2023年01月26日

 緑の我が家

緑の我が家 Home,Green Home (角川文庫) - 小野 不由美
緑の我が家 Home,Green Home (角川文庫) - 小野 不由美

1990年から改題、加筆修正を重ねリライトされてきた物語。
時代を感じさせる部分やティーン向けの初々しさはあるけれど、物語自体に古さは感じない。
少年期の行き場のない思いや後悔を描く青春小説でもあり、不可解な謎や迫りくる怖さにぞっとするホラー小説でもある。
最終的には怖いというより、ちょっとほろりとしましたけれどね。

で、全くの余談なんですが、この狭い路地の突き当りにある訳ありアパートというものに、ものすごい既視感がある。
近年読み漁ってきた実話怪談か、もしくは他のホラー小説か。
思い出せない過去がなどということはなく、ただ袋小路にぽっかりと開けた場所があって、そこに建つ家の話だったような・・・それも嫌な話だったんだよなぁ、確か。
きちんと思い出せなくて、もやもやします。
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2022年10月05日

 営繕かるかや怪異譚 その参

営繕かるかや怪異譚 その参 - 小野 不由美
営繕かるかや怪異譚 その参 - 小野 不由美

営繕屋怪異譚3巻目。
建物やしつらえに手を入れることで、逃げ出すか祓うしか無さそうな現象を、収めたり気持ちを安らげたりしてくれる6編。
不安や悪意を向けられる辛さを背景に起きる異常な現象、そしてどんどん追い詰められていく人たち。
そんな時、ていねいに話を聞いて思いに寄り添ってくれ、何とかなると方法を示してくれる尾端さんや隈田さんがすてきだ。
『火焔』、人はここまで悪意を向けられても優しくできるものなのかと切なかった。
『誰が袖』は、きれいに決着して後味も良かったが、これだけの因縁物にこめられた背景を知りたい気も。
全体に暗いけれど、『骸の浜』はとても好きな一編。

物だけでなく気持ちまで繕ってしまう尾端さんの、過去も見てみたくなる。
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2012年09月23日

鬼談百景

鬼談百景 (幽BOOKS) [単行本] / 小野不由美 (著); メディアファクトリー (刊)
鬼談百景 (幽BOOKS) [単行本]

小野不由美 (著)

メディアファクトリー (刊)




実話怪談風の短い話が99話。
この手の話が好きなので、読んでいる間とても楽しかった。

『残穢』を先に読んだので、「お気に入り」と「欄間」は、ああこのことかと。
全然関わりのないところで似たような話、というのも、見えないつながりがあるのかもと思えてひやっとしたり。
やはり、ぶらんこの印象が強烈。あと、一話目の「未来へ」と「髪あらい」が怖かったー
他人事、もしくは物語として読むのは好きだけど、しばらく背後や暗がりにびくびくしそう。
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2012年09月16日

残穢

残穢 [単行本] / 小野 不由美 (著); 新潮社 (刊)
残穢 [単行本]

小野 不由美 (著)

新潮社 (刊)




女性読者から届いた「怖い話」を端に、繋がり拡がる因縁の話。

賃貸マンションの一室で聞こえるかすかな物音と気配。
そこから始まった調査は、部屋からマンションへ、やがてその土地へと場所を広げ、時代をさかのぼり、大元となる「本体」にたどりつく。

そもそも実話をもとにした怪談というのは、起きた現象の怖さや気味の悪さ、不思議さに、つかの間ひやっとするところに面白みがあると思っていた。
そこに何らかの原因や理由が提示されると、むしろこじつけめいた感じがして。
でも本書は、いわゆる合理的な説明をとことん探っていく。
あえて怪異に対して懐疑的なアプローチをしているのに、その過程がそのまま、ホラーだ。
重なり過ぎる偶然、連鎖する怪異、血縁はもとより取り壊した建物の建材にさえひそんで飛び火していく事件・・・これが 呪いというものの形かと思わせられる。
作者ご自身のことも含め、まるで本当のことが進行しているようなリアリティさが、寒気に輪をかける。

ひたひたと忍び寄るような怖さの実話怪談、たいへん好みでした。
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2011年09月23日

