2008年07月10日

夕闇の川のざくろ

夕闇の川のざくろ (ポプラ文庫) [文庫] / 江國 香織 (著); 守屋 恵子 (イラスト); ポプラ社 (刊)

江國さんの本は、タイトルがすてきだ。
孤独で美しく、ひどい嘘つきな、しおんという女性のつむぐ物語に耳を傾けている幼馴染の私・・・という詩のような物語と、守屋恵子さんによる絵とのコラボレーション。

嘘は、言い換えれば物語になる。
同じ世界を共有する女の子同士だけの、甘やかな物語。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月24日

すきまのおともだちたち

すきまのおともだちたち (集英社文庫) [文庫] / 江國 香織 (著); こみね ゆら (イラスト); 集英社 (刊)

今読み始めてすぐ、以前読んだ絵本「おさんぽ」の続編というか、そのお話をふくらませたものだと気付いた。
こみねゆらさんの絵が不思議な少女の雰囲気にぴったりで、とても印象的だったから。
あんな変わったお皿も、そうそういないと思うし。

独特の江國ワールドとでも言いましょうか、いかにもな物語。
ここでもあそこでもない、すきまの世界の住人たちと、不本意ながらたびたびそこに迷いこんでしまう主人公のやりとりが、奇妙なんだけどそのゆるさが心地よいというか。
そんな感じ。

posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月01日

間宮兄弟


間宮兄弟

間宮兄弟

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2004/09/29
  • メディア: 単行本



今度はまた、えらく変な人たちを登場させたものだなぁと思った。
兄・明信35歳、痩せたサラリーマン、弟・徹信32歳、太り気味で学校の技能職員、という間宮兄弟。彼らはふたりで一緒に暮らし、 離れて住む母親にとっては良き息子達だ。家の中は、長い時間を一緒に過ごしてきた家族の、穏やかで安心できる習慣と楽しみで満ちている。
しかし女性にとって彼らは、友達ならまだしも、恋愛の対象としては考えられない存在らしい。
兄弟はそろいもそろって失恋の山に傷つき続け、恋愛に及び腰になっている。

結局彼らは、空回りするだけして失恋記録を更新するのだが、なぜ彼らは「気持ち悪い」と言われるのだろう?思うに彼らは、子どものままなのだ。純粋で、無邪気で、一生懸命。良くも悪くも。
正しいことがいつ誰にとってもいいことだとは限らないし、自分が良いと思うことを相手も同じように感じるとは限らない。そういう距離の取り方は、 人と接する中ではかり、学んでいくもの。
家族という繭から抜け出せない彼らは、人の機微に疎く、心と口が違うことに疲れてしまう。
それでは恋愛はできないわなぁ・・・
でも、いい人、なんだよ。それをわかってくれる人がいつか現れる…かもしれないね。  
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月22日

赤い長靴


赤い長靴

赤い長靴

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/01/15
  • メディア: 単行本


結婚して十年、サラリーマンとの夫との間に子どもはなく、半年前からパートタイムの仕事を始めた日和子夫婦のありようをつづった連作短編集。
夫婦としては落ち着いていて、こんな時相手がどう思うかが想像できるくらいには、お互いのことがわかっている。わかってしまうからこそ、言えないこともある。
夫が決まって買ってくる、クリスマスの赤い長靴のように。
要らない。でも捨てられなくて、どんどんたまっていく。ふたりの間に積み重なっていく齟齬の象徴のようだ。それでも、どこよりもお互いのいる場所が、 自分の居場所だとも感じている。

子どもができると、夫婦はいきなりお母さんお父さんになってしまう。それはある意味、長い時間一緒に過ごすためのクッションにもなって、 いろいろなことを突き詰めないで済むという部分がある。
子どもがいなければ、夫なり妻なりと、正面から向かい合うしかない。
会話はまるでかみあっていないが、無関心というわけではなさそうだし、「こういう人だから仕方ない」とあきらめたり妥協したりしながら続いていくというのは、わかるな。
「ふたりなのにひとりぼっち」そりゃそうだ。他人なのだから。
それでも同じご飯を食べ、一緒に眠り、なにがしかを共有することで、夫婦は成り立つ。
そういうものであろうよ、と思う。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月21日

雨はコーラがのめない / 江國香織


雨はコーラがのめない

雨はコーラがのめない

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 単行本


実際に読むまでこのタイトルを、雨の日はコーラが飲めない?なぜだろう・・・と勘違いしていた。
雨というのは江國さんちの犬で、この彼と音楽に寄せるエッセイ集。

残念ながら私は音楽、中でもジャズやシャンソンなどにはとんと疎いので、タイトルや歌い手の名前を見てもイメージをふくらませることができず、もったいない部分もあった。
雨は犬だけれど、江國さんにとっては親子で共同生活者で、心地よく依存しあう関係のようだ。
私は犬を飼っていないけれど、同じものに目を向けていても同じように見えているわけではない存在って、考えてみればとても不思議で新鮮だ。
でも、それは犬でなく人間であっても、同じことが言えるのかもしれないな。
読み終えてふと、雨と江國さんとの関係の中で、夫という人はどんな位置にいるのだろう?と思った。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年01月26日

号泣する準備はできていた


号泣する準備はできていた

号泣する準備はできていた

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/11/19
  • メディア: 単行本


短編集。江國さんの描く恋の物語は、私の守備範囲をはるかに超えた世界だ。
けれど、人を好きになるという気持ちに目を見はったり、本当はずくずくと崩れ落ちそうなくらい壊れかけなのにしゃんと背を伸ばしていたり、 そういう大人の女性のかわいらしさだとか強さ、賢さみたいなものが好ましくて、違和感なく読めてしまう。
どこがどう良いと思うのか、 いくら読んでもよくわからないのだけどなぜか読んでしまうし、
読むとあぁ好きだなと思うのだ。

