2017年06月07日

 モップの精は旅に出る

モップの精は旅に出る -
モップの精は旅に出る -

4巻目を読み落としていた(ことにいま気づいた)ため、とっても久しぶりな清掃人探偵キリコシリーズ。

語学教室で嫉妬や復讐心から起こる事件、過去のいたずらが招いた未遂事件を、
たまたま知り合ったビル掃除人のキリコが解き明かす3編。
そして、姉が亡くなったことでキリコ夫婦に訪れた変化とその後・・・

キリコ夫婦は甘々なんだけど、彼女たちの係累や事件の背景はなかなか業が深く厳しいもの。
ひとの怖さがたくさん盛り込まれています。
誰かに恨まれたり憎しみを向けられるのは嫌だけれど、それ以上に怖いと思うのが、
自分では善意のつもりでひとの気持ちに踏み込んでくる人。
ひとの気持ちに敏感で寄り添ってしまう彼女が傷つかないわけはなく、今回は疲れてしまったようです。

大介くん、優しいね。
正直、ナニキレイゴトイッテンノと思わないでもない(自分が黒くてすまん)ところもありますが、
ちゃんと盾になってくれてるから頼もしい。
人の結びつきは様々だから一概には言えないけれど、相手を自由にするのは何よりの優しさだと思うので。

物語から自由になったキリコさんが、どこかで活躍しているかもという想像は楽しい。
でも、長期シリーズの終わりはやっぱり少し寂しいな。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月30日

ホテル・ピーベリー

ホテル・ピーベリー [単行本] / 近藤 史恵 (著); 双葉社 (刊)

わけあって教職を辞めた木崎は、友人の勧めでハワイの「ホテル・ピーベリー」を訪れた。
日本人夫婦が経営するそのホテルは、リピーターを取らないという変わったルールがあり、他に4人の日本人客が滞在していた。
事情を抱えた客同士が少しずつ打ち解けあうなか、やがて客のひとりがプールで溺死、続いて意味深な言葉を告げたもうひとりがバイク事故で亡くなる。

主人公の木崎には嫌悪感といら立ちを感じるばかり、実質オーナーの和美にしても、いい年をして思慮の浅い言動が多すぎる、と入りこめなかった。
でも謎を追う後半は楽しめた。うまいからね、さらっと読めちゃう。後味はあまり良くないけれど。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月24日

ダークルーム

ダークルーム (角川文庫) [文庫] / 近藤 史恵 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)

『マリアージュ』高級フレンチレストランに毎晩訪れる美女の謎
『コワス』隣にいるのは彼女?それとも元彼女?
『SWEET BOYS』隣室に越して来た男子2人の思惑
『過去の絵』叔父の絵を盗作したと疑われた少年が望んだもの
『水仙の季節』恐るべき双子の少女たち
『窓の下には』マンション階下に住んでいた少女に寄せる思い
『ダークルーム』同棲していた女性が姿を消した理由を示す一枚の写真
『北緯十度の恋』復讐の時に知る真相

ふと差した魔、ささやかな悪意、確信犯・・・それらは、はまり込むまで気付かない落とし穴。
思い通りにならない心の揺れをあばき出すような8編。

切なさと温もりの『北緯十度の恋』『ダークルーム』、近づけない距離の間にある憧れと痛みの『窓の下には』が特に印象的。
近藤さんの短編ってあまり読んだ覚えがないのだけど、いいね、ぴりりと利いて。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

薔薇を拒む / 近藤史恵


薔薇を拒む

薔薇を拒む

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/05/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


どこが「禁断のゴシックミステリ」なんだか。
それにしても主人公の少年、どこにそんなしたたかさを隠していたんでしょう。
そこが一番怖いというか不気味というか。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月02日

モップの魔女は呪文を知ってる

モップの魔女は呪文を知ってる (ジョイ・ノベルス) [新書] / 近藤 史恵 (著); 実業之日本社 (刊)

