![遠まわりする雛 [単行本] / 米澤 穂信 (著); 角川書店 (刊) 遠まわりする雛 [単行本] / 米澤 穂信 (著); 角川書店 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51qaANcFnVL._SL160_.jpg)
久しぶりの「古典部」シリーズ。
4人が古典部に入部して間がない頃から春休みまでの、短編集。
相変わらず奉太郎は「やらなくてもいいことなら、やらない」省エネ主義。
けれど千反田の「気になります」には弱く、この一言が出ると動かざるを得ない。
その「気になります」を封じるべく、謎の先制攻撃を仕掛けた「やるべきことなら手短に」
数学教師の勘違いに怒った千反田に意外な面を見つける「大罪を犯す」
『氷菓』事件の労をねぎらうため強制参加させられた温泉合宿での幽霊騒動「正体見たり」
自分を持ち上げる千反田に反論するため始めたゲームが、むしろ…となった、凝った謎解きの「心あたりのある者は」
初詣先で納屋に閉じ込められた奉太郎と千反田の脱出劇「あきましておめでとう」
摩耶花のバレンタインチョコが消えた「手作りチョコレート事件」
千反田の「生き雛」行列の通る橋が通行不可能になる「遠まわりする雛」
素直でおっとりしているのに、何にでも興味を示し、疑問に当たれば子供のように眼を輝かせる。
そんな印象の千反田が、今回はいろいろな面を見せている。
自分の主義に反する「気になります」の発動を阻止しようと画策する奉太郎も、時には声を荒げたり、兄弟がいることをうらやましがったり、晴れ着で大人びた社交をする彼女に、少しずつ気持ちが動かされていくのがわかる。
謎解きもおもしろかったけど、今回は青春小説的部分のほうが特に。
素直に好意を向けてくる千反田に奉太郎はどう向き合うのか、「こだわらない」主義のため摩耶花との関係を保留し続ける里志は、どう答を出すのか。
でもまあ、傷つけまいとしてつく嘘が、何よりその人を傷つけるんだってことも、わかったほうがいいなぁとか思ってしまうけどね。
そういう青くささも含めて、好きです。このシリーズ。今後にどう繋がっていくのかが楽しみ。