何より気に入っているのは、たぶんその品の良さ。選ばれた言葉も美しい。
どんなに大切なものも、所有した時点で失う哀しみをも抱えこんだことになるという捉え方。
大切なものや幸せであることをそんなふうに感じる人は少ないだろう。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2003年09月19日

とるにたらないものもの


とるにたらないものもの

とるにたらないものもの

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/07
  • メディア: 単行本


江國さんらしい、懐かしさとひそかな驚きに満ちたエッセイ集。本文の、くすんだみどりいろの字もすてきだし、目次の明るくくすんだ茶色の文字もかわいらしい。
こういうのを読むと、ああやっぱり江國さんのエッセイって好きだなぁと思う。
ほんとうに、どうってことない日常の物や事が、江國さんにかかると一言ある特別なことになってしまう不思議。自分なりのやり方を、 それも我を通すというような厚かましさなしに通すことができるというのが、何よりすてき。
変わった人、ではある。そして私はそういう変わった人が大好きなのだ。
一番心を捕らえたのは、「旅行鞄」 子どもの着替えを持ち歩かなくて済むようになった今でも、私は小さい鞄が持てない。
無くてはならないと思い込んでいる、 つまり依存している物がそれだけ多いということなのね。
それから「黄色」。 私も、はっきりした黄色は身に付けられない。色に負けてしまう気がするから。
「箒と塵取り」これの良さを痛感するこの頃なので、思わず、そうそうと勢い込んでしまった。
こういう共感と憧れ、そこが江國さんの魅力かな。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2003年07月30日

綿菓子


綿菓子

綿菓子

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 単行本



結婚したお姉ちゃんの前のボーイフレンド・次郎君が大好きだったみのり。お姉ちゃんは大好きだけど、
3年間も付き合ってたのに何でいきなりお見合いで結婚しちゃうの? もう次郎君には会えないの?
どうして前のボーイフレンドと今のダンナさんが親しいの?13歳のみのりにはわからないこと、腹が立つこと、納得できないことがいっぱい。 なんだかとてもほほえましい。
うちも年の離れた姉妹がいるので、他人事じゃなく、わかるなぁという感じだった。
お姉ちゃんのボーイフレンドから好きな人に昇格した次郎君とみのりちゃんのその後が、とっても気になる。続きの物語、書いてくれないかなぁ
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2003年01月06日

流しのしたの骨


流しのしたの骨 (新潮文庫)

流しのしたの骨 (新潮文庫)

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/09
  • メディア: 文庫


高校を卒業して以来なにもしていない19歳の私・こと子の家族は、ちょっと変わっているけれど皆、仲がいい。 
おっとりしているけれど少々のことには動じない頑固者の長姉・そよちゃんは、結婚して家を出たが、どうやら戻ってきてしまったらしい。  
一番変わり者だけど唯一社会人として働いている次姉のしま子ちゃんは、自殺未遂の前歴を持ち、つけつけした物言いとは裏腹に優しい。
こと子にとってはいつまでも小さな弟・律は、中学生とは思えない穏やかさと素直さを身につけている。
そして厳格ながら家族思いの父と、 どこか少女のようでいてしっかり者の母。

不思議な家族だという印象は受けるけれど、自分が「普通」だと思っていたことが実は自分の家族の中でだけ「普通」だったなんてのはよくあることだし、 世間が学校がどうであれ、自分に家族にとって正しいものは正しいという凛とした姿勢が、とても好ましい。
律のフィギュア作りを気に入らないという学校に対して、 「くだらない」と切り捨てる父の頼もしいこと!
数少ない部外者のひとり・深町直人も、とても感じのいい青年だ。きっと律とは気が合うだろうな。
すべてが穏やかで、誠実で、ずかずかと踏み込まない程よい距離があって。優しい物語だった。

それにしても不思議なタイトル「流しのしたの骨」は、かちかち山から来ていたとは。
かちかち山・・・そんな場面があったっけ?これはぜひ読んでみなくては。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2002年12月20日

いつか記憶からこぼれおちるとしても


いつか記憶からこぼれおちるとしても

いつか記憶からこぼれおちるとしても

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 単行本


17歳の女子高生10人の6つの物語、ということだったので短編集かと思っていたら、10人はどうやら親しい4人組を中心に、少しずつ距離の違う同級生らしい。
不仲な両親どちらにも気を使いながら自分の目標に向かう少女もいれば、友達のような母親と買い物や外食を楽しむ子もいるし、誰にでも明るく接する裏で、 人知れず空想の殺人を犯す子もいる。
バカみたいと軽蔑しながら心のどこかでうらやましいと思っていたり、一緒にお弁当を食べたり遊びに行ったりする間柄でも、自分をさらけ出すことはない、 微妙な距離のある関係。

裕福な家庭が多いらしく、身ぎれいでていねいな言葉使いをする母親、というあたりはずいぶん違うけれど、そういえば17歳ってそんな感じだったかなぁと思う。
17歳の気持ち?もちろん覚えていますとも。
私も、一緒にお弁当を食べたり、打ち明け話をする友達はいたけれど、結局は単独行動者だった気がするし、それでも毎日はそれなりに楽しかった。一生懸命な時もあったし、 逃げたり閉じこもったり、うらやんだり、自分を卑下したこともあった。 もちろん、うれしいことや楽しいこともいっぱい。
と考えると、この物語に登場する少女達は、ずいぶん大人びているというか、醒めている気がする。
今の17歳は、もう無邪気ではいられない歳なんだろうか。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 江國 香織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする