2018年04月15日

 RDG 氷の靴 ガラスの靴

RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴 -
RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴 -

相楽目線の短編3編と、宗田真響たち三つ子を軸にした、その後の物語。
最終巻読んだのもずいぶん以前だしなぁと思ったけれど、細かい点はさておき覚えのある人物が登場していくごとに、すんなりあの世界観に入り込めました。
相変わらず恋愛についてはぽや〜んとしてかわいい泉水子ですが、深行へと手を携えて進んでいく「この先」に希望はあると感じられるのが何より。

もっとも本編で主となるのは宗田真響。
心霊となった真澄を受け入れない祖父との確執、弟真夏への思い・・・一族の一員として姉として自身の在り方に揺れ動く彼女には、泉水子とはまた違う魅力があるのよね。
完璧なようでいて実はもろさもあわせ持つ真響がいることで、泉水子の表面からは計れない芯の強さもまた見えてきます。

この先どうなっていくんだろうなぁ・・・もっと読みたいと思うし、遡って泉水子や深行の親世代の物語も見てみたい気がします。
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2014年02月11日

 源氏物語 紫の結び 二

源氏物語 紫の結び〈2〉 -
源氏物語 紫の結び〈2〉 -

光源氏、30代の頃の物語。
帝が譲位し藤壺の宮の春宮が帝位を継承、源氏の君は都に戻り失意の底から登りつめていく姿が描かれる。
想い続けた藤壺の宮の逝去という悲しいできごとがある一方、明石の君が生んだ姫を育てる喜びや、亡き葵の上との息子が成人し、妻を娶る幸せも。
いくつになっても色恋に節操のない様子はあるものの、かといって薄情なわけでもなく、息子の誠実さと我が身を比べて恥じ入ったりする源氏って、なんだか憎めない。
幼い印象だった紫の上が、すっかり大人の女性になっていて魅力的だった。
自分の身の上は、周囲の都合や後ろ盾頼みでどうにでもなってしまう女性たちが哀れでもあり、それゆえのたくましさも感じられる。
飽きることなく物語の筋を追え、引き込まれるのは、やはり訳の妙でしょう。

藤壺の宮、逝去の場面が印象的。
抜け殻のような哀しみの中で目に映る、しみじみと美しい情景。
原典を読んでもこの共感は味わえるだろうか。
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2011年07月19日

RDG4 世界遺産の少女

RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女 (カドカワ銀のさじシリーズ) [単行本] / 荻原 規子 (著); 酒井 駒子 (イラスト); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)

夏休み明け、学園に戻った泉水子は学園祭の準備に追われるが、学祭での決着に向けて高柳が動いている不穏な気配を感じていた。
そんななか泉水子は、着付け講習会のモデルを引き受けることになってしまい、深行に教わった九字を切って護身をし三つ編みをほどいた。
無事に役目を終えてほっとした泉水子だったが、その後深行を震撼させるできごとが起こる。

一年に一冊のペースなので、前回までの流れがあいまいになってしまうのが難だけど、謎のまま進行してきたことがらが、少しずつ形を顕してきた感じの章。
姫神がどういう存在で何を望んで現れてきたのか、雪政や紫子がどういう立場にいるのか。
でもどうすれば姫神の願う世界にたどりつけるんだろうね。
そもそも世界遺産に登録されることの意味や価値ってなんだっけ?
姫神の言葉を聞く限り、そう良いものでもなように思うのだけど。

それにしても姫神というのが、思いのほか人間くさくておかしかった。
人を滅ぼす力を持ちながら、無力であることを悔いる孤独なたましい。
深行は不器用だし泉水子は純情そのものだ。 やっかいだね、でもなんかほほえましい。

なかなか進まない物語も、背後にそれぞれの勢力を持った高柳や真響たちの対決というひとつの山場が近い(はず)。
否応なく影響を受ける泉水子たちの先も気になる。
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2010年07月01日

RDG3 夏休みの過ごしかた


RDG3  レッドデータガール  夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)

RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/05/29
  • メディア: 単行本


秋の学園祭に向けて、水面下で各勢力が動き始める中、生徒会執行部は企画会議を真響の実家がある戸隠の合宿で行なうことになった。
そこで、親しくしている真響たち三つ子のバランスを崩す事件が起き、真夏の危機に泉水子は姫神の力を借りようとするが・・・という夏休み前半の物語。

特殊な環境で育った泉水子にとっては、まだまだ「初めて」の多い学園生活。
何かしら特別な力を持った者たちの学園、ということは分かってきたものの、泉水子の思いも及ばない戦いが実は繰り広げられている様子。
生徒会の存在目的や学園祭の意味など、少しずつ事情も見えてきたれど、学園自体は謎に包まれている。
深行にしてみれば、様々な思惑のただ中に立たされているのに自覚のない泉水子が危なっかしくて仕方ないのでしょう。
お互いによく分からないと思いながらも、信頼の絆が切れないふたりの先が楽しみ。

今回は学園を離れた戸隠で、神霊に関わることになった泉水子たちだが、そこで母の自分に対する思いに気付き、迷いや不安は抱えながらも、新たな一歩を、というところ。
母・紫子の凛とした強さがとてもすてきだ。

泉水子たちは残りの夏休みを、どう過すのだろう。
秋の学園祭テーマは「戦国学園祭」 これまた波乱含みになりそうな・・・
次作はまた、来年なのかな。楽しみだけど、先は長いなぁ
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2009年07月08日

RDG2 はじめてのお化粧


RDG2  レッドデータガール  はじめてのお化粧 (カドカワ銀のさじシリーズ)

RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧 (カドカワ銀のさじシリーズ)

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本


東京の鳳城学園高等科に入学し、新たな環境の中で泉水子は、半年前から入学している深行と再会、寮で同室となった真響、彼女の三つ子の弟・真夏たちと親しくなる。

初めてのことばかりで不安ととまどいの中、出会うのは「できる」人たちばかり。
さらにうつむいてしまいそうになる泉水子だったが、素直で芯の強い真響や開けっぴろげな真夏、屈託はあってもいざとなれば頼りになる深行たちに引っ張られるように、 少しずつ心を強くしていこうと歩み出す。

山伏、陰陽師、神霊使い・・・と、ただならぬ役者が次々と登場。
何やら特殊な学園事情の中、悪意を向けられたり利用されそうになったりと、はらはらさせられるが、やっぱり深行はナイトだね。
能力を持つ人たちもまだ若く、自分の行く先を手探りで進んでいる点では、同じなのかもしれない。
古来よりの力を受け継ぐ末たちがどう進むのか、この学園の目的は?
先が待たれます。
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2008年08月18日

RDG はじめてのお使い


RDG レッドデータガール  はじめてのお使い (銀のさじ)

RDG レッドデータガール はじめてのお使い (銀のさじ)

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/07/04
  • メディア: 単行本



レッドデータブックとは、絶滅危惧種の情報本なのだそうだ。
とするとレッドデータガールは、絶滅危惧少女?というほどの意味合いか。
とまれ新シリーズは、神代の力を受け継ぐ少女の物語。
現代版少年少女が主人公というのは久しぶりだが、崩さない丁寧な言葉遣いも若々しく、安心して物語に浸れた。

鈴原泉水子は、熊野にある玉倉神社で、宮司を務める祖父と暮らしている中学3年生。
父は卓越したコンピュータープログラマーでアメリカ在住、母は警視庁公安部で居所を捕まえることさえ難しい。
そんな優秀な両親に引き換え、内気で運動は絶望的、携帯やパソコンは触るとすぐ壊れてしまうため不慣れ、遠距離通学のため毎日学校と神社を車で往復するだけの毎日という、 不出来で冴えない自分をただどうしようもないことと受け入れていた。
ところが進路選択の時期になり、父の友人の相楽雪政が自分の息子深行を供に付け、東京の鳳城学園へ進学することを薦めてきた。
自分が周囲に多大な影響を与える人間であることを知らされた泉水子は、意に添わぬ進路を押し付けられ泉水子を敵対視する深行とともに、初めて自分が何者なのかを知ろうとする。

という、まだ前振りのような目覚め編。
相楽雪政の食えない男ぶりがなかなか魅力的。
この毒持ち親子の腹の探りあいも、楽しみなところ。
息子をライバル視するほど追い求め、ひれ伏す女神の在りかた、その力がどんなものか。
力を扱うものとして、またひとりの人間として、泉水子や深行がどう成長していくのか。
母親の紫子にしろ、謎も多い。楽しみだ。
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2005年06月16日

風神秘抄


風神秘抄

風神秘抄

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2005/05/21
  • メディア: 単行本



平安末期、平治の乱に源氏方として加わった坂東武者の草十郎は、敗退の途中山賊の手に落ちたが
助けられ、その間に将とあおいだ義平たちは討たれていた。 傷が癒え、刑場となった六条河原を訪れた草十郎はそこで、魂鎮めの舞を舞う糸世と出会い、自分の笛の音を重ねた。
糸世の舞いと草十郎の笛に宿る、運命さえ変えてしまう力が、ふたりをただならぬ運命に導いていく。
草十郎が、武士としての生き方から自分で選んだ道をさぐり、異世界との扉を開いてしまう力を持つ笛と舞いのために素直に寄り添うことができなかった糸世と、 権力に利用されながらも、手を伸ばしあい、
求め合う恋の物語。

