2012年07月20日

クローバー・レイン

クローバー・レイン (一般書) [単行本] / 大崎梢 (著); ポプラ社 (刊)

今度は書店員ではなく編集者が主人公、しかも謎解きのないがっつりモノ作り作品。
出版社側の内輪事情にへえと思うことが多く楽しめました。
いい仕事をしても売れるとは限らない、というのはどの分野でも同じなんだなぁと少々身につまされたりも。

主人公は挫折知らずのお坊ちゃんぶりで周囲を怒らせたり呆れさせたりもするけれど、型にはまらないまっすぐな熱意が周囲を変えていきます。
恋愛については、ちょっと無理やりというかできすぎ感はあるのだけど。まぁめでたしかな。
この先失敗や挫折も経験すればこの男、案外大物になるかも?
あらすじであまり興味を魅かれなかった『プリティが多すぎる』も同じ出版社繋がりらしいので、いずれ。
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2010年10月17日

背表紙は歌う


背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)

背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/09/11
  • メディア: 単行本


明林書房の営業マン井辻智紀、人呼んでひつじくんの奮戦シリーズ。

初対面にも関わらず、小さな出版社を嘲笑うかのような暴言を浴びせた相手の真意を探る 『ビターな挑戦者』
過去を明かしたがらない新人作家のサイン会に、かつての同級生を名乗る書店員が投げかけた波紋と謎 『新刊ナイト』
新潟のシマダ書店を憂うベテラン営業員・久保田さんの意外な過去からつながる物語 『背表紙は歌う』
東々賞ノミネートに各出版社が浮き立つ中、受賞作がすでに決まっているという噂が流れる 『君とぼくの待機会』
大々的なプロモーション展開が決まった作品の推薦コメント依頼に奔走する明林書房に、 成風堂の書店員からコメントと共になぞなぞが届く 『プロモーション・クイズ』

お気に入り吉野さんの出番が少なくてちょっと残念だけど、営業同士のライバルだけど仲間という気風のやりとり、 成風堂つながりもあって、楽しめた。
デビル大越も印象的なキャラクターで今後も活躍してほしいが、 くだらないものを次々と本にして店の負担を増やすんじゃないよというのは、ちょっと引っかかるなぁ。
どこで買っても同じだし、欲しい商品だけが望み通り入荷できるわけではないという事情は、 個々の店舗にとって大変だろうと思う。
でも良いものを売っているいい店というだけでは、続かないのです。どんな商売でもね。
それを出版社に八つ当たりするのは若干子供じみている気がする。
まあそれも、本や書店に対する思い入れの強さの表れなんでしょう。

ともあれ、多くの人の苦労で今こうして本を手にできるということには感謝!
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2009年11月29日

ねずみ石


ねずみ石

ねずみ石

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/09/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


4年前、村で起こった殺人事件はまだ犯人が捕まらず未解決のままだった。
同じ日に、願い事を叶えてくれる「ねずみ石」を探すイベントに参加し、迷ったすえ朝まで行方不明だったサトには、その時の記憶がない。
中学一年になったサトの前に、失われた記憶と事件の関わりを追う刑事が再び現れ、祭に興味を持つ友人のセイとともに事件の真相を探り始める。

狭い村の中で起こった凄惨な事件。
自分のなくした記憶の中には、何が秘められているのか。
兄のように慕う人の嘘、信頼する友人の秘密・・・自分を支えているものが根底から揺らぐ恐怖。
それぞれに鬱屈するものを抱える少年たちの友情と冒険の物語、といったところ。
むごい死人が出たり、隣人が豹変したりという暴力的な描写はなじめない感じがしたし、謎も見え透いている部分があったけれど、交錯する登場人物の思惑を追うのはおもしろかった。
出番は少なかったけど、シゲ兄がけっこう好きだったな。
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2009年04月09日

スノーフレーク

スノーフレーク [単行本] / 大崎 梢 (著); 角川グループパブリッシング (刊)

東京の大学に進学が決まり、卒業を待つばかりの真乃は、
6年前に死んでしまった幼なじみ・速人のことをふっきり、新たな生活をはじめようとしていた。
そんな矢先、真乃のまわりで速人そっくりの人物が姿を見せる。
遺体の見つかっていない速人が本当は生きているのではないかと希望を
抱いた真乃は、6年前に事件について調べ始める。

やるなぁ、大崎さん。今まで読んだ大崎作品の中で、一番良かったかも。
速人は生きているのか?
生きているなら、どこでどうしているのか?
幼なじみの速人と亨、突然現れた速人のいとこ勇麻。
それぞれ何らかの秘密を持つこの3人の間で、もどかしく揺れ動く真乃の本当の気持ちは?
ぴりっと小技の効いた連作短篇も良いけれど、次々とくりだされては二転三転して先の読めない謎に、興奮冷めやらぬまま最後まで引っ張られた。
小さな玉ねぎのようなものが手渡されたとき、あぁそういうことかと
真乃にシンクロするようにがっくりと力が抜けた。
なんだか二度喪ったみたいで、悲しかったなぁ
でもそれは、真乃が先へ進むためには必要なことだったんだろう。

そして最後の最後に、思いもよらなかった真実が明かされて、すべてがすんなりと腑に落ちる。
ほんの少しほろ苦い気持ちを残しつつ、さわやかに、晴れやかに、これからに踏み出す真乃たちがほほえましい。
純愛すぎ?いやいや、ほんとうに大切なものは、そう簡単には手に入れられないものなんだよ。
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2008年09月06日

夏のくじら


夏のくじら

夏のくじら

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 単行本



大崎さんといえば本屋もの。
そう思っていたら、今回はなんと、よさこいをテーマにしたさわやかな青春もの。
ちょっと謎も入ってます。
仔細は後日。書ければ。
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2008年08月22日

平台がおまちかね

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ) [単行本] / 大崎 梢 (著); 東京創元社 (刊)

書店まわりの新人出版社営業員が、担当エリアの書店をまわるうちに出会う謎を、書店主や店員、前任の担当者、他社のライバル営業マンなどと絡ませながら解いていく、 ほのぼの奮戦記。

自社本の一冊を大量に売り上げてくれている書店を訪ねたら、すげなく追い返された『平台がおまちかね』
営業員ら「マドンナの笑顔を守る会」と共闘を組むほど仕事熱心で接客も細やかなハセジマ書店員のマドンナこと望月さんから笑顔が消えた謎 『マドンナの憂鬱な棚』
新人賞贈呈式の直前になって作家が取り乱した理由とそこに向けられた悪意『贈呈式で会いましょう』
初めて訪れたところすでに閉店していたユキムラ書店の絵本をテーマにした看板と、そこに佇む男の物語『絵本の神さま』
他社本を含めた文庫のポップ販促コンテストで、佐伯書店の真柴が選んだ本だけが移動する謎『ときめきポップスター』
という連作短篇集。

今度の主人公は出版社・明林書房の新人営業社員・井辻智紀。
本好きなあまり、お気に入りの本に出会うと物語をジオラマに仕立ててしまうほどのめりこんでしまうというちょっと変わった性癖あり。
様々登場する書店主や書店員たちが、今回も個性的。
担当エリアの重なる佐伯書店の真柴には「ひつじくん」呼ばわりされ、担当書店からの信頼厚いふたつ前の前任者・吉野と比べ、 自分の力不足を通関しながらも奮闘中しているのが、何やらほほえましい。
営業以上に才能がありそうな謎解きは、「成風堂で働いている友だち」=多恵ちゃんも面白がらせているようだ。

これは出版業界に限らないことだが、小さな出版社、地方の書店の抱える問題や深刻な事情も見えて、身につまされる。
本が好きで、本に関わっている人たち、自分も読んだことのあるすてきな本たち…というだけで共感できるしね。
好みがあるからどれも気に入るとは限らないけど、『ときめきポップスター』で、それぞれの営業マンが選んだ本というのも興味深い。
中でも「忘れ雪」、ラブストーリーが苦手でこの作家ということで敬遠していいたけど、読んでみようかしらと思う。
あぁそれと恩田さんの「ライオンハート」、これだけ未読なんだよなぁ
若竹さんの「サンタクロースのせいにしよう」、これも気にしつつ味読。
いろいろ触発されてしまった。
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2007年11月05日

