2007年11月24日
緑の模様画
『小公女』をきっかけに仲良くなった、まゆ子・テト・アミの3人。
何度も出会う茶色い瞳の青年、不幸があった塔の家にまつわる謎、寮母さんの思い出話・・・いくつもの小さなできごとを重ねながら、やがて『小公女』と少女達はさらに、ひとりの老人の思いを呼び覚まし、時を超えた縁を紡ぐ。
思いがけない不遇の中にあっても、自尊心と思いやりを失わなかった少女セーラの物語。
その物語を通じてお互いに共感しあったり、自分にはないものを見つけたりして、仲良くなっていく3人の少女たちが、とても生き生きとしてほほえましい。
特にテト。小公女」より「十五少年漂流記」のほうが好きだという彼女の、さばさばとした男気のあるところがとても好き。
もちろんそれぞれ、胸に屈託も秘めている。
まゆ子は登校拒否で何もかも投げやりになっていたし、アミは両親が居ながら寮制の中学に入れられた過程があり、テトは舎監の母と男性教師の仲が気になっている。
心も身体も大人になりかけている彼女たちは、友達とであえたことを素直に喜ぶ一方、茶色の瞳を持つ不思議な青年の出現に、口にできない小さなささくれを生む。
けれどそれは、彼女たちのみずみずしい力が不思議で安らかなできごとを導いていたというあかし。
そこにたどり着くまでに、寮母の森さんのおおらかな温かさが大きな助けになっている。
親でも教師でもない、頼れる大人がいるってことはすてきだね。
誰にでも、ラムダスの魔法が訪れるわけではない。
でも、気づかなくても誰かが見守ってくれているんだという思いは、きっと人を強くする。
自分を過小評価するな。その言葉も印象に残る。
2006年09月24日
わたしたちの帽子
2005年07月27日
いたずらおばあさん
![いたずらおばあさん [単行本] / 高楼 方子 (著); 千葉 史子 (イラスト); フレーベル館 (刊) いたずらおばあさん [単行本] / 高楼 方子 (著); 千葉 史子 (イラスト); フレーベル館 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51m1axwynhL._SL160_.jpg)
洋服研究家エラババ先生の講義後のお茶のパーティで、エラババ先生からこっそり自宅の地図と訪問のしかたを書いた紙きれをわたされたヒョコルさん。
翌日訪ねたエラババ先生の家で、若くなる秘密の服を発明したことを知らされる。
そして68歳のヒョコルさんと84歳のエラババ先生は、それぞれ秘密の服を着込み、 8歳の女の子になって外に飛び出した。
頭からすっぽり一枚かぶると1歳若くなる魔法の服。この発想がすごいよね。
そして、50歳くらいで十分若いのでは?としり込みするヒョコルさんに、「舌きりすずめのおじいさんみたいなまねはよしましょう!」と叱咤するエラババさんがすてき。
せっかく子どもに戻って思い切り遊べるのに、けちけち幸せの出し惜しみなんかしなくていいのよ、だって私たちはおばあさんなんだから。
その気持ちを思うと、夢のようなできごともちょっぴり切なく感じてしまう。
けれどエラちゃんとヒョコちゃんは、そんなさびしさをみじんも感じさせず、思い切り子どもの遊びを謳歌し、 8歳の気持ちと大人の知恵をもっていじわるな人たちをへこましてゆく。
もしも私が8歳に戻れたら…?子どもは不自由なことも多くて、早く大人になりたいと思っていたものだけど、あの身軽な体を取り戻せたら? ああやっぱり体がむずむずしてくるな。
子どもが読めばゆかい痛快なお話で、人生の残り時間を考えるようになった人が読めば、秘密の楽しみを共有し、受け渡す人ができたエラババさんの気持ちに、 じんとくるお話ではないかな。
2003年11月14日
十一月の扉
父親の転勤で転校することになった爽子は、たまたま見つけた「十一月荘」にすっかり一目ぼれしてしまい、2学期が終わるまでの2ヶ月ほど、 そこへひとりで下宿することに決めた。
そして住人との家族的な下宿生活の中で、今までやったことのない何かすてきなことをやり遂げようと、爽子は買ったばかりの大切なドードーのノートに、 お話をつづり始めるのだった。
夏に隣市の図書館で見つけ、11月になったら絶対読もうと決めていた本。
念願かなって手にしたものの、児童書だけに最後まで飽きずに読めるかしらと少々不安だったのだけど、読み始めてすぐ登場する誰も彼もを好きになってしまった。
だいたい中学生の下宿生活なんて、それだけですてきなことに決まっている。今だから微笑ましく読めるけれど、中学生の頃に読んだら、きっとうらやましくて仕方なかっただろう。
もちろんそれは、爽子を暖かく迎え気遣いながらも一人前として接する十一月荘の住人たちがいてこその、心地よい生活なのだけど。
自分の生活大事にしながらも人と関わることを楽しむ聡明で魅力的な彼女たちの中で、友達や母親との関係、自分自身のことを知ったり気付いたりし、 自分に厳しくあろうとする爽子がなんとも好ましい。
ほのかな想いを抱く耿介くんとの別れをさびしく思いながらも、それさえ明日からの希望につなげてしまう爽子の、2ヶ月でうんと大人びただろう横顔が目に浮かぶようだ。
ちょっぴり切なくて、まぶしいほど希望に満ちた、すてきなお話でした。
2003年06月07日
ルチアさん
2002年12月16日
時計坂の家
夏休み、6年生のフー子は、5歳の時に一度しか会ったことのない同い年のいとこマリカから誘われて、汀館の祖父の家に泊まりに行くことにした。
母が子供の頃からいるお手伝いのリサさんと、母が「気難しい変わり者」という祖父の住む家で、
フー子は、2階へ上がる階段の踊り場にある板を打ち付けられ窓となったドアを見つけ、その窓の向こうに不思議な光景を見てしまう。
そういえば小学生の頃って、プールの下に秘密基地を作ったり、通学路途中にある半分崩れたような廃屋で遊んだり、置き捨てられた車の中で子犬を飼ったり、 「秘密」と名のつくものが大好きだったなぁ。 魔法めいた世界を見つけたフー子は、いとこたちと秘密裏に協力しあって、不思議な世界と、落ちて亡くなったとされている祖母の本当を探っていく。
私だったらどうするだろう?やっぱりこわごわ入っていくだろうか?恐くて近寄らないかも。
フー子は、どこか自信なさげな子だ。 名前も冴えないし、マリカとは大違い。
そんなあたりも自分の子ども時代と重なって、人の後ろに立つばかりではない、新しい自分を見つけられて良かったなぁと思えた。
分類は児童書だが、ファンタジーな要素だけでなく、お祖父さんの気持ちや、母が何をどれだけ知っていてどう思っているのか、などをあれこれ思い巡らせてしまった。






