2018年10月28日

 師弟の祈り

師弟の祈り 僕僕先生: 旅路の果てに
師弟の祈り 僕僕先生: 旅路の果てに

ついにシリーズ最終巻。
既刊で登場した(のであろう)人や神が再登場し、人と神仙の争いの中でそれぞれの道を選んでいきます。
魃とのエピソードが印象的だったから、彼女が孤独から解放されるといいなぁとは思っていたんだよね。
しかし長く続いたシリーズだけに、名前も背景もうろ覚えとなってしまった登場人物が多く、とにかく総ざらえで始末をつけていく感じでした。

ほのぼのとした旅物語の行き着く先は、王弁と僕僕ふたりでつくる新天地ということのようです。
ならばもっと晴れやかな気持ちになっても良さそうなんだけど・・・王弁と僕僕の関係を筆頭にいろいろ急展開で、気持ちが付いていかないみたい。
人間と仙人が共に生きる方法が、どうあって欲しかったのかはわからないけれど、たぶんその先のふたりが想像できない終わり方だったから、少し寂しい気がするのかも。

まぁともあれ、個性的な面々との道行きを長い間楽しませてもらいました。
お疲れ様。
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2015年09月27日

 恋せよ魂魄

恋せよ魂魄 僕僕先生 -
恋せよ魂魄 僕僕先生 -

さらわれた両親を追って劉欣は長安に向かっていた。
僕僕たち一行もその後を追っていたが、途中の村で病に弱っていく少女タシと出会い、王弁が薬師として治療にあたることになった。

前作で、旅を終えた仲間と入れ替わりにデラクが加わって、女性(?)達にたじたじ気味の王弁。
でも王弁、成長したねー
未熟ながら薬師としての自信や、熱意はあっても思いのまま突っ走るだけではないことを身につけはじめたようです。
誰かを救うということにも、それぞれに是非や方法があるということ。
それが自分の願う結果でなくても、受け入れなくてはならない時もあるということ。
痛みもまた彼を成長させていくのでしょう。

劉欣と旋の道行も、切ないものになりました。
僕僕の、旅の主役は今や王弁自身だという言葉。
その先にあるものが、幸せであってほしいと願わずにはいられません。
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2015年01月20日

 つちくれさん

つちくれさん -
つちくれさん -

刑事の福沢が定年退職となる勤務最後の日、古墳の発掘現場で女性の奇妙な死体が発見された。
現場で「つちくれさん」と呼ばれる考古学者・瀬尾とその弟子・明子に出会った福沢は、彼らとともに謎を追う。

定年近くなって考古学に興味を持ち始めていた老刑事と、何を調べるにも、土をくれとせがむことから「つちくれさん」と呼ばれる考古学者。
分野は違っても、見えていることから見えない部分を探るという点は同じ。
一つ道を長年歩んできた者同士から紡がれる、落ち着いた雰囲気のミステリ。

考古学や発掘というのは、個人的に興味のあるテーマなのです。
発掘されたものが表すことがそのまま真実とは限らず、その裏に隠された意図を読み取ること。
歴史を知るってそういうことでしたね。
事件そのものよりも、人生のベテラン陣や痛快な明子嬢といった人物像が魅力的でした。
派手さはないけど、こういうのもけっこう好き。
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2014年09月25日

 仙丹の契り

仙丹の契り 僕僕先生 -
仙丹の契り 僕僕先生 -

程海での騒動のあと僕僕たち一行は吐蕃に向かう。
吐蕃の王子ドルマが国を離れていた間に、王は病み、王位をめぐって様々な力関係が暗躍していた。
王の病を治すには、僕僕と王弁で仙丹を作らなくてはならないという事態に・・・

まずは、長く旅を共にしてきた仲間との別れ。
薄妃は身体も心も人に戻りはじめているし、劉欣へ想いを寄せる蒼芽香は自分に磨きをかけるため程海の紫蘭のもとに留まることに。
それぞれに目的や居場所を見つけて発ってゆく、僕僕たちの旅は心地よい巣みたいなものなのかもしれません。