サイン会はいかが

サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア) [単行本] / 大崎 梢 (著); 東京創元社 (刊)

成風堂書店シリーズ3作目。再び短編集。

同じ本を注文した4人が4人とも覚えがないという事態が相次いで起こり、それが一年前に事故死した老人の交友関係に絡んだ疑惑に絡む『取り寄せトラップ』
社会科の校外学習で成風堂にやってきた小学生のひとりがとった謎の行動『君と語る永遠』
不器用なニブちんの男の恋路やいかに?の『バイト金森くんの告白』
ミステリ作家影平紀真に嫌がらせを続ける人物<レッドリーフ>の謎解きをかけて、成風堂でサイン会が行われることになった。探偵役を仰せつかった多恵は、当日までにレッドリーフの正体を明かせるのか?というどきどきモノの『サイン会はいかが?』
常連客が写真の入った封筒を紛失し、子どもの童謡が発見の鍵となる『ヤギさんの忘れもの』

本が好きというだけでは済まされない日々の雑多な仕事・・・
雑誌についてくる多種多様の付録、あれはやはり書店でいちいち組み合わせて紐掛けしていたのね。
今回も、そういう実際的な業務内容で、成風堂という本屋がとてもリアルに感じられた。
多恵ちゃん大活躍の謎解きは変わらず見事だが、犯人を見つけるだけでなく、
その先が明るいものであるように予感させるところがいいね。
足を運ぶ客それぞれに想いや事情があれば、店員として接する人たちにもまた同じように様々な想いがある。
謎解き以上に、常連客とお気に入り店員の交流が、ほこほこと温かな気持ちになったり、小さな手をめいっぱい広げて片手で広辞苑をつかもうとした少年の真意や、変わらない物に願いを託した父親の想いに、不覚にもうるうるっときてしまったり。

良いです、このシリーズ。まだまだ続くといいなぁ
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2007年11月01日

晩夏に捧ぐ

晩夏に捧ぐ−成風堂書店事件メモ 出張編−

成風堂書店のシリーズ2作目。
二十七年前、著名な作家が惨殺され、現場にいた弟子・秋郎が逮捕された。
解決済みの事件にも関わらず、老舗の本屋・まるう堂に出た幽霊の正体は秋郎だという噂が立った。
秋郎とも親しかった店主は憔悴し、すわ、まるう堂存続の危機!と町中の人が心配する中、乗り出したのが店員の美保。
かねてより元同僚の杏子を通じて噂を伝え聞いていた多恵に謎解きを依頼する。
そして杏子とともに長野へ向かった多恵は、二十七年前と、現在進行形と、ふたつの事件の謎に挑む。

今回は長編。まるう堂という地域に密着した老舗の本屋が舞台。
御年70歳の店主は現役で、店の隅々に目を配り、気を配り、心地よい空間を作り上げている。
20坪ほどのフロアに広がる小宇宙・・・杏子がそう嘆息するほどの店なのだ。
お客として行ってみたい!と思わずにはいられない。
何より、本を、本屋を愛する目線が、嗜好を同じくする私を惹きつける。
そして謎。
幽霊騒ぎについては、名探偵の多恵は、出発前からすでにひとつのめぼしを付けていたらしく、
そこからたぐり寄せられる昔の殺人事件についても、見事に解き明かしてしまう。
犯人が誰かよりも、秋郎がなぜ恩師の遺体のそばで笑みを浮かべていたのか、というところに
興味があったのだが、あばかれた真実はかなり痛かった。
自分を身を削らなければ書けない作家というのもまた、業の深い仕事だね。
導かれる答えは、誰かの幸せに繋がらなければという解決の仕方も、後味がいい。

かつて行き詰っていた多恵の人生を変えた絵本・・・子供のころ大好きだった『秘密の花園』に似ているけれど、何だろう?気になるところ。
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2007年10月24日

配達あかずきん

配達あかずきん (ミステリ・フロンティア) [単行本(ソフトカバー)] / 大崎 梢 (著); 東京創元社 (刊)

駅ビル内にある書店・成風堂では、日々の業務の間に、様々な問題や謎が持ち上がる。
それを、書店員の杏子と、アルバイト店員の多絵がコンビとなって、解決していく書店ミステリ。

近所に住む寝たきり老人に頼まれたという探索本リストの謎「パンダは囁く」
コミック「あさきゆめみし」を購入後、失踪した母の行方をさぐる「標野にて 君が袖振る」
美容院に配達したばかりの雑誌に、女性客の盗撮写真が挟み込まれていた「配達あかずきん」
店員と間違えられた出版社の営業マンがが選んだ、見舞い用の本「六冊目のメッセージ」
人気漫画の販促コンテストのため作りあげたディスプレイが、一夜にして壊された「ディスプレイ・リプレイ」
という5編の連作短編。
本好きにとって夢の職場である本屋さんの日常は、知力と体力、判断力、それにセンスも問われる大変な業務である、ということがよくわかる。
それでも、ああこの人たち、本当に本が好きなんだなぁとすごく共感できてしまうし、本が好きなこういう書店員さんがいる店は、居心地がいいだろうなぁと憧れる。
好きだから仕事も楽しい、でも仕事だから好きなだけじゃやっていかれない。
そういうジレンマもありつつ、本に関わるプロとしての意気込みが、頼もしい。
物を売るということは、人と関わること。改めてそう思う。

そこで持ち上がる問題に、「書店の謎は、書店員が解かなきゃ」と立ち向かうのは、しっかり者でできる店員の杏子と、勘のいいアルバイト店員の多絵。
この多絵が、仕事もできて勘働きもすばらしいのに、とんでもなく不器用というのごも愛嬌。
謎も、ほのぼのとしたものから、思いがけない悪意を暴き出すもの、しんみりと人を想うもの、ほのかな恋を予感するものと様々。
一番おもしろかったのは、どきどきはらはらありで、思いがけないところまで発展した謎解きの「配達あかずきん」かな。
このシリーズ、あと2冊あるらしいので、とても楽しみ。
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2007年09月29日

片耳うさぎ

片耳うさぎ (光文社文庫) [文庫] / 大崎 梢 (著); 光文社 (刊)

6年生の奈都一家は、父の会社の倒産によって、父の実家である蔵波屋敷に転がり込むことになった。
祖父とその姉、伯父さん一家、従兄弟の6人が住まう伝統ある旧家に居候の身となり、 肩身が狭いうえ、古くて広い屋敷が怖い奈都。
そしてひと月がたった頃、父は職探しに奔走し、母も母方の祖母の見舞いに出かけ、 週末までの数日をひとりで過ごすことに。
落ち込む奈都を見かねた同級生が引き合わせてくれた中学生のさゆりさんが、 一緒に屋敷に泊り込んでくれることになったが、好奇心旺盛なさゆりさんとの屋敷探検が 屋敷にまつわる不吉な言い伝えを呼び起こすことになる。

借金を肩代わりしてくれ、住まう場所もあてがってくれた父の実家の人たちは 決して敵ではないけれど、味方でもない・・・小学生の子供がひとり、部屋で夜をすごす 心細さは、同級生の「おねえさん」さゆりさんによって救われる。
このさゆりさん、頼りになるんだかわざわざトラブルに巻き込まれに行ってるんだかという存在だけど、怖い物見たさの屋敷探検には思わずどきどきした。
そして現れた片耳をちょん切られたうさぎのぬいぐるみ。 これは怖いねー
それを怖がるどころかさらに意欲を燃やしたさゆりさんに引っ張られ、 奈都もいつしか屋敷に住む人たちの過去の、そして今に繋がる物語を知ることになる。

雪子伯母さんの厳しさの訳、忌み物としてのうさぎ、夢のような思い出が導き出す隠し部屋… 屋敷と人物、現在と過去と、謎解きも凝っていて楽しめた。
「おねえさん」は訳ありだろうなと思っていたけど、「従兄弟」は予想外。
登場人物の多くが、実は・・・だが、嫌な悪人はいなくて、 最後までほんわか温かな雰囲気なのが良かったな。
物語の一場面を切り取ったような表紙絵も、意味深なのにほのぼのとした感じでマル。
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