ぎりぎりと引き絞るような緊張感あり、夢のような場面あり、次々と立ちはだかる障害を乗り越えていく高揚感あり、烏の王・鳥彦王との笑える会話ありで、とても楽しめた。
一番印象的だったのは、草十郎が幼い糸世の姿を思い浮かべながら竹林で笛を吹く場面。
笹を揺らす風さえ感じられるような、この情景の美しさ。ため息が出てしまう。

今回、かなり具体的に史実の人や事件が登場するため、ざっと源平合戦の頃をおさらいしてみた。
源義朝の逆恨みに端を発したらしい平治の乱は、平清盛一族が権力を握る転機となったが、それも一時のこと。やがては義朝の息子であり草十郎が命がけで助けた頼朝によって、 平氏は滅ぼされることになる。物語と微妙に絡み合う権力闘争は、人の愚かさの象徴のようでもある。
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2003年09月09日

薄紅天女


薄紅天女

薄紅天女

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1996/08
  • メディア: 単行本


時は長岡京の時代、東の坂東の地では、籐太と甥にあたる同い年の阿高が、何をするにも一緒の二連と呼ばれ育っていたが、17の年、 阿高は蝦夷の女神チキサニの生まれ変わりだと告げられる。
自分が何者かを確かめるため蝦夷の国に向かう阿高、彼を追う籐太たち、同じく都の将・ 坂上田村麻呂も阿高を捜し求めていた。
一方、物の怪が跋扈する都では、病に倒れている兄・皇太子を助け、自分の居場所を見つけるため、
皇女苑上が少年の姿となって戦う決意をしていた。

勾玉三部作の完結遍ということだが今回は、勾玉自体があまり大きな意味を持つものではなかった。
勾玉の持ち主であり、巫女だった母と大いなる力を身の内に秘めた阿高、 片時も心も離れることのない籐太、彼らの何気ないふりをしながら命さえいとわない繋がりに、すっかり惚れ込んでしまった。
そして人のうらやむ皇女という身分ながら、 孤独を抱える苑上の、無謀とも大胆とも言える行動力。
これも危なっかしげながら、けなげなこと!だからこそ、自分の居場所を捜し求める苑上と阿高が 離れ離れにならなくて良かったと、はらはらした分ほっとした。
やはり思い入れの強い人たちは、幸せになって欲しいものね。

ひょうひょうとした坂上田村麻呂、秘めた想いのため突き進む藤原薬子、後に空海となる無空(彼だけは私の空海のイメージとはずいぶん違うのだけど)と、 今回も脇役(?)が魅力的。
自分の運命を自分で切り開く強さを持つ人、いつの時代にはそういう人たちはきっといたのだろうな。
この時代のことを、もっともっと知りたくなった。
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2003年08月28日

白鳥異伝


白鳥異伝

白鳥異伝

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1996/07
  • メディア: 単行本


三野の地で双子のように育った遠子と小倶那は、やがて都に上った小倶那が大王の血を濃く受け継ぐ「大蛇の剣」の主として戻ったことから、 遠子は小倶那を自分の手で討つため伝説の勾玉・御統を求めて旅に出る。

勾玉シリーズの2作目、水の乙女と風の若子の末裔が大王となった時代の物語なのだが、
いやー、すっかり古代物にはまってしまった。
1作目は、 いかにも神話が下敷きになった物語だったが、今回は神がかりな力も登場するものの、
ずっと人間の営みや想い、成長といったことに重きをおいた、スケールの大きな物語だった。 
女の子から女性へと変わっていく遠子もかわいいし、呪われた出生に打ち勝とうとする小倶那も頼もしい、そしてお調子者のようで人の気持ちに聡く、憎めない菅流。 何より彼の存在がいいなぁ。
諦めないこと。自分で決めること。
彼女たちの度胸には及びもつかないけれど、他のすべてを投げうっても譲れない大切なこと、そういうものがあるってすてきなことだ、 と読んでいる方まで力づけられるような物語だった。
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2003年07月31日

これは王国のかぎ


これは王国のかぎ (ファンタジーの冒険)

これは王国のかぎ (ファンタジーの冒険)

  • 作者: 荻原 規子
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 単行本


「樹上のゆりかご」がおもしろかったので、本当は「空色の勾玉」を読みたかったのだけど入手できず、
とりあえずこれを・・・と読みはじめた1冊。
失恋の痛手から「あたしでいることをやめたい」と泣き疲れて眠ったひろみが目覚めると、魔人族となってアラビアンナイトの世界に現れていた。 ひろみを呼び出したという青年・ハールーンとともに、ジャニという名になって都へ向う旅に出るという、ファンタジー。
二人の王子、王家の争い、魔法使いに奴隷・・・大好きだったアラビアンナイトの世界、15歳の少女の冒険にわくわくした。
揺れ動く乙女心もいじらしいし、 王子たちはいかにもかっこ良く、王国のかぎを解くというミステリアスな部分もあって楽しめた。軽いけど、なかなか上質の物語だと思うな。
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