出しちゃダメでしょという気持ちがぬぐえず、このファンタジーにはハマれませんでした。
『スワン』のふたりの馴れ初めも見てみたいので、本編の『ラン』が宿題。
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2006年07月31日

風に舞いあがるビニールシート    


風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本


自分にとって大切なこと。
それはいつどこで出会うものかもしれないし、人から理解されるものとも限らない。
それを守ることは幸せではなく、苦しみばかりを多くもたらすかもしれない。
そんな何かにこだわり関わって生きるひとたちの物語、6編。

アフガン難民問題を扱った表題の「風に〜」がテーマも重く、傑出している。
ビニールシートを捕まえに行った男は、幸せや愛というものをどう捉えていたんだろう?
泣いている人がいるのを知りながら、自分だけぬくぬくと安穏に生きることは考えられない。
彼にとって手を差し伸べているのはおそらく、彼自身。
そういう生き方しかできない人だったんだろう。
とても良かったんだけど、このテーマにしては、あっさりと短い。もっと読み込んでみたかった。

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2005年05月29日

いつかパラソルの下で


いつかパラソルの下で

いつかパラソルの下で

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/04/26
  • メディア: 単行本



厳格だった父を嫌って家を飛び出していた兄の春日とわたし野々は、父の一周忌を前に妹・花に呼び集められた。そして、父の死後、部下の女性から匂わされた浮気の話に自分達の知らない父の姿を見た兄弟3人は、父が決して関わろうとしなかった故郷・佐渡へ向かうことになった。

家の中では絶対的な存在で、どんなに理不尽だと思っても逆らうことができなかった父親。
家を出て自由を謳歌している兄と野々、親元にとどまり堅実な道を歩み続ける花、いずれにとっても父の思いがけない面は、とまどいとともに自分たちへの裏切りと感じたことだろう。
あんなにも押さえつけられ、楽しみを奪われ、その反動で今はせつな的にしか生きられないのに、自分はいったい何をやっていたの?父は本当はどういう人だったの?というわけだ。

父親の過去をたどる旅で3人は、頭上に重く君臨していた父が、決して完璧ではないひとりの人間として見えたことで、ようやく父親の呪縛から解き放たれ、誰のせいでもない自分の力でこれから先を始めることができるようになったのだと思う。
わかる気がするんだよなぁ。そういうの。ようやく許せたんだよ。きっと。
突然の事故死でなければ、もっと年とったおじいちゃんになるまで生きていてくれれば、いずれはどこかで、親を一人の人間として知り、許せる時が来たんじゃないかと思うけれど、もしかしたらいなくなって初めて気付くことなのかもしれない。

親の影響を受けない子どもはいない。でも、親がこうだったから、というのを言い訳にしてはいけない。お兄ちゃんの彼女が言うとおり、 ハタチも過ぎて自分の行動を親や育ちのせいにしているようでは情けない。
それは子どもの考え方だ。年を重ねてゆくなら、相応に中身も育てなければ。
家を離れてひとり立ちすれば、もっと早くに気付きそうな気もするけれど、野々がそのことに気付けたのは良かった。

一年たってもなかなか立ち直れなかったお母さん。それまでずっと、夫の価値観を受け入れてきたぶん、その信頼関係を覆す事実はショックだったろうけれど、きっと彼女は大丈夫。
唯々諾々と夫に従い続けてきたのではなく、自分だけは夫の味方であろうと決めていたように思う。確信犯なのだ。だから、「何なのよぅ。それは」という嵐が過ぎればきっと。

いつかパラソルの下で。その言葉をかみしめると、個人的には号泣しそうになるのだけれど、
その想いを悔いとしないで、先へ進むための礎としたところが、からりと明るくていい。
やっぱり私は、ハッピーエンドが好きだ。
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2003年04月01日

永遠の出口


永遠の出口

永遠の出口

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/03/26
  • メディア: 単行本


「永遠」という言葉にめっぽう弱い少女だった紀ちゃんが大人になってから思い起こす、小学校4年生から高校生までの、家族との関わりや彼女なりの事件。

小学校の高学年から高校まで・・・子どもから大人に片足突っ込んだくらいの年頃。
親は変わらないけど、庇護者でしかなかった親と対等に話せる部分も出てきたり、親しくなる友達も変わる。自分も変わる。大いに揺れ動く年頃だったな、と振り返ってみて思う。
そしてこの時期に出会い、別れた何人もの人に影響を受けて、今の自分があるのだと思う。
この本を読んで、いろいろなことを思い出した。子どもだからという理由で押し付けられる理不尽に、うんざりしていた子ども時代も思い出した。早く大人になって、自由になりたいと思っていた。でも、大人もそれほど気楽なものじゃなかったね。

紀ちゃんが恋をするくだりが、一番好きで一番胸が痛む。
思い当たることが大ありなのだ。私の16歳も、こんなふうだった。
一生懸命で、でも全然わかってなくて、みっともなかった。今から思うと、なんてかっこ悪いかったんだろうと恥ずかしくなる。
でも恋ってそんなもんだよね。自分と相手のことしか、時には自分のことしか見えなくなってしまう。
ああ、恋に限らないな。この頃のことは、何に関してもそうだった気がする。
でも、私も紀ちゃんと同じく、そういう自分すべて、かっこ悪くて情けなくてみっともない自分も全てひっくるめて、肯定したい。そうやって生きていきたい。
これは、特に良い話でも、よくできた話でもなかった気がする。けれど、とても好きな物語だ。
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2003年03月02日

DIVE!!4


DIVE!!(4) コンクリートドラゴン

DIVE!!(4) コンクリートドラゴン

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/08/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


『4−コンクリート・ドラゴン』
シドニーオリンピックの代表権を賭けた選考会に挑む、知季・飛沫・要一たち。
同じく600点の壁を打ち破るべく飛ぶライバルたちの中で、好きでなければできない、けれども好きなだけでは到底なしえない高みに向かう少年たちに、胸が熱くなった。

スポ根もの、しかもダイビングだなんて、きっかけがなければ手に取ることもなかっただろう。
結果はそうなるだろうと想像したままの形で、期待どおりだったことに、やっぱり・・・という思いと、そうこなくちゃという思いが半々。
それでも、恵まれた才能を持つ全く違ったタイプの3人が、それぞれ親や恋人、自分自身と向き合う中で、様々な逡巡やわだかまり、不安を断ち切り、一点だけを見つめてまっすぐに進む生き方には、どれほど物語ができすぎであっても、やはり感動してしまう。
鍛えれば、人の心はこれほどまでに強くなれるのだ。大人だって負けてはいられませんよ。
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2002年09月08日

カラフル


カラフル

カラフル

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 1998/07
  • メディア: 単行本


大きな過ちを犯して死んだぼくの魂は、あの世で抽選に当たり、再挑戦のチャンスを無理やり与えられることになった。 下界で体を借りることになったのは、小林真という冴えない中3だった。
天使プラプラのおせっかいと助言を受けながら、仕方なくいつまで続くかわからない修行の道を行くぼくだったが・・・

真の自殺の原因だから伝えないわけにはいかなかったのだろうが、初恋の相手は援助交際、母親は不倫、父親は自分勝手、などという予備知識を持たせたため、ぼくと家族の付き合いがギクシャクしたスタートになってしまったのではないか?という気はした。
ともあれ学校では、以前と違って明るい真に、どこにでもいる普通の子になってしまったと嘆く佐野唱子以外、受けは上々で友達もできた。 どうせこの体と一生付き合うわけではないという気楽さが、彼が本来持っていたのに自分で閉じ込めてしまっていたいい面を、解き放ったのだろう。

父も兄も、不器用だが真のことを思う気持ちは本物。 
母はあまりにも子供っぽくて、才能もなく努力も実らない我が身を不幸がっているという勘違い人間だが、彼女なりに一生懸命であることは間違いない。
彼女もまた、まだ自分育ての時期なのだろう。
真は死を早まりすぎたのだ。 
もっとも、死ぬ勇気があるなら何だってできるじゃないか、などと言うつもりはない。
時には逃げてもいい。 
自分が壊れてしまうくらいなら、逃げたって隠れたっていいと思う。
でもいつまでも逃げ続けるわけにはいかない。 
どこかでオトシマエをつけなければならないのだ。

臆病だったり不安だったり、情けなかったり。
そんなのは、大人になったって変わらずにある。
「しぶとく生きろ」 
ずいぶんと軽そうな天使だったが、このエールはすばらしい。
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カラフル


カラフル

カラフル

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 1998/07
  • メディア: 単行本


大きな過ちを犯して死んだぼくの魂は、あの世で抽選に当たり、再挑戦のチャンスを無理やり与えられることになった。 下界で体を借りることになったのは、小林真という冴えない中3だった。
天使プラプラのおせっかいと助言を受けながら、仕方なくいつまで続くかわからない修行の道を行くぼくだったが・・・

真の自殺の原因だから伝えないわけにはいかなかったのだろうが、初恋の相手は援助交際、母親は不倫、父親は自分勝手、などという予備知識を持たせたため、ぼくと家族の付き合いがギクシャクしたスタートになってしまったのではないか?という気はした。
ともあれ学校では、以前と違って明るい真に、どこにでもいる普通の子になってしまったと嘆く佐野唱子以外、受けは上々で友達もできた。 どうせこの体と一生付き合うわけではないという気楽さが、彼が本来持っていたのに自分で閉じ込めてしまっていたいい面を、解き放ったのだろう。

父も兄も、不器用だが真のことを思う気持ちは本物。 
母はあまりにも子供っぽくて、才能もなく努力も実らない我が身を不幸がっているという勘違い人間だが、彼女なりに一生懸命であることは間違いない。彼女もまた、まだ自分育ての時期なのだろう
真は死を早まりすぎたのだ。 
もっとも、死ぬ勇気があるなら何だってできるじゃないか、などと言うつもりはない。
時には逃げてもいい。 自分が壊れてしまうくらいなら、逃げたって隠れたっていいと思う。
でもいつまでも逃げ続けるわけにはいかない。 どこかでオトシマエをつけなければならないのだ。
臆病だったり不安だったり、情けなかったり。そんなのは、大人になったって変わらずにある。
「しぶとく生きろ」 ずいぶんと軽そうな天使だったが、このエールはすばらしい。
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2002年06月17日

DIVE!! 1〜3


DIVE!!(1) 前宙返り3回半抱え型

DIVE!!(1) 前宙返り3回半抱え型

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


『1−前宙返り3回半抱え型』
ミズキダイビングクラブ(MDC)に在籍する、冨士谷コーチの息子でありクラブのエースでもある高1の要一、中2の知季・陵・レイジ。 シドニーオリンピックまであと1年半という時期、つぶれかけのMDCを守るため、元ミズキ会長の孫娘・麻木夏陽子がコーチとしてやってきた。
夏陽子が引っ張ってきた、海でしか飛ばない津軽の沖津飛沫も加わって、オリンピックを目指すため、北京で行われるアジア合同強化合宿の選考会に向けての挑戦が始まった。

DIVE!!(2) スワンダイブ

DIVE!!(2) スワンダイブ

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



『2−スワンダイブ』
3人という枠をめぐって開催されたアジア合同強化合宿参加選手選考会。
大スプラッシュで順位を下げながら観客の注目と拍手を独り占めにした飛沫は、不幸で不運だったと思い込んでいた祖父の思いを知り、飛沫へのライバル意識を完璧な演技に昇華させた要一は1位、3回半に成功した知季は4位となった。   3人目の選手として中国飛び込み界の権威・孫コーチが飛沫を推したが、腰を故障していたためコーチ陣が辞退し、知季に順番が廻ってきた。
オリンピックへの夢がついえ、故郷へ帰った飛沫のもとに、強化合宿から戻った要一と知季が転がり込み、再び東京に戻った飛沫は、美しく力強いスワンダイブへ挑戦することになる。

DIVE!!(3) SSスペシャル’99

DIVE!!(3) SSスペシャル’99

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


『3−SSスペシャル’99』
例年の選考会を待たずに内定したオリンピック出場選手のひとりとなった要一は、喜んだのもつかの間メダルを取るために寺本の安全パイとして選ばれたことを知り、初めて練習を休み、
スランプに陥ってしまう。
スランプ脱出のため、日水連の前原会長と会い、オリンピックを自分のものにするための試練を科す決意をする。 そして放棄した選考会で、果敢に4回半に挑戦して敗れた知季を目にし、自分も前宙返り2回半・名づけて「SSスペシャル’99」に挑戦するため、夏陽子に協力を依頼する。
 
欲もなく、ただ友達と一緒に飛ぶことが楽しかった知季が、素質を見出され、自覚していくなかで、仲間や彼女と勝負の間で揺れ動きながら、「選ばなかったこと」を乗り越えていく様子が、すがすがしい。
こういうとぼけたキャラクターは大好きなのだが、彼がどう化けていくのか、わくわくする。
そして血筋や環境の良さにくさることなく、人一倍の努力でそれを実力としてしまう要一の精神力はすごい。  優等生タイプの要一が、迷ったり落ち込んだりして、そんな自分にとまどうあたりが、
できすぎでなくていい。  まだ中高生なんだよね。 
重たい蘭の鉢を抱えて知季の見舞いに行き、成長しつづける知季に闘志を燃やして、またその鉢を持って帰るところなど、好きなシーンがいっぱいある。 
3巻まで一気に読んでしまって、「しまった。まだ続きがあったんだ…」と、とてもがっかりした。
スポコン物ということで、ちょっとお話がうまく行きすぎという感はあるけれど、やはり応援する知季や要一、飛沫たちには、結果を勝ち取った誇らしい笑顔を見せて欲しい。 
ライバルという名のかけがえのない友人を得た彼らの先が楽しみだ。
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2002年06月02日

アーモンド入りチョコレートのワルツ


アーモンド入りチョコレートのワルツ

アーモンド入りチョコレートのワルツ

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/10/18
  • メディア: 単行本


3つのピアノ曲にちなみ、13〜15歳の二度と戻れないかけがえのない季節をつづった3編。
『子供は眠る』 シューマン<子供の場景>より
章くんの呼びかけで、5年前から夏休みになると章くんちの別荘で合宿生活をしていた、ぼくと智明・ナス・じゃがまるのいとこ達5人。 毎晩聞かされるクラシックのピアノ曲には閉口したけれど、一番楽しみな夏の行事だった。 けれど今年初めて、章くんの言いなりになることに不満を覚えてしまったぼくは、陰で章くんの悪口を言い、事情を知らないじゃがまるに、僕たちのたくらみをすっぱ抜かれてしまった。
楽しいばかりではなく、どんなに後悔しても取り戻せない夏が、懐かしくて、ちょっと切なくて。
見た目以上にいろんなことを抱え込んでいた章くんが、いとおしくなる。
 
『彼女のアリア』 バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>より
中3の秋、突然不眠症にかかってしまったぼくは、逃げ込んだ旧校舎の音楽室でひっそりピアノを弾いている藤谷に出会った。 同じく眠れないという藤谷の、ぼくより悲惨な家庭事情に同情したが、やがてぼくは藤谷の虚言癖に気付いてしまった。
旧校舎などという隠れ家のある学校!なんてすてきなんだろうと思った。
そんな学校に通っていたら、病気じゃなくてもきっと逃げ込みたくなるだろうな。
優しさと裏切りと、ほのかな恋心をはぐくんだ旧校舎は、卒業とともに、二度と立ち入ることのできない場所となってしまう。 甘酸っぱい思いがこみ上げてくる、一番好きな物語。
 
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 サティ<童話音楽の献立表>より
風変わりなお気に入りの絹子先生のもとに、ピアノのレッスンに通っている私と君絵。
ある日レッスン室に現れた白い肌と緑の瞳のステファンは、絹子先生の最愛の人サティにそっくりだった。
ピアノのレッスンに通いながら「うたうほうが好きだから、うたう」君絵という少女が、いい。
またそれをなんでもないことのように受け入れてしまう絹子先生も、タダ者ではないね。
嵐のようにかき回して去っていったサティおじさん、静かな目をした絹子先生が印象的。

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2002年05月24日

つきのふね


つきのふね

つきのふね

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/06/24
  • メディア: 単行本


中2で加わったグループに誘われ、万引きを繰り返していたさくらと梨利は、ある日ついにスーパーで捕まり、梨利だけが逃げた。 
それ以来口を利かなくなった二人を見て、ずっと梨利の追っかけをしていた勝田くんは、何とか元のふたりに戻ってほしいとちょっかいを出してくるが、捕まった時、梨利を巻き添えにしようとした自分の裏切りが許せないさくらは、グループにとどまり、どんどん堕ちていく梨利を助けることができず、店からこっそり逃がしてくれた智さんの部屋へ逃げていた。
智さんは、人類を救う宇宙船の設計をしている変わった人だが、少しずつ心を病んでいく様子を見かねてさくらと勝田くんは、人類を救うという古文書をでっちあげたりした末、ウィーンにいる智さん唯一の友人らしい露木さんに、SOSの手紙を出すことにした。
 
中学生向けの本を読んで、何を感動してるんだろなぁ。私は。
確かに10代後半って、先が見えなくて、自分が何者になれるのかもわからなくて、でも夢みたいな夢を抱くほど無邪気でもなくて、自分を持て余していた気がする。
でも、自分の中のもろさや自信のなさに不安を感じたり、それでも自分をふるい立たせて何とか生きているというのは、大人だって同じだ、と思う。
そう言えば以前子どもの中学の先生に、「強い子どもさんですか?」と聞かれ、返答に困ったことがある。
だって強いとか弱いとか、一言で言えるものじゃないでしょう?
強そうに見えても、実はギリギリのところで歯を食いしばっているのかもしれないし、弱そうでも最後の一歩を流されずに踏みとどまる力強さを持っているかもしれない。
どうにでもなってしまう不安がある一方、何にでもなれる可能性を持っているのだ。
ひとりでは生きていけない、かもしれないけど、自分の人生は自分ひとりで生きていくしかない。
そんな大きな思いが伝わってくる気がした。

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