スポーツクラブのプールで起きた火傷事件『水の中の悪魔』
ようやく手に入れた一目ぼれの稀少種猫のすり替え事件、『愛しの王女様』
小児科病棟での魔女騒ぎと、ある患者の親に向けられた疑惑、『第二病棟の魔女』
妹を手にかけてしまった女性が遭遇する自殺未遂『コーヒーを一杯』の4編。

結婚して3年になるキリコさんが、またしても出会う謎や事件の数々。
小児科病棟で働く新米看護師の奮闘ぶりがほほえましく、幾層にも重なった小さな謎にひきつけられ、それがまた看護師の成長につながっていく『第二病棟の魔女』が 読みごたえあり。
いつも思いもよらないところから切れのいい推理を披露する元気なキリコもまた、ある悩みを抱えてちょっと弱気な一面が見える。
そう、この探偵さんは働き者で頭もいいけど、とても繊細で優しい心根の娘さんだったのだよね。

大がかりな殺人事件は起きないけれど、ひとつの謎に秘められたとんでもない策略や悪意、時には善意を表に引っぱり出し、 しかも謎の答えは一転二転するというところがおもしろい。
でもだんだん、お掃除大好き!なはつらつお嬢さんというイメージが薄くなっているような気も・・・
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月16日

サクリファイス

サクリファイス [単行本] / 近藤 史恵 (著); 新潮社 (刊)

高校まで好成績を残していた陸上から自転車ロードレースに転向、大学卒業と同時にチーム・オッジにスカウトされた新人・白石誓。
エースとアシストという役割分担のあるロードレースでチカは、エースでクライマーの石尾、同期でスプリンターとして秀でた伊庭らには叶わないと思い、アシストとして走ることにむしろ自由を感じていた。
しかしチカの思わぬ活躍に、かつて石尾が頭角を現したひとりの選手をつぶしたという忠告を受け、五年ぶりに再会したかつての恋人からも新たな疑惑がもたらされる。
そして迷いの中向かったレースで、惨劇は起こった。

自転車ロードレースというほとんど未知の競技が舞台で、興味が持てるかしらんと怪しんでいたがなんのその。ぐいぐい引っ張られてしまった。
臨場感のあるレース展開もさることながら、二転三転する「サクリファイス」の意味に翻弄された。
誰が何のために何を犠牲にしたのか。石尾は、本当はどういう人物だったのか。
そして想像もつかない結末。チカが手にしたものの重み・・・
そんな生き方もあるのか、そういう生き方を選ばせる競技なのかと思うと、怖いくらい。
最後までどきどきしながら読んだ。ミステリとしてはとても面白かった。

ただ手放しでほめられないのは、元恋人と事故の被害者の印象が良くなかったから。
へたに恋愛を絡ませないほうが、すっきりと楽しめた気がするんだけど・・・
posted by てまり at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月25日

モップの精は深夜に現れる


モップの精は深夜に現れる (ジョイ・ノベルス)

モップの精は深夜に現れる (ジョイ・ノベルス)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 新書



反発する思春期の娘との関係に悩む課長が、知り合ったキリコと思いがけなく親しくなり 会社内の不穏な動きに気づかされる「悪い芽」 ・ 小さな編集プロダクションの社長が変死し、容姿に不似合いな名前だと卑下していた女性ライターが キリコの助けを得て、また仕事に奮起する「鍵のない扉」 ・ 同じ事務所内で二股をかけられたモデルが、さらに振られた男の相手を中傷した疑惑をかけられる 「オーバー・ザ・レインボウ」
どの物語も、登場人物が気持ちも新たに一歩踏み出す姿にほっとしたり、励まされたり、何しろ後味がいい。
そして最後は、キリコ自身の物語。 大介と結婚し、家事もおばあちゃんの世話も時々仕事もがんばっていたキリコが、ある日突然長期の旅行に出かけてしまった。 キリコの心中やいかに?というもの。
でもどちらかというと、奥さんでもお嫁さんでもない、ただのキリコさんの物語の方が、私は好きだな。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月04日

