高校を卒業して以来なにもしていない19歳の私・こと子の家族は、ちょっと変わっているけれど皆、仲がいい。
おっとりしているけれど少々のことには動じない頑固者の長姉・そよちゃんは、結婚して家を出たが、どうやら戻ってきてしまったらしい。
一番変わり者だけど唯一社会人として働いている次姉のしま子ちゃんは、自殺未遂の前歴を持ち、つけつけした物言いとは裏腹に優しい。
こと子にとってはいつまでも小さな弟・律は、中学生とは思えない穏やかさと素直さを身につけている。
そして厳格ながら家族思いの父と、 どこか少女のようでいてしっかり者の母。
不思議な家族だという印象は受けるけれど、自分が「普通」だと思っていたことが実は自分の家族の中でだけ「普通」だったなんてのはよくあることだし、 世間が学校がどうであれ、自分に家族にとって正しいものは正しいという凛とした姿勢が、とても好ましい。
律のフィギュア作りを気に入らないという学校に対して、 「くだらない」と切り捨てる父の頼もしいこと!
数少ない部外者のひとり・深町直人も、とても感じのいい青年だ。きっと律とは気が合うだろうな。
すべてが穏やかで、誠実で、ずかずかと踏み込まない程よい距離があって。優しい物語だった。
それにしても不思議なタイトル「流しのしたの骨」は、かちかち山から来ていたとは。
かちかち山・・・そんな場面があったっけ?これはぜひ読んでみなくては。