2025年03月09日

 楽園の楽園

楽園の楽園 - 伊坂幸太郎
楽園の楽園 - 伊坂幸太郎

地球破滅を回避するため、選ばれし3人が暴走する人工知能『天竺』探索に向かう、近未来西遊記。

始まりは、やたら元気な少年3人が冒険の旅に出るようなわくわく感、そして物語と伴走するような挿入画にも魅せられつつ、たどり着いた先の展開に楽園の意味を思う。
愉快で容赦なく、でもこの混沌はいずれ何かの始まりかと思えば悪くない、かもしれない。

さくっと読めるボリュームでしたが、伊坂作品は枝葉も面白い。
結末をおぼろにしか覚えていない『山椒魚』が今、気になって仕方ないのです。
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2023年11月06日

 777 トリプルセブン

777 トリプルセブン (角川書店単行本) - 伊坂 幸太郎
777 トリプルセブン (角川書店単行本) - 伊坂 幸太郎

出れば必読の伊坂作品、読み始めてから殺し屋シリーズと気づいた次第。
天道虫に見覚えはあれど、マリアビートルなんて何年前よ?覚えてないわぁ・・・でしたが問題なく楽しめました。

殺し屋の話ではありますが、まぁびっくりするくらい死人が出るし、残酷な趣味の業者がいたり、誰が敵やら味方やら?な展開でしたが、結果勧善懲悪な幕引きでスカッとしました。
相変わらずなネーミングセンスの中、普通の名を持つ紙野ちゃんが、普通の生活を送れそうなことがとても喜ばしい。
ふざけてるのに大切なことだけは大真面目な伊坂節が、たまりません。
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2020年07月19日

 逆ソクラテス

逆ソクラテス (集英社文芸単行本) - 伊坂幸太郎
逆ソクラテス (集英社文芸単行本) - 伊坂幸太郎

伊坂さんの描く、妙に大人びた子供たちが好きだ。
彼らは、問答無用の大人や現実という圧倒的な力に打ちのめされることもある。
けれど、今はどうにもならなくてもいつかきっとと思っていたり、ヒーローは無理でも強きに流されるのは良しとせず、あらがうのだ。
「僕はそうは思わない」、この言葉に心を打ち貫かれた。

理不尽や悪意に立ち向かうため、ひとつの方法が示される。
導くっていうのは、こういうことなんだなと思う。
痛快でもあり、現実の圧倒的な力がほろ苦くもあり。
そして連作ではないけれど、ゆるく繋げる人物がいたりというおなじみの楽しみもあって。
読後感は文句なしに最高。
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2019年11月21日

 クジラアタマの王様

クジラアタマの王様
クジラアタマの王様

製菓会社の広報担当者と人気芸能人と、政治家。
奇妙な夢で繋がった3人が、共に闘い悪に立ち向かう?物語。
とまとめちゃうと少し違う気もするが、おおむねまあそんな感じ。
身の回りで起こる様々なことが繋がり関わりあって、声の大きい人じゃなく頑張る人が報われ正義は勝つ的な、痛快さに胸がすく。

ちょいちょい挟み込まれるコミック部分がこれまたいい味で、楽しい。
文字から来るイメージよりインパクト大なのが良し悪しかとも思うけれど、そもそもハシビロコウなんて絵が無けりゃイメージ湧かないしなとも。
あのハシビロコウから感じる無気味さが、物語の結末にそのまま余韻として残ります。
いなくなっていたけれどね、ずっとそうなのかはわからないのだし。
どこか他のところですでに戦っている誰かがいるのかもしれないし、
いつかまた誰かが、あそこに呼び出されるのかもしれないな、なんてそんな風に。

タイトルから試みやあとがきも含め、軽妙痛快でした。いいね。
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2019年04月07日

 フーガはユーガ

フーガはユーガ
フーガはユーガ

幸せとは言えない子供時代を過ごし、いつからか異能を手に入れた双子の物語。
対策に苦心し制御できない異能など不便なだけじゃないかと思うけれど、「意外に楽しい」のか、そうなのかと思う。
子どもに対する無関心や暴力に加え、犯罪的に残酷な仕打ちも出てくるので、辛い場面も多々ある。
子どもは力が無くてどこへも行けなくて不自由で、だからこそ守られるべき存在なのに。
せめて彼らが双子で良かったなと思う。

あの異能は、普通の人が当然のように持っているものを持たされなかった彼らに、誰かが人生挽回の武器として与えたのかもな、なんて思った。
彼らはそんなこと、どうとも思っていなかったようだけれど。
知らない事は教えを請えばいい、馬鹿にされるくらい何だというのか、と。
本当の強さってそういうことなんだと、不意打ちのように胸を突かれた。

