2015年01月26日

 月蝕楽園

月蝕楽園 -
月蝕楽園 -

しばらく遠ざかっていたのだけれど、これはいいかもと久々に読んでみた朱川さん。

それも愛情のかたちなのか、過ぎた執着なのか、5つのさまざまな偏愛が描かれています。
少々の偏りは普通の恋愛の範ちゅうだと思うので、ぴんと来ない話もあり、特異性のなかに美しさを感じる話もあり、でした。

見方を変えれば残酷なサイコものだけど、あやうい美しさのある『夢見た蜥蜴』が良かった。
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2010年04月05日

銀河に口笛


銀河に口笛

銀河に口笛

  • 作者: 朱川 湊人
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 単行本



四十台半ばすぎた男が記憶にとどめておきたいと願う、小学三年生のとき出会った不思議な少年リンダと、「ウルトラマリン隊」での探偵ごっこ。
今に続く思い出の中で鮮やかに甦る「あの頃」を描く物語。

同世代には懐かしいアイテムがたくさん登場し、思わず頬がゆるむ。
でも最近、こういうパターンばかりだよね・・・
自分の力ではどうにもならないことに出会うことが、大人への萌芽だというけれど、子供時代こそ、そんなことばかりにぶち当たっていた気がする。
大人になった彼は、何に倦んでいるのだろう?
今の自分こそ、子供時代とはまた別の輝きを持っていて欲しいのに。
懐かしいという以上に、ちょっとわびしい。
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2009年10月20日

あした咲く蕾


あした咲く蕾

あした咲く蕾

  • 作者: 朱川 湊人
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: 単行本


命を分け与える力を持つ人の末、雨の日にだけ聞こえる声がつなぐもの、今の自分を形作る大切なもの・・・そんな、ちょっと不思議で優しい話。
ほんわかいいお話です。が、ごめんなさい。児童書ならこの優しさもアリでしょうが、私には甘すぎ。
死を簡単に扱いすぎてる気がするのも、ちょっとね。
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2009年05月20日

本日、サービスデー


本日、サービスデー

本日、サービスデー

  • 作者: 朱川湊人
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/01/21
  • メディア: 単行本


神様がこっそりくれているサービスデーに気づいてしまった男の話「本日、サービスデー」
人の不幸は蜜の味、そしてちょっと謎解きのある「東京しあわせクラブ」
部屋に住みついた幽霊と心通わす男の「あおぞら怪談」
マッカチンとの闘いで、気合とは何ぞやということを学んだ少年の「気合入門」
三途の河原で渡し守に希望を渡され舞い戻る少女の「蒼い岸辺にて」

ダークな朱川さんの面影も見つけにくいほど、コミカルな調子にさくさく読めて、ほんのり後味もいい5編。
昭和の香りただよう「あおぞら怪談」のしみじみとしたおかしみ、ザリガニに人生を学ぶ「気合入門」の真摯なこっけいさが、特に。
あきらめさえしなければ、希望は必ずやってくる。
なんてことをうっかり信じてしまいそうになる明るさが、いい。
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2009年04月28日

わくらば追慕抄

わくらば追慕抄 [単行本] / 朱川 湊人 (著); 角川グループパブリッシング (刊)

千里眼を持つ姉・鈴音が、その力を使って人助けをしたり、事件を解決する糸口を見つけたりする日々が、妹・和歌子の思い出話として語られる、「わくらば日記」の続編。
今回は、鈴音と同じ力を持ちながら、秘密の暴露のために使う薔薇姫という女性が現れ、彼女を恐れるあまり鈴音からも離れようとした茜が新興宗教団体にのめりこんでいったり というところ。

過去に鈴音と関わりがあったという薔薇姫とは何者なのか、なぜ忘れたいことを忘れて生きようとする人を嫌悪するのか、そのあたりはまだ謎のまま。
ダッコちゃん、ベルリンの壁、トッポ・ジージョ、ロウセキ、団地・・・移りゆく昭和30年代の風物詩とともに、 穏やかで芯の強い鈴音の先が明るいものでありますようにと願ってしまう。

光と影の美しい表紙絵にもしやと思ったら、やはり影山徹さんによるものだった。
色使いといい浮遊感のある構成といい、とても惹かれる。
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2008年04月12日

スメラギの国


スメラギの国

スメラギの国

  • 作者: 朱川 湊人
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本



結婚後は一緒に住むことになっているアパートに、先に入居した志郎は、部屋に入り込んできた野良猫を飼い猫としてかわいがっていた。
アパート前の空き地と白い猫には近づかぬよう言われていた大家が亡くなり、車の駐車場として空き地の一部を借りられることになったが・・・