そしてさまざまな勢力争いまっただ中の吐蕃。
王家の跡継ぎ問題に列強国からの茶々入れもあり、波乱含みの政に王弁もしっかり巻き込まれる、の巻。
劉欣には甘ちゃん呼ばわりされ、僕僕からは「底の抜けた鍋」という意味深な異名を賜る。
さあ!と迫られて、状況が雰囲気がとじたばた及び腰になるあたり「女子か!」と突っ込みたくなる、まあ相変わらずの王弁ではあります。
でも彼の気持ちのままに動くところや、人を信じやすいところは、ある意味大物?なのかも。

新たにひとり、旅の仲間に加わるようです。
なかなか頼もしいキャラで、王弁をどやしてくれそう。
次に目指すは長安。楽しみです。
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2013年09月10日

童子の輪舞曲

童子の輪舞曲 僕僕先生 [単行本] / 仁木 英之 (著); 新潮社 (刊)

シリーズ7冊目にして、キャラクター紹介やロードマップ、既刊のあらすじまで付いた、僕僕先生の外伝短編集。

海上の桃源郷に引き込まれたり、第裡奴が恋の季節を迎えたり、市井に落ちた神鏡が騒動を巻き起こしたりという独立した短編プラス、僕僕先生と王弁が時を超え現代にあらわれる異色の一編。
シリーズを追いかけている読者にとっては、そうそう、こんなふうに登場人物が増えていったのよねとふり返るのも楽しい一冊。
ちなみにシリーズの既刊では、『さびしい女神』が一番好き。
ですが、やはりおもしろかったのは現代版。こういうのもアリですなぁ
僕僕先生は王弁が感じているよりずっと、彼のことを大事に思っているのかもしれないね。
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2013年06月11日

くるすの残光 いえす再臨

くるすの残光   いえす再臨 [単行本(ソフトカバー)] / 仁木英之 (著); 雪村 (イラスト); 祥伝社 (刊)

天海に奪われた、天草四郎ゆかりの七つの宝を探し求める島原の生き残りたち。
前巻で槍を取り戻した寅太郎たちは、江戸で待つたまたちの元へ戻ってきたと思いきや、今度は東北へ。
寅太郎は城の名木を甦らせる仕事で呼ばれた庄吉と同行、佐七は輿入れする姫君の友となる人形を所望されて、ともに仙台城へ向かった。
しかし彼らの行く手には、奇蹟を起こす少年を擁し、切支丹のため決起しようとする者たちがいた。

天海として生まれ変わった男、国と家臣を守るために最前の道を選ぶ正宗、命がけの生活によりそう信仰を守りたい製鉄集団。それぞれに正義がある。
同じ信仰を持つ者同士でさえ、争わなければならないというのが悩ましい。
それもどうやら裏で天海の影が見え隠れしていて、選びようのない底辺にいる少年を利用するようなこの狸坊主を超えられるのかと。
超えたとしてその先に、寅太郎たちの願う世界があるのかと、先が読めなくて不安ではあります。

寅太郎のジャケ買いだった当初、もっとファンタジー要素が大きいものかと思っていたのだけれど、思いのほか硬派な歴史ものの感触。
歴史小説って苦手意識があるんだけど、でも描かれるそれぞれの人間味に惹かれて楽しんでます。

今回はなんといっても、佐七に寄せる姫の想いと、それに応える祈りが切ないよね。
佐七、いいなぁ。名前からして何となく。
大いなる目的を持っているとはいえ彼らも人の子。
荘介といちは同朋だからまだしも、寅太郎ときよはどうなるんだろうね・・・ってなところも気になるし。

さて次は、荘介が長州へ。
仁兵衛の表情は険しく、次も波乱含みの予感ですよ。
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2012年07月18日

鋼の魂

鋼の魂 僕僕先生 [単行本] / 仁木 英之 (著); 新潮社 (刊)

僕僕先生の一行は、前回の光の国の一件で同行することになった蒼芽香を加え、雲南へ。
そこで出会った、敵同士の宋格之と紫蘭が孤児たちを育てる町が、戦火に巻き込まれそうになる。
襲い来る勢力をはねのけるため僕僕先生たちは、宝だとされる伝説の神を探すことになった。

立ち寄る先で次々とメンバーを増やしつつ、僕僕先生たちの旅も6弾目。
中国を南へ縦断中の行く先々でトラブルに巻き込まれるのだけど、そこでの奮闘が、王弁の仙人修行にもなっている、んだかどうだか・・・
僕僕先生の香りによろめいては、ちくちくとやりこめられる王弁は相変わらず。
蒼芽香に妙になつかれている劉欣の、面倒がりながらも悪い気はしていない様子もほほえましい。
いつまでもこの、ほのぼのとした旅が続くといいなぁ
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2011年06月10日

先生の隠しごと

先生の隠しごと―僕僕先生 [単行本] / 仁木 英之 (著); 新潮社 (刊)

蚕嬢の結婚式をあとに再び旅に出た一行は、諸人の王ラスクのもと蛮夷と呼ばれる人たちが自由に暮らす国の噂を聞き、訪れることに。
人々に敬愛される若くきさくな王、苦役もなく人々が笑顔で暮らす理想郷のように見えたが、王弁たちは胡散臭さを拭いきれない。
しかしただ一人僕僕だけは、ラスクの理想に心を動かされていく。

僕僕は長いあいだ孤独だったのだな。
全てを滅ぼす神としての過去が、仙人となった今でも彼女の心の内に重たくあるんだろう。
思い出に引きずられたり迷ったり声を荒げたりと、仙人らしからぬ僕僕の一面が見えた。
王弁も旅の初めの頼りなさを思えばずいぶんと活躍するようになったけど、僕僕の抱える重さを受け止めるには、まだまだがんばらないと・・・だなぁ
大切なつながりを過去のものとして先へ進む僕僕に、ちょっとしんみり。

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2010年05月22日

さびしい女神


さびしい女神―僕僕先生

さびしい女神―僕僕先生

  • 作者: 仁木 英之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 単行本


大陸を南に下る旅を続けている僕僕たちは、梧州で同行することになった蚕嬢の故郷・苗族の国に向かう。
そこで起こっている異常な旱魃が、風変わりな女神・魃の影響だと知った王弁は解決のため奔走しようとするが、なぜか僕僕に止められる。

大小の事件に関わっては旅の道連れをひとり、またひとりと増やしていく道中。
今回もそんな延長かと思っていたら、これまであまり進歩も準主役の貫禄もなかった王弁がめずらしく大活躍、そして謎めいた僕僕の一面に迫る展開だった。

戦いに利用され、用が済めば存在そのものが悪と封じ込められた女神。
関わるべきではない存在、というのは、僕僕自身にも向けられた言葉のようだ。
美少女仙人の姿からは想像できない、破壊神の姿・・・僕僕は、どういう存在なんだろう?
さびしいのは魃だけではないのかもしれないね。
人も神も古今東西、愚かしい過ちを繰り返しているのだなぁ

劉欣のさりげない心配りで薄妃もようやく少し元気になってきた。
さてこの一行の先は?楽しみだ。
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2009年06月02日

胡蝶の失くし物


胡蝶の失くし物―僕僕先生

胡蝶の失くし物―僕僕先生

  • 作者: 仁木 英之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: 単行本



旅を続ける僕僕先生に、秘密暗殺者集団「胡蝶」から刺客が向けられた。
目的必殺、命令遵守の刺客・劉欣だったが、どうにも今回のミッションは調子を狂わせられる。
一方、薄妃もようやく人型を保てるようになり、愛しい人との再会に向かうが・・・という第3弾。

旅路は続き、1巻ごとに道連れが増える。
とはいえ劉欣も暗殺をあきらめたわけではなく、彼自身も危うい身の上。
飄々とした僕僕先生は相変わらず、王弁もさして進歩なく。薄妃は元気になるだろうか?
気になることを増やしつつ、次巻が楽しみになる。
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