風我もワタヤホコルも、自分の家族を紡いでいる。
子どもを待ち望んで、面白がって、慈しんで育てるんだろう。
でも優我は・・・きっとハルタの心のなかでは、ヒーローとして生き続けるんだろうな、とは思う。
温かな気持ちに包まれもするけれど、やはり切ない。切なすぎる・・・

まあでもね、こういう残酷さも崇高さもあるこの世界に、淡々として不器用で、でも心のなかにはとんでもなく熱い正義感があって。
伊坂さんの描くそういう人が、とても好きです。
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2014年05月05日

 首折り男のための協奏曲

首折り男のための協奏曲 [単行本] / 伊坂 幸太郎 (著); 新潮社 (刊)

『Story Seller』等アンソロジー本で読んだことのある3編を含む、短編集。
もとは独立した短編を連作に組み上げた一冊ということらしく、うまくまとめ上げてあるけれど、さすがとは思うけれど、だからなのかという感じもあり。

首折り男に始まり、黒澤の物語が繋ぎ、最後はまた首折り男に戻る。
伊坂作品ってけっこう残酷なことがさらっと織り込まれてるんだよね。
そういうのも含めて好みなんだけど。
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2013年03月19日

笑うハーレキン

笑うハーレキン [単行本] / 道尾 秀介 (著); 中央公論新社 (刊)

家族も住むところも失い、トラック一台で家具修理を請け負いながら生きている東口が、底辺の生活からはいあがっていこうとする物語。

ホームレス生活者であっても東口には、何もかもを失ったわけではないと思わせられるまっとうさがある。
自分を見捨てなかったからこそ、再生もある。

泥臭くていいお話だった。
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2013年03月03日

残り全部バケーション

残り全部バケーション [単行本] / 伊坂 幸太郎 (著); 集英社 (刊)

タイトルからして魅力的、そして期待通りに面白かった!
ヤクザな仕事をしているけれど、芯に人としての正義みたいなものを持っていて憎めない男たちの、
やっていることは何だか子供の冒険のような、わくわくさせられる物語。
そんなバカなの設定も伊坂さんにかかると、案外そんなこともあるかもな、あったらおもしろいだろうなと思えてくる。

人はいろいろな面を持っているからおもしろい。
人生何が起こるか、どう転がるかわからないからおもしろい。
こういう小説に出会えるから、本を読むのは楽しいんだよ。
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2012年06月28日

夜の国のクーパー

夜の国のクーパー [単行本] / 伊坂 幸太郎 (著); 東京創元社 (刊)

とある国の伝説と戦争と猫と鼠の物語。

妻の浮気が発覚、気晴らしに釣りに出かけたら船が転覆、どことも知れぬ場所で猫に話しかけられていた・・・というのが物語のはじまりだ。
この猫トム視点での、隣国に降伏した小さな国の事件を軸に、「クーパー」討伐に選ばれた兵士の話、猫と鼠の新たな関係性構築の話が絡んでいく。

異世界の物語でありながら、戦争という脅威にさらされた大衆などの人間像はとても生々しい。
これは深く考えるべき物語なのか、ファンタジーなのか?
クーパーの謎や交わされる会話のおもしろさにするすると引き込まれてしまうけれど、底に何かしら不穏な気配が沈んでいて、読んでいてドキドキと不安になる。

そうなんだよ。
近年の伊坂作品はいつも、おもしろさの背後に何とも言えない怖さが潜んでいる感じなんだ。
だからこそ、その緊張感から解き放たれる結末が鮮やかで清々しい。
無責任なハッピーエンドではなく、良くも悪くも余韻があって。
ああ良かったな、いいお話だったなと満足する。

人の営みの生々しさと伝説の浮遊感、それを包み込む温かさ。
これはおもしろかった。
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2012年05月02日

PK

PK [単行本] / 伊坂 幸太郎 (著); 講談社 (刊)

『PK』『超人』『密使』、時間軸の異なる3つの話が、遠因や結果となってかかわりあい、いくつもの情景を描き出す物語。

何か大きな力があるらしい。
世の中が「大変なこと」にならないよう見張っていて、何かを試みているようだ。
作家は原稿の改変を要請され、その息子は議員時代にたまたま幼児を転落から救い、大臣になって幹事長から不本意な申し出を受ける。
サッカー選手は八百長を強要され、予言メールによって正義の味方が暗躍する。

何をして何をしないか、その行為ひとつひとつが、それまで影響を受けてきたものすごく多くのことの結果であり、影響を与える原因にもなる。
でもそれが、何にどう影響するのかしないのか、先のことはわからない。
だったら、良しと思うことをやっていくほかないよね。
考えてみれば、癒しや励ましは、自然や音楽、動物などからも得られるけれど、勇気っていうのは人からしか与えられないものかも。
伝播する勇気。いいね。

3編がみごとに絡まり合っているので繋がりの把握にとまどったが、楽しかった。
中でものお気に入りは、次郎君の恐怖体験。
そういう友達を持ったあの作家もまた、くせ者だったのでしょう。
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