という本筋に、交通事故で息子を失った志郎の上司や、猫を虐待する男の末路、猫同士の内紛などが絡んでくるアニマルパニック物。
前半の柔らかなタッチがあるできごとをきっかけに一変、あとは畳み掛けるように壮絶で悲劇的な展開・・・そうでした。朱川さんはホラーを書く人でした。
もともと勝手気ままな猫が徒党を組んだら・・・と想像するとそれだけで怖い。
しかし、愛するものを守るためだとはいうものの、志郎という人の豹変振りが一番恐ろしかった。
祭り上げられたスメラギの想いを伝えてくる場面はちょっと切なく、こういう雰囲気は好きだったけど、結局は猫と人間の闘いという印象しか残らない。
いろいろな要素が絡んでの長篇なのに、ちょっと残念な気がする。
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2007年09月12日

いっぺんさん

いっぺんさん [単行本] / 朱川 湊人 (著); 実業之日本社 (刊)

三十年前、どんなお願いでも一回だけなら絶対叶えてくれる、山奥の祠「いっぺんさん」に一緒に願い事をした友だち、しーちゃんの思い出「いっぺんさん」 、
昔話をモチーフに、この世とどこかの隙間に入り込んでしまい二度と戻れなくなった子どもたちの「コドモノクニ」
恋人のいる母に気を使って正月を過ごすした祖母の家で怖いものを見てしまう「山からくるもの」
最後の人柱として山に眠る長馴染みへの追想「八十八姫」ほか4編の田舎を舞台にした不思議な物語。
ちくりと残酷な味わいも好きだが、怖さとそこはかとない哀しみと切なさがいい塩梅の短編集。

自分の居場所がないという寂しさから、二度と戻れないどこかに隙間に入り込んでしまった子どもたちの話が多くて、ちょっと胸が痛んだ。
怖いといえば「山からくるもの」 豹変したおばあちゃんがたまらなく怖い。
一番印象的だったのは最終話「八十八姫」この一編が抜き出て良かった。
大きな犠牲を払ってまで守ってきたものが、いつしか変わり、なくなっていく。
立ち向かう術を持たず自分の無力に打ちひしがれた少年も、やがては大人になる。
それでも想いは薄まるどころかむしろ鮮やかに立ち昇ってくる。
大切なものは今も変わらずそこにある、そう思って残された者は生きていくしかない。
たとえ心からそう思えたのだとしても、なにやら切ないではないか。
二度と戻らないもの、取り返しのつかないこと・・・生きていること自体がそうだとしても。
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2006年10月26日

水銀虫

水銀虫 [単行本] / 朱川 湊人 (著); 集英社 (刊)

体の中でたくさんの小さな虫が動き回っていて、それが首筋をはいのぼり、頭の中へ向かっていくような感覚。恐怖なのか歓喜なのか、全身の毛がそそけ立つようなぞくぞくした感じ。それが水銀虫。
体の底からわきあがる残忍な気持ち、見てはいけないものを見た恐怖、気持ちが負の向きに大きく振れるとき、魔が差すというときの魔に近い感じか。
そんなものに突き動かされた人たちの短編集。

そもそも表紙がコワイ。
理性を失うことも強く誰かを思うことも人をどうでもいいとおもうことも、怖い。
どちらかというと生理的な恐怖に訴えてくる物語が多かったな。

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2006年08月26日

赤々煉恋 

赤々煉恋

死人の魂を写真に焼き付ける死体写真師、さまよう飛び降り自殺した少女の魂、恋人の風変わりな嗜好にはまり込んでいく女性、 月からの来訪者を育てる男・・・
ちょっとグロテスクで物悲しい妄執にとりつかれた人たちの物語。

「いつか、静かの海に」が一番良かったかな。
本当に怖いものはひっそりと美しい。

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2006年01月21日

わくらば日記


わくらば日記

わくらば日記

  • 作者: 朱川 湊人
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本



昭和30年代の東京下町で、母と姉との3人でつつましく暮らす日々を綴った連作短編。
姉には、物や人の過去が見えるという不思議な力があり、ある事件に関わったことから警察にも協力を依頼されることになる。
繊細で美しく、不思議な力を持つ姉と、そんな姉を気遣いながら憧れてもいる妹。
すでに故人となっているらしい姉を思い出しながら語られているせいか、どこか懐かしくて、物悲しい雰囲気が漂う。 姉本人のその後に関わる部分までまだ語られていないが、これは続きがあるんだろうか?
一編ずつはひととおりの解決をみているけれど、 肝心な部分はこれから、という感じ。
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