![配達あかずきん (ミステリ・フロンティア) [単行本(ソフトカバー)] / 大崎 梢 (著); 東京創元社 (刊) 配達あかずきん (ミステリ・フロンティア) [単行本(ソフトカバー)] / 大崎 梢 (著); 東京創元社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61SG6CYWT6L._SL160_.jpg)
駅ビル内にある書店・成風堂では、日々の業務の間に、様々な問題や謎が持ち上がる。
それを、書店員の杏子と、アルバイト店員の多絵がコンビとなって、解決していく書店ミステリ。
近所に住む寝たきり老人に頼まれたという探索本リストの謎「パンダは囁く」
コミック「あさきゆめみし」を購入後、失踪した母の行方をさぐる「標野にて 君が袖振る」
美容院に配達したばかりの雑誌に、女性客の盗撮写真が挟み込まれていた「配達あかずきん」
店員と間違えられた出版社の営業マンがが選んだ、見舞い用の本「六冊目のメッセージ」
人気漫画の販促コンテストのため作りあげたディスプレイが、一夜にして壊された「ディスプレイ・リプレイ」
という5編の連作短編。
本好きにとって夢の職場である本屋さんの日常は、知力と体力、判断力、それにセンスも問われる大変な業務である、ということがよくわかる。
それでも、ああこの人たち、本当に本が好きなんだなぁとすごく共感できてしまうし、本が好きなこういう書店員さんがいる店は、居心地がいいだろうなぁと憧れる。
好きだから仕事も楽しい、でも仕事だから好きなだけじゃやっていかれない。
そういうジレンマもありつつ、本に関わるプロとしての意気込みが、頼もしい。
物を売るということは、人と関わること。改めてそう思う。
そこで持ち上がる問題に、「書店の謎は、書店員が解かなきゃ」と立ち向かうのは、しっかり者でできる店員の杏子と、勘のいいアルバイト店員の多絵。
この多絵が、仕事もできて勘働きもすばらしいのに、とんでもなく不器用というのごも愛嬌。
謎も、ほのぼのとしたものから、思いがけない悪意を暴き出すもの、しんみりと人を想うもの、ほのかな恋を予感するものと様々。
一番おもしろかったのは、どきどきはらはらありで、思いがけないところまで発展した謎解きの「配達あかずきん」かな。
このシリーズ、あと2冊あるらしいので、とても楽しみ。