2009年04月19日

どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町 [単行本] / 川上 弘美 (著); 新潮社 (刊)

連作ではないのだけど、視点を変えながら、最後の物語でひとつながりになるような短編集。

誰かや何かと関わっているかぎり、何も選ばずに生きていくことはできないし、ただ受け入れることやあきらめることさえ、選択のひとつなんだということを思う。
「妻の愛人だった男と仲良く同居する男」 そういうこともあるかもなぁと。
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2006年11月09日

ハヅキさんのこと

ハヅキさんのこと [単行本] / 川上 弘美 (著); 講談社 (刊)

恋は若い人だけがするものじゃないんだ。ということを改めて思った短編集。
結婚というシステムからはずれてする恋は、人を優しくさせ奮い立たせもするけど、やはりどこか哀しい。
痛みをともなわない恋なんて、ないのだけれど。

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2006年08月10日

ざらざら


ざらざら

ざらざら

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2006/07/20
  • メディア: 単行本


主にクウネルに掲載されていたものの短編集。
この頃、この人の書くものの良さがようやくわかってきた気がする。
つるつるとしたひやむぎだとか、布団にもぐってめそめそ泣く夜だとか、この人がちょっと好きかもと思うことだとか。あまりに何気なくて、読む端から忘れてしまうような小さな話。
でも毎日はそういうささいな、でも自分にとってはすごく大事ないろいろなことでできているんだなあと思って、鼻の先ほどが幸せになる感じ。良いです、なかなか。

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2005年06月12日

古道具 中野商店


古道具 中野商店

古道具 中野商店

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/04/01
  • メディア: 単行本



骨董屋ではない古道具屋・中野商店のアルバイトの主人公ヒトミと、適当な店主・中野さん、しっかり者の姉マサヨさん、 不器用で無愛想だが働き者の店員・タケオ、そして店に出入りする個性的な客たちの物語。
それぞれが恋をしている。いいとこ取りの適当な恋だったり、その人なくしては人生考えられないような根っこの生えた恋だったり、 ヒトミとタケオなど恋をしているんだか単に情が湧いただけなのか、それさえもはっきりしない間柄。
傍から見れば、明らかに恋をしているのだが、当人達はどうも自分を伝えるのが下手らしく、うまくいかない。
延々とそんな状況が続き、あぁ悪くないけどたいしておもしろくもないなぁなどと思っていた。

ところが一転、中野商店が解散してから3年後、それぞれ自分の道を求め歩き始めている4人が再会する段になって、物語が急に鮮やかになる。
そこまでのだらだらと取りとめなく続いていたような物語は、すべてその再会のためになくてはならない部分だったのだと思えた。
ヒトミちゃんと一緒に、どきどきした。
あぁ彼女はようやく本当に恋に落ちたんだなぁと、せつなさに胸が苦しくなるくらい。
形は違うけれど、中野さんとマサヨさんの大人としての意地の通し方も、かっこいい。
新しい何かが始まっている。そんな期待感に幸せな気持ちになる。こんなお話、好きです。
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2005年02月05日

なんとなくな日々


なんとなくな日々

なんとなくな日々

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本


このエッセイを読んで、ああやっぱり変わった人だったのだな、と思った。
ふわふわととりとめがないようでいて、芯には何かゆるぎないものがあって。
この人に普通、という言葉は似合わないように思う。
でもごく普通に子どもを育てていたりするのがまた不思議。
物語の持つ独特のバランス、それは彼女自身の魅力なのかもしれない。
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2003年10月17日

光ってみえるもの、あれは


光ってみえるもの、あれは

光ってみえるもの、あれは

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2003/09/10
  • メディア: 単行本


本屋でパラパラとめくってみた時、あ、これは好きかもと思った。
「センセイの鞄」を越える作品はそうは出てこないだろうけど、ちょっとぶっきらぼうな風の簡素な会話だとか、普通そんなことでは納得しないだろうと思うようなことを、 ああそうなのかで終わらせてしまうような人たちだとか、そんな雰囲気がけっこう好きなのだ。

主人公の男子高校生・翠は、小学生になる時いきなり、それまでお母さんだと思っていた匡子さんが実は祖母で、自分のお母さんは愛子さんだと知らされる。
そして、3人の家に足しげく出入りしている大鳥さんが、遺伝子的には自分の父親だと知る。
この状況は、はなはだしく普通でない。
それを、ああそうなのかと受け入れて育ってしまった翠は、やはりどこか変わっていて、冷たく見えるほどクールだけど純粋で、いいヤツなのである。変わっている翠の周囲には、 やっぱり変わった友人がいて、教師がいる。彼らのことをなぜかいいなと思うのは、自分の価値観をちゃんと持ってるからなんだろうな。
翠はこれから、いろんなことをただ淡々と受け入れるだけでなく、大きい声を出したり、怒ったり、泣きたい時には泣いたりしながら、自分の力で生きていくのだろう。
どこがどういいのか言葉にするのは難しいのだけど、好みでいうと好きな物語。
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2002年11月13日

パレード


パレード

パレード

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/04/25
  • メディア: 単行本


「センセイの鞄」のセンセイとツキコさんが過ごした、ある夏の日の物語。
センセイとツキコさんが、どんな生い立ちで、どんな風に生きてきて、一緒にどんな話をしたのか、もっともっと知りたかったので、また会えてとてもうれしかった。
ツキコさんが小学生だった頃の話は、ちょっと不思議でとりとめがないけれど、ツキコさんなら、そしてツキコさんのお母さんなら、そういうこともあったかもなぁと思ってしまう。
横で寝ころんだまま聞いているセンセイの表情さえ見えるようだ。
そっけないほどなのに暖かい、これはこれですてきな絵本のような一冊。
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2002年08月12日

センセイの鞄


センセイの鞄

センセイの鞄

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 単行本


これはなんというお話なのだろう。 久々に、心がしんと静まるようなお話を読んだ気がする。
静かな、静かな、恋の物語だったので、静かに少しだけ、泣いた。
きっと、泣きたいんだか悲しいんだか、あきらめてたんだかわからないまま、思い切り泣けなかっただろうツキコさんの代わりに。
 
高校で国語を教わったセンセイと、駅前の一杯飲み屋で隣り合わせて以来、約束をするでもなく、でも会えば一緒に飲み、注文もお勘定もそれぞれ自分でするという、年の離れた友人のようになったツキコ。
やがてセンセイの存在は、少しずつツキコの中で大切なものに育っていき、元同級生の小島孝に言い寄られてやっと、自分の気持ちを確かめる。
思い余って告げた自分の気持ちも、「大人」であるセンセイには軽くいなされてしまう。
きっと本当はセンセイも同じ気持ちで、けれど老人である自分を知っているセンセイは、今まで背負ってきたもの、先々のことを考えると簡単には応えられなかったのだろうね。
それにしても、おちゃめなセンセイなのだ。
日本人はみな巨人ファンという偏見をおおっぴらに持ち、絡まれた酔客のピアスを擦ってしまう。
それも、言葉遣いひとつ崩さずに。
ツキコさんが、どんどん惹かれていく気持ち、わかるなぁと思ってしまった。
 
センセイは、ツキコさんより30とちょっと上、だから70歳前後だったのだろう。
いつまで一緒にいられると、約束できる年齢ではない。
残される方もつらいけど、大切な人を残して逝かなければならないこと、そうとわかっていても一緒にいようというのは、覚悟の要ることだと思う。
「デートをいたしましょう」から3年。 なんて短い。
それでもその3年は、残されたツキコさんが元気に生きていけるほど、甘やかだったに違いない。
せつないけれど、悲しい恋ではない。 そう思う。
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