天使はモップを持って

天使はモップを持って (文春文庫) [文庫] / 近藤 史恵 (著); 文藝春秋 (刊)

オペレータールームに配属された梶本大介の周りでは、書類がなくなる、ロッカールームに泥棒が入る、 部長のぬいぐるみが切り裂かれる・・・そんな小さな謎から、保険外交員が墜落死、すわ殺人か?というものまで、 次々と事件が起こる。
それを、女性清掃作業員のキリコがきれいに解き明かす、連作短編。

このオペレータールームというのが、課長と梶本以外は4人とも女子社員。
ダイエットのため部署のお茶がギムネマ茶になったり、仕事もできて子持ちの先輩の苦悩があったり、 セクハラ男に口と態度の違うしたたかな女がいたりと、女子社員ならではの問題やいざこざがリアル。
いいようにからかわれたり、あしらわれたりする梶本の逃げ場となったのが、ビルを一人で清掃するキリコの存在。 見た目は奇抜で職場に不似合い・・・だが、情は細やかで何より元気!
若い娘が一人でビル掃除、というところに何か事情もありそうなのだが・・・

今まで「悪くないけどそれほど好きでもない」という位置だった近藤作品だが、このシリーズは気軽に楽しめそう。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月29日

賢者はベンチで思索する


賢者はベンチで思索する

賢者はベンチで思索する

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/05/26
  • メディア: 単行本



以前読んだ歌舞伎シリーズとは全然イメージの違う、日常の謎的なお話。
主人公はファミレスでアルバイトする21歳の久理子。彼女のバイト先によく現れる国枝老人とふとしたことから交流を持つようになる。
犬の毒えさ事件、店での異物混入疑惑、そして老人が犯人と目された児童誘拐事件も、店でただ時間をつぶしているだけのように見えた国枝老人が陰でひそかに謎を解き、 事態を収拾し、みごとな探偵役を務めている。老人と孫娘のようなコンビ、というのがいいね。
小さな事件の間に、自分や引きこもり同然の弟の納得できない現状から抜け出そうとする努力と、賢くかわいい犬たちの姿があって、なかなか楽しく読めた。
ただ、あの国枝さんが本当は…というのが、イメージとしてピンとこないんだけどなぁ 
賢者なのに「詐欺の常習犯」っていうのはどうもね・・・ラストはきれいにまとまってましたが。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2002年12月22日

ねむりねずみ


ねむりねずみ (創元推理文庫)

ねむりねずみ (創元推理文庫)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 文庫


「言葉が頭から消えていく」という症状を抱えながら、舞台をこなしている若手歌舞伎役者・中村銀弥を気遣う妻の一子は、思いを寄せる良高との間を清算しようとしていた。
一方、2ヶ月前、舞台では銀弥の亭主役の小川半四郎と婚約中の河島栄が、上演中の劇場内で不可解な死を遂げており、 大部屋役者・瀬川小菊とその友人の今泉文吾がその謎解きを始める。
 
「狂乱廿四孝」と同じく梨園が舞台とあって、その方面に詳しければもっとおもしろかっただろうなぁとは思うものの、知識無しでも充分楽しめた。
銀弥の訳ありげな症状は、もちろん事件にも大きく関わってきて、その謎解きはおもしろいのだが、一つの道を全うしようとして極端に走ってしまう銀弥という人、怖いです。
そのくらい独りよがりでなければ、一流の役者なんぞは務まらないということなのかな。
そこへいくと、探偵役の小菊は、ぽんぽんと掛け合いのような物言いで、生き生きしてていいなぁ。
全体的に暗いイメージがつきまとう中、彼の性格に救われる物語という気がする。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 近藤 史恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする