2012年10月05日

ケルベロスの肖像

ケルベロスの肖像 [単行本] / 海堂 尊 (著); 宝島社 (刊)
ケルベロスの肖像 [単行本]

海堂 尊 (著)

宝島社 (刊)




藤堂文昭マサチューセッツ医科大学上席教授、桜宮一族に関わりのある医学生・天馬らの招致、対立勢力への根回しなどAiセンター設立に向けて準備が進められる中、東城大とAiセンターを破壊するという脅迫状が届く。

『螺鈿迷宮』と『ブラックペアン』が色濃く繋がる、バチスタシリーズ完結編。
碧翠病院の事件についてはほとんど忘れているし、高階と天城の確執についても?な部分が多し。
穴埋めするには過去作品を再読する必要があるなぁ

これまで続いてきた警察や省庁との対立、策を弄しての仕掛け合い、派手なパフォーマンス。
息詰まる興奮の第一作から比べて、やや飽きが来はじめいていたことを思えば、いい終わり方だったんじゃないかな。
それにしても田口先生、どんな役職に就いても最後まで「普通」の人だった気がする。
非凡なる凡人、ってことなのかもね。
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2011年01月05日

モルフェウスの領域

モルフェウスの領域 [単行本] / 海堂 尊 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)

人工凍眠というSF的要素をテーマに、被験者となった少年と彼を守ろうとする女性を主軸とした物語。
東城大学病院の面々が表に裏に登場し、シリーズならではの面白みも。
新しい技術を己の面子のため封じようとする官僚との攻防は、緊張感と久々の小気味よさがあった。
涼子の決意に至る動機というか、なぜそこまでというのがピンとこない気もするけれど、アツシの覚醒から動き出す物語だから仕方ないのかもね。

涼子がレクチャ―を受けた医務官、というのは誰だろう?
ストーリーには直接関わりがないけれど、これだけクセのある人物がどこかで活躍していないはずはない。
今回の登場人物の中で、一番魅かれた。
『その名が指し示す運命』というあたりで、想像するのも楽しかった。

それぞれのキャラクターが独特の色をまとって、自由に闊歩している。
おもしろいけれど、現場は医療ながら内容は政治、という路線でどこまで行くのだろう。
近い将来、東城大学病院は・・・ということは、この先はもう決まっているわけか。
そして終わりも近い?気になるところです。
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2010年08月21日

ブレイズメス1990


ブレイズメス1990

ブレイズメス1990

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/07/16
  • メディア: 単行本



1年半の外部研修から東城大学病院に戻った世良は、フランスでの国際学会に垣谷に同伴する際、佐伯院長から心臓外科医・天城雪彦にメッセージを届ける特命を受けていた。
院長は心臓手術専門の「スリジエ・ハートセンター」を立ち上げるため、天城を東城大学医学部に招聘したのだが、外科医師たちの反発激しい中、世良は再び院長により天城の世話役を命じられた。
やがて天城は、東京国際学会で公開手術を行うことを宣言する。

「ブラックペアン1998」から2年後の物語。
見覚えのある名前が並ぶものの時系列がどうなっているのかわからなくなって、他の作品の流れをもう一度おさらいした。
ここでは世良さんも桐生氏も新米で、それぞれに天城の影響を受けて他作品に繋がっていくわけだ。
シリーズものとしてのおもしろさは、ある。
舌鋒を尽くしてやりあう場面の、小気味よさもある。
ただ個人的には、妙な派手さが少々鼻につく気も・・・個性的といえばそうなんでしょうが、そのわりに差別化しにくいというか。
どこに着地するんでしょう?このシリーズ。
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2010年04月12日

マドンナ・ヴェルデ


マドンナ・ヴェルデ

マドンナ・ヴェルデ

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本


『ジーン・ワルツ』を、曾根崎理恵と母・みどりの関係、先の物語とは別方向からの視点で描いた物語。

代理母として娘の子供を身ごもるみどり。
肝心な人物であるのに先の物語では印象も薄く、どういう経緯で、何を思って娘の計画に賛同したのか、とても気になっていた。
ここでは、みどりから見た一連の流れが、先の物語を補足するように描かれている。
なるほどこれで、みどりが代理母を受け入れた経緯はわかった。
それでもやっぱり、なんだかもやもやする。

娘にどう思われるかを気にするばかりで、立派な大人の娘をちゃん付けで呼ぶ母。
母や患者、自分の子どもさえ、目的達成の道具として扱うことに躊躇しない娘。
どちらにも好感が持てない。
理恵が、自分の血を分けた子どもがどうしても欲しいから、というのならまだしも、社会に対する問題提起としてここまでのことをした、というのはどうしても理解し難い。
子どもは、生れ落ちた瞬間から自分とは別の人格を持った人間で、母親の持ち物ではない。
たとえどんな理想であっても、利用するつもりで子どもを求める人に共感はできない。

結果、納まるところに納まった感はあるけれど、「普通の夫婦じゃないから」と兄弟を引き離すことを良しとするのも、どうもね・・・  結局、全部大人の都合ばかりだ。
ぼんやりした印象だったみどりが自分を主張していく後半は、盛り上がっていく。
ハートで動くユミちゃんの、あっけらかんとした明るさも良かった。
それでもやっぱり、どこか割り切れない気持ちが残ってしまう。
やたら食事場面が多いのも変に気になるし。

みどりさん、ずいぶん気楽そうに見えますが、そもそも50代後半で無理やり母体を作って妊娠なんて、ものすごく大変だと思うのだけど・・・あぁすみません、今回はケチつけてばかりですね。
もっとこう、最初の頃のような、すかっと小気味の良い物語が読みたいのですよ。
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2010年03月26日

ジーン・ワルツ


ジーン・ワルツ

ジーン・ワルツ

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本


新刊『マドンナ・ヴェルデ』がこれの続編だということで、急いで読んだ。

シリーズを通じて描き出される警察庁と厚労省、政治と医療の勢力争いはそのままに、態勢が整わないまま進化し続ける生殖医療のあり方を問う物語。
問題提起だとか、専門的な内情を多くの人に知らしめる、という意味では成功していると思うし、おもしろく読めた。
でも、何だかもやもやするんだよなぁ
子供が欲しいという願いの強さはわかるつもりだし、不妊治療が不自然だとは思わない。
でも・・・と思う。怖いんですよ、理恵という人が。
目的達成のためには手段を選ばず、患者をも利用して、知らなければ幸せなんだからそれでいいのよと言い放つ。
母体を守るべき人が、肉親の安全より自分の願いを優先する。
望んでも子供が授からない人の気持ちは他の人にはわからない、と言われればそれまでだけど、どうしても応援する気持ちより不快感の方が強い。
一番気になっていた理恵と母親の関係が続編で読めそうなので、そちらに期待。
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2009年10月04日

ジェネラル・ルージュの凱旋


ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/04/07
  • メディア: 単行本


不定愁訴外来に、救急の速水が業者と癒着しているという訴えが届く、時系列では『ナイチンゲールの沈黙』と並行する物語。
すでにこれは「白鳥・田口コンビ」ではなく、東城大学医学部付属病院を中心とした大きな叙事小説になっているね。
速水に冠せられた「血まみれ将軍」とは別意の「ジェネラル・ルージュ」の伝説はややファンタジーがかっているが、かっこ良いことこの上なし。
今回も、嫌味なやつを徹底的にやりこめる、勧善懲悪の小気味良さが痛快。
なるほどそして、『極北クレイマー』に繋がるわけだ。
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2009年09月13日

ナイチンゲールの沈黙


ナイチンゲールの沈黙

ナイチンゲールの沈黙

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2006/10/06
  • メディア: 単行本


田口が当直の夜、神経内科病棟の特別室に、いわくつきの個性を持つ歌手・水落冴子が入院することになった。
一方小児科では、網膜芽種の手術を前に不安定な牧村瑞人と佐々木アツシを田口の不定愁訴外来でケアすることが決まり、彼らを含む子ども4人が田口のもとを訪れた。
しかしやがて瑞人の父が惨殺される事件が起き、不定愁訴外来は刑事や白鳥ら事件を追う大人たちにその場を奪われつつあった。

特異な才能を持つ歌手と、同じような能力を秘めていた看護師。
彼女たちの歌に関わる部分はファンタジーっぽかったが、小児科病棟での患者、問題のある親や医師と看護師の関わりは現実的で、 末期の患者に対する医療のあり方など考えてしまう部分があった。
小児科の女医は最低だが、決められた休みを返上するのも当然という体質が、今の医師不足に繋がっているのかなとも思ったり。
まぁ医師に限らず、そんな仕事はいくらでもあるわけですが。

どうやら藤原さんは陰のドンらしい。
藤原・猫田師弟コンビの活躍というか暗躍が痛快だった。
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2009年08月17日

極北クレイマー


極北クレイマー

極北クレイマー

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/04/07
  • メディア: 単行本


財政難の中、存続さえ危ぶまれていた極北市民病院に、外科医・今中が赴任してきた。
病院長と事務局長が対立し、看護師は医師を軽んじ、医療の安全より財政が優先する非常識な現場で奮戦する今中だったが、 やがて派遣されてきた氷姫女医が突破口となり、ようやく変化の兆しが見える。

姫宮女史、どうやらシリーズ中他作品に登場している人物らしく、彼女が被害を恐れる上司というのは白鳥氏に間違いなさそう。
なるほど彼女の破壊力は上司譲りなのか。
それにしても、あくまで低姿勢ながら媚びず、怖れず怒らず悪意を向けずに相手を打ちのめし、気がつけば思うとおりの方向へ向かわせてしまう姫宮女史、 そかもそれが策なしというのだからすごい。
登場したかと思ったらすぐ退場してしまったが、彼女の活躍は痛快だった。
白鳥氏の秘蔵っ子なんだろうね、きっと。

その後も、金に繋がる悪システムや、仕立て上げられる医療事故など、医療の現場と官僚組織の齟齬が浮かび上がる。
金と欲の渦巻くなか、損得抜きで医療に携わろうとする今中たち、実際にこういう人たちが底辺の医療を支えているんだろうなと熱くなる。
病院の立て直しに派遣されてきた世良の、滔々とした弁舌も小気味よい。
研修医の世良さんしか読んでいないので、いつの間にそんなことに?という思いも抱きつつ。

シリーズ物って、アレに出てきたあの人!というおもしろさがある反面、順番に読んでいないと、そのおもしろさが半分しかわからない難があるね。
もっとも前に読んでいても、これ誰だっけ?とすぐ忘れるので、いつでも初読みのわくわく感は味わえるんですが。
文庫が出てもまだ予約しなければ読めない海堂作品、じっくり待って順番に読んでみますか・・・
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2009年01月30日

イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭 [単行本] / 海堂 尊 (著); 宝島社 (刊)

あいだ何冊かをすっとばしてのシリーズ新刊。
でも前作までそれぞれが時系列の近い別方向の物語なのか、あまり違和感なく入れた。
今回は、いわゆる変死に対する医療現場と厚労省、法の番人たちの現状と思惑、あるいはかけひきや野望を机上で戦わせる議事物。
ミステリーではないが、思惑通りにピースがはまり込んでいく爽快感はあり。
これは小説であるし、ひとつの見解に過ぎないが、お役人のこういう姿勢を見てしまうと、やっぱりね…という脱力感は否めない。
出発はミステリでも、謎を解く→不明なことを明らかにする→根本原因はシステムにある、となると政治的なことに踏み込まざるを得ないのかな。
登場人物がそれだけ育った、ということでもあるのでしょう。
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2008年11月11日

医学のたまご


医学のたまご (ミステリーYA!)

医学のたまご (ミステリーYA!)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 2008/01/17
  • メディア: 単行本



潜在能力試験で全国一位の成績を取ってしまった中学一年の曽根崎薫が、東城大学医学部の医学部の研究生となることに。

対象が中高生ということで、悪い大人に利用された子どもが反撃に出るというわかりやすい物語になっている。
最初はそのわかりやすさと、都合のよすぎる展開が気になってしまったが、研究という面から医療に関わる現場のリアルさと、テンポのいい父子関係に引き込まれた。
かけひきや周囲の力関係をはかることも時には必要かもしれないけれど、何かを成し遂げるには熱意と努力が一番だし、 日々精進して医療を支えている人たちもたくさんいるということだね。
思いのほか、痛快でおもしろい冒険談だった
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