2024年07月06日

 方舟

方舟 - 夕木春央
方舟 - 夕木春央

何やら最後が驚きらしいという大人気ぶりに煽られ、ようやく手にした本書。
閉鎖空間で起こるあれこれと殺人事件、よくできたミステリでした。
好感の持てる探偵役でしたが、淡々と進む物語の先には、後味の悪い衝撃の幕切れ。
怖いのは結局…ってことですかね。
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2024年01月08日

 無人島のふたり

無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記― - 山本文緒
無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記― - 山本文緒

もう20年も前のころ、大好きでむさぼるように読んでいた文緒さん。
鬱の闘病の時期より離れてしまい、この本が最後だったことにも最近まで気づかなかった。
胸が詰まるような思いで号泣しながら読みました。
書くことが文緒さんの生きるよすがだったんだなぁと、今更のように思いながら。
余命を知らされる事態になったら、自分は何を杖にできるだろう。

まだ少し、読んでいない文緒さんの本があります。
読んでいこうと思う。
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2023年09月26日

 三人書房

三人書房 (ミステリ・フロンティア) - 柳川 一
三人書房 (ミステリ・フロンティア) - 柳川 一

乱歩がデビュー前の平井太郎だった頃、弟ふたりと営んでいた古書店で繰り広げられる、謎解きの物語。
同時代に活躍した実在作家や画家たちとの穏やかな交流から、こんな風に探偵小説にこだわった乱歩が生まれたのかもと、何やらロマンチックな想像も。
『秘仏堂幻影』の考察が面白かった。
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2022年08月16日

 431秒後の殺人

431秒後の殺人: 京都辻占探偵六角 (ミステリ・フロンティア 112) - 床品 美帆
431秒後の殺人: 京都辻占探偵六角 (ミステリ・フロンティア 112) - 床品 美帆

辻占を得意とする六角法衣店の若き店主と新米カメラマンが、京都を舞台に遭遇する事故や事件の謎を解く連作5編。
最初の出会いは最悪な印象、けれど事件に遭遇するごとに親しくなっていