![光 [単行本(ソフトカバー)] / 道尾秀介 (著); 光文社 (刊) 光 [単行本(ソフトカバー)] / 道尾秀介 (著); 光文社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51xryn7wwoL._SL160_.jpg)
おとなしめの利一、くったくのない慎司と、利一がほのかな思慕を寄せる2歳年上の姉・悦子、裕福な家庭を鼻にかけがちな宏樹、祖母とつつましい二人暮らしの清孝。
小学4年生の男の子たちの、友情と冒険と言葉にしつくせない思いが交錯する物語。
第一章「夏の光」は、『Anniversary50』の中でも鮮烈な印象の一篇だった。
あの獰猛で愛情深いキュウリー夫人とその孫たちに、続く物語があったのかとうれしかった。
4年生の男子って・・・ほんと、ばかだなぁと思う。
単純で考えなしで、いいこともわるいことも思いついたら即、行動だ。
大人にはすぐ変なあだ名を付けるし、おもしろそうなこと、わくわくすることなら何人いたっていさめる者などなく、危なっかしいことこの上ない。
でも本当は彼らだって、見た目ほど単純なわけじゃない。
特に、友達より少し早く大人にならざるを得なかった清孝のような少年は、他の子たちより多くの屈折した思いと強さを抱えていただろう。
嫌な奴になることも多い宏樹にしても、それはそれで精一杯の自己表現だったんだろう。
仲良くしていても、一緒にいて楽しくても、時には不満や嫉妬、自己嫌悪や憐憫を感じてしまう。
そういうことを繰り返し、自分の気持ちや相手との距離に名前を付け、推しはかり、大人になっていく。
いくつもの表情を持つ少年たちの、いろいろあっても友達という繋がりが生き生きと見える。
ロマンチックな、あるいは極限での奇跡もある。
大人になった悦子の過去へ向ける目線は、慈しみに満ちている。
みんなより先に大人になったはずの悦子にとっては、それは子供時代から続く思いだったのかもしれない。
男の子のバカさかげんは、とても愛おしいものだから。
光って、何だろう・・・優しさとか強い思いとか、あるいは夢とか・・・
そういうものをお互いに受け渡ししながら大人になれたら。
口にした夢とは違う場所にいても、大人も悪くないなと思える気がする。
がむしゃらな無邪気さを手放したことに少しの寂しさはあっても、忘れがたい想い出は今も自分を強くする。