悪霊の棲む家

悪夢の棲む家 (上) ゴースト・ハント (講談社X文庫―ホワイトハート) [文庫] / 小野 不由美 (著); 小林 瑞代 (イラスト); 講談社 (刊)悪夢の棲む家 (下) ゴースト・ハント (講談社X文庫―ホワイトハート) [文庫] / 小野 不由美 (著); 小林 瑞代 (イラスト); 講談社 (刊)


翠と母が手に入れたマイホームは、ふさがれた窓に鏡がはめ込まれて採光が悪く、そこから誰かが覗いている気配がする。
さらに電気系の故障が相次ぎ、不安になった翠は友人の同僚・広田に相談し、さらに専門家に調査してもらうためサイキックリサーチ社に依頼する。

母親のうわごとのような言葉、翠が見た不気味な男や子供の姿から、どんな恐ろしいことが起こったのか、ぞくぞくと引き込まれた。
窓の外から中をうかがって家の周りをぐるぐる回ってる・・・これは怖いよ。
コソリに怯える少年の記憶も、ひたひたと迫りくる感じで生々しかった。

助っ人としていつものメンバーが勢ぞろいで、本当に登場しただけの人もいる中、今回はぼーさんが活躍してたな。
あいだ何巻かとばしての最終巻なので、いきなりナルの才能を見せられてびっくり。
これまでの巻と視点が違うので、麻衣がずいぶん落ち着いて賢そうに見えた。
個人的にはこういう描き方のほうが好み。

最悪の事態は防げてひとつの終わりは迎えられたものの、家に囚われていたもののことを思うとしんみりと切なさも残る。
そしてジーン。これで終わっちゃったの?彼はあのまま?続きが欲しかったなぁ
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2011年09月04日

ゴーストハント5 鮮血の迷宮

ゴーストハント5 鮮血の迷宮 (幽BOOKS) [単行本] / 小野不由美 (著); いなだ詩穂 (イラスト); メディアファクトリー (刊)

今回の舞台は何人もの行方不明者を出している不気味な館。
噂に聞くウインチェスター館のごとく、持ち主の先代が人が住まうには無意味な増改築を重ねたとあって、怪奇の舞台としては上々。

安原さんって、今後常連になるんだろうか?
うさんくさい他の霊能者たちをコケにしたり、なかなか優秀な所長代理を務めてます。
そしてナルの師匠だという森さんが、頼もしいキャラクター。
レイラインや諏訪神社、磁気と心霊の関係などについての話もおもしろかった。
あまりに謎だったリンさんの素性についてもようやく明かされて、彼にしては大人げない印象でもありますが、それだけ麻衣に心を開いてきたということかな。

調査が進むにつれ、同業者がひとりまたひとりと消えていくのが不気味。
館の謎が解け、撤退を決めてほっとしたところで真砂子が・・・というのも、なかなか。
そこでようやく麻衣が力を発揮、というわけなんですね。
過去視、透視、体外離脱とずいぶんな成長ぶりだけど、夢の中だけで良かった。
あんな過去を見せられ続けたら、図太く明るい麻衣のままではいられなくなりそうだもの。
真砂子の囚われた部屋での描写より、麻衣の夢が一番恐ろしかった。

死んでなおあれだけの妄執にとり憑かれたままの者、館が焼け落ちれば本当に消えるんだろうか。
迷っていそうで怖い。
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2003年08月30日

くらのかみ


くらのかみ (ミステリーランド)

くらのかみ (ミステリーランド)

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/07/30
  • メディア: 単行本


お金持ちの本家を誰が継ぐかという問題のために集まった親戚一同とその子ども達。その中で、誰かが食べ物に毒を混ぜたり、 なぜか子どもの数がひとり多いという奇妙なことが起こり、子ども達が団結して、犯人とひとり多いのは誰かを探ろうとするミステリー。
 
現物を見ずに予約したので、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」本だった・・・というのは、後から気付いた。なので軽めだが、 遺産相続に関わる問題ながら悪意があまりないこと、昔ながらの田舎の家で子ども達がわくわくしながら過ごす様子がおもしろくて、すんなり読めた。
私も子供の頃は、田舎のおばあちゃんちでいとこ達と会うのが楽しみだった。同い年だったり、うんと大きいお兄ちゃんがいたり、 友達とはまた違う楽しみがあるのだ。使わない部屋もあるくらい広くて、ちょっと怖い場所もある田舎の家というのも、懐かしかったな。
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2003年03月24日

華胥の幽夢


華胥の幽夢 十二国記 (講談社文庫)

華胥の幽夢 十二国記 (講談社文庫)

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/07/13
  • メディア: 文庫


いつまでも自信の持てない泰麒が漣へ使いに出され、自分の仕事は農夫、役目が王だという廉王・世卓と出会ったことで自分の居場所を見つけていく「冬栄」、 峯王・仲韃を討ったものの王座に座ろうとしない月渓が、周囲の国王たちの勧めに臨時の王として立つことを決意する「乗月」、
雁国大学の学寮に住まう楽俊と景王・陽子の間で交わされる手紙「書簡」、国のあるべき姿を見せてくれるという才国の宝重・華胥華朶の扱いを誤り、 失道に向かう采王の末「華胥」、六百年の長きに渡って奏国を治めてきた宗王一家の一員・利広が見た各国の様子「帰山」。

これまでの十二国それぞれの物語をまとめ、その間を埋める挿話のような短編集。
こうしてみると、まだほとんど出てこない国もあるが、役者がそろって来たなという感じで楽しみ。
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2003年03月05日

図南の翼


図南の翼 十二国記 講談社文庫

図南の翼 十二国記 講談社文庫

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/01/17
  • メディア: 文庫


先王が倒れてから27年、恭国は災厄に見舞われ妖魔が徘徊する荒れた国となっていた。
その首都連檣で、豪商の娘・12歳の珠晶は、安全で何不自由ない生活を送っていたが、ふがいない大人に見切りをつけ、自ら天意を諮るため蓬山を目指す。

「風の万里〜」で祥瓊を預かった時の、歯に衣着せぬ物言いと尊大な態度に、どういう経過で12歳の少女が王となったか興味のわくキャラクターだったが、 はじめは侮って適当に話をあわせていただけなのに、いつの間にか周囲を味方につけ巻き込まずにはいない強さを持った少女だった。
これが王の器ということなのだろう。不幸な人の横で自分だけ恵まれていても寝覚めが悪い、周りも豊かなら心おきなく贅沢し放題。 こんなこと言う子供がそばにいたら、振り回されてきっと疲れるだろう。でも彼女は、言うだけのことをやろうとする強さも持っている。 何もしないで嘆いたり愚痴を言ったりするだけじゃダメなんだってこと。最初から無理だと諦めていたら、何もできず何も変わらない。 すごくあたりまえのことなんだけど、ふっと我が身を振り返らせる言葉たちだ。

とても気がかりだった更夜が、きちんと自分の居場所を見つけられたらしいのが一番うれしかった。
恭国と奏国のこれからも気になる。
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2003年02月21日

東の海神 西の滄海


東の海神 西の滄海 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート

東の海神 西の滄海 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/05/26
  • メディア: 文庫


胎果として流された蓬莱で親に捨てられ、命を落としかけたところを延麟として迎えられた六太は、蓬莱で尚隆を延王として迎え、荒れ果てた雁国は20年かけて蘇った。 そして六太は、かつて自分と同じように捨てられ妖魔に育てられた更夜と再会するが、そのまま拉致されてしまう。更夜が仕える元州の幹由は、 泰麒と引きかえに上帝位を要求してきた。

これまでのストーリー上では最も豊かで落ち着いた国・雁。延王・尚高と延麒・六太の、気の合う友達のような歯に衣着せないやり取りの応酬は、 こういう馴れ初めから来てるのねーと納得。
尚隆は、バカのようで実は器の大きい、やはり王たる者だったのだなぁ。こういう、へらへらしてるようで実はやり手、というタイプも好き。 そこへいくと更夜は、出会った相手が、利用することしか考えない人間だったのは不幸だけど、賢さに引けは取らない。
今度こそ本当に信頼できる相手と出会えるといいなと思う。
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