2023年12月23日

 食べると死ぬ花

食べると死ぬ花 - 芦花公園
食べると死ぬ花 - 芦花公園

何だか不気味で怖い本だったなあと思う。
結局、一家は試されたのか。
次々と見せられる醜さや愚かさ、それもう嫌になるほど人間らしい。
不気味な言葉を口にする一花が別次元の人のようで、一番怖かった。
ただキリストの教義に疎いので、ニコライの言葉や禍々しいプレゼントの真意がわからず、ただ恐ろしげな結末に震えました。

この作者の描く物語に、私はどこまでついていけるかな・・・
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2021年06月20日

 おらおらでひとりいぐも

おらおらでひとりいぐも (河出文庫) - 若竹千佐子
おらおらでひとりいぐも (河出文庫) - 若竹千佐子

年を取るのも悪くないと思える小説のことを、玄冬小説、というのだそうだ。
故郷を足蹴にして出てきた東京で夫となる人と出会い、結婚してふたりの子供にも恵まれ、やがて
成長した子供たちが独立してふたりきりに戻ったと思ったら夫に先立たれ。
人生の最終ステージに立った桃子さんの、自分自身との対話となる一人語り。

身に沁みついた故郷の言葉でなければ言い表せられない心持ち、というのがあるのだろう。
耳からでは聞き分けられないだろう東北弁も、文字ならば雰囲気はわかるし、読んでいるのに
そのリズミカルな調子に思わず聞き入ってしまった。

振り返れば喜びも悲しみも後悔も忘れ難くあるけれど、気が付けばひとり、体の衰えも感じている。
想像していた74歳とは違うけれど、
何をどう言い訳して悔いたとて、生きている間は生きていく。それでいい。
ひとりは必ずしも孤独ではないし、不幸でもない。なにより自由だ。
それが本音の時もあるし、強がりの時もある。というのは少しわかる気がする。
自分の老いは受け入れても、娘の背に感じてしまった老いには激しく動揺する桃子さんに、
母はいつまでも母なのだなぁと思う。

体の不調を感じる桃子さんのもとに、ふいに孫娘ちゃんがやってくる。
そして繋がっていく。ということなのかもね。
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2018年10月17日

 社会人大学人見知り学部卒業見込

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)
完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)

ダヴィンチ誌上でちょこちょこ読んで気になっていた、オードリー若林さんのエッセイ。
読むほどに、お笑い芸人を目指す人のイメージからかけ離れていて、何でお笑いなんだ?と思ってしまう。
不器用で小心でそのくせ変にプライドだけは高い、面倒な人。
うまーく立ち回れる人もいるのに、日和ることを良しとせず突っ張って損をして、何で自分だけとひがむ。
見てて痛々しいけど、それは振り返ってみれば我が身にも覚えがあるから、なおさらなのかも。

実は、自分を客観視できる頭のいい人なんだなと思う。
考えすぎて空回りするのは若さゆえとしても、芸人に限ったことではなく、若い頃に自分の内面を突き詰めて見すえる時間って大事なんじゃないかな。
という小理屈以上に、ただ読んでておもしろかった。
他のエッセイも読んでみよう。
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2015年03月16日

 小さな異邦人 / 連城美紀彦

小さな異邦人 -
小さな異邦人 -

男女の機微をからめたミステリ短編集、といったところでしょうか。
初・連城作品でした。
ベテランらしく、仕掛けや心理描写は巧みだし、意外性に驚かされたりもしたのだけど・・・どうも作風がね・・・
恋愛とか女性の描き方がどうにも好きになれなくて、読み終えるのにずいぶんと時間がかかってしまいました。

同氏の『女王』も気になっているんだけどなぁ・・・と、迷い中。

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2011年06月21日

 のぼうの城 / 和田竜

のぼうの城 [単行本] / 和田 竜 (著); 小学館 (刊)

国盗りも戦国武将もほとんど興味がないのだけれど、これは評判にたがわずおもしろかった。

のぼう様、いいねぇ。
駆け引きや腹の探り合いが常套の世の中で、良かれと思うがままにふるまう人がいたら、それは読めなくて怖いだろう。
戦いにも美学があり、武人にとっては良い時代だったのだなと思う。
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2006年10月29日

 無花果日誌 / 若合春侑


無花果日誌 (文芸シリーズ)

無花果日誌 (文芸シリーズ)

  • 作者: 若合 春侑
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 単行本



家事をこなし、家業の八百屋を手伝いながらカトリック系の女子高に通う岩岸桐子17歳。
お嬢さん学校など不似合いと感じながらも愛すべき家族と家庭環境の彼女が、 同級生との摩擦や学校への反発、特別な男の子・郁くんとの恋、母の死を経験しながら過ごしていく日々を、日記に書くように素直に綴っている物語。

くじけずいじけず、まっすぐに頭を上げて歩いていく少女。
どこか古風でさえあるのに、未熟で危うくてからっとしてて、まぶしいくらいみずみずしい感じ。
平凡ではない育ち方をしたらしい郁くんも、ひょうひょうとしてカッコいい。
そして彼女は、命の期限を知った両親の思いを知り、病室で母から自分に後を託され、自殺した同級生への大人の対応に命が誰のものかを自問する。
生きることも生きられないことも、痛みを伴う。
ならば。彼女はその先もきっと、力強く前へ歩んでゆけるんだろうな思えた。

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2005年11月19日

 ボロボロになった人へ /リリー・フランキー


ボロボロになった人へ

ボロボロになった人へ

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 単行本



あのリリーさんがどんな小説を書くのか興味があったので読んでみた、初の小説集。
いい加減なのに生まじめで、猥雑なのにとても純粋。
生きてくうちには、ものすごく一生懸命がんばったって報われない時もあるし、単なるラッキーで全てがうまくいってしまうこともある。 そう知っていてもダメなときにはくじけ、いい時には舞い上がる。
人間ってのはばかばかしくてかわいいもんだなと。がんばれ!がんばろう!じゃなくて、生きてりゃそのうちいいこともあるさ、ぐらいの抜け方でもいいんだと。そう思えた。
空っぽの中に熾き火のようにくすぶる何かを抱えてる人、というイメージが残った。
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2005年08月06日

 東京タワー / リリー・フランキー


東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2005/06/28
  • メディア: 単行本



久しぶりにすごいもん読んじゃったなぁと思った。
リリーさんとは同世代、親もまたしかり。そのせいか、全然違う環境で、違う時間が流れているにも関わらず、どこか懐かしい感じがした。 そして、口当たりのいい作り物のお話にはない、血肉を備えた人間の物語に、ぎりぎりと心丸ごと引き絞られた。
笑い転げるようなおかしみと、生きていくことへの真摯な思いの絡みが絶妙だ。

とにかくオカンがすごい。ひとり息子が一人前になるまで、文字通りそのためだけに心血を注ぎ、病を得てからは息子の世話になりながらも、 息子やその友人たちのためにご飯を作り続けた。
自分のために欲を張らず、人に迷惑をかけないよう生きていくことに心を砕く。
まさに偉大なる母である。
それでも、親子の関係はいつか逆転する。保護する者から保護される者へ。
ひそかに死の準備をしながら、息子の世話になっても決して甘えきらず、自分にできることを最後までやり続けたオカン。甘えず、卑屈にもならず、楽しみながら人生に立ち向かう姿に胸を打たれる。

オトンのことを思う。結婚生活に向いていない人だったのだろう。けれどこのふたりは形以上に夫婦だったのだ。夫婦という、 血縁でも必然でもないこの不確かな関係の、強い結びつきの妙を思う。

オカンの闘病以降はもう、こみ上げる思いに涙が止まらない。泣きはらしながらも、文字を追うことをやめられない。おそらく筆者も、 何度も何度もくり返し思い起こしては号泣し、大切な人を失ってしまう悲しみと悔しさと後悔に身をもみながら、書き綴ったに違いない。
大切な人の死に立ちあうと、思わずにはいられないことがある。幸せだったのかな、と。
そして答えのない問いに、それでも自分は自分の人生を生きていくしかないことを知る。
自分が今ここにいること、それは親、その人がいたからなんだと心に刻みながら。
そういう形で、命はつながってゆくんだなぁ。そんなことを思った。
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2003年05月02日

 王様の耳はロバの耳 / 渡辺一枝


王様の耳はロバの耳

王様の耳はロバの耳

  • 作者: 渡辺 一枝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1990/04
  • メディア: 単行本


一枝さんが日々の中で感じた、とりとめのない小さな打ち明け話いろいろ。
電車の中で見かけた失礼な人だとか、事情は分からないけれど見てしまったいさかいだとか、聞くともなく耳にしてしまった会話から思い出すことだとか。
そう、本当にどうということのない、小さなできごと。だけれど、ひとりでおなかにためているのは苦しい、誰かに話してしまいたい、 そんな話をまるで日記でもつづるように語っています。

私なんぞもよくやる、「ちょっと聞いてよー!」というヤツなのだけれど、私ならば「腹がたってしょうがない」となりそうなところが、 一枝さんにかかると、「なんだか哀しくなってしまった」ということになる。
腹がたてば怒りもするけど、とても客観的に自分とその周りを見ていらっしゃるように感じる。
そしてヘンクツなほど、自分のやり方というものがしっかりある。
すてきな女性だなぁ、こういう風に歳を重ねたいなぁと思う。
気持ちはそう簡単に理性で割り切れないけど、「あ、そう思えばいいんだ」「そういう取り方もあるわね」と、少しだけ向きを変えてやれば、 人に対しても自分に対しても、柔らかな気持ちでいられるかもしれないな。言うは易く、行なうは難し・・・だけど。

それにしても、タイトルとなったギリシャ神話、「最後は王様が雄牛の血を飲んで死んでしまった」というのは、知らなかったな・・・ 原典はずいぶん厳しいお話のようです。
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2003年04月04日

 いちえさんの春・夏・秋・冬 / 渡辺一枝



一枝さん流四季折々の楽しみ方をつづった、暮らしのエッセイ集。
春の土萌える匂い、初夏の若葉、夏の夕立や花火、秋の月、冬の風、そしてまためぐり来る春の予感。 
流行やお仕着せの慣習にとらわれず、 自分流の年中行事やハレの日を大切にしている一枝さんの1年は、いつも季節と共にある。
毎日をていねいに暮らすことは、こんなにもすてきなことなんだと改めて気付かせられる。

この本は、自然の恵みををたっぷり楽しみ、心浮き立たせて暮らすために知恵にあふれている。
そして、野山の草花の調理法指南書でもある。
こんなにも食べられる草花があるというのは、驚き。
特に春の野山は食材の宝庫のようだ。
一度作ってみたいと思うのが、きんもくせいの花の砂糖漬けと、ヘビイチゴで作る虫刺され薬。 先日、田んぼのわき道でヘビイチゴの花が咲いている場所をチェックしておいた。
実が成るのは来月くらいだろうか?楽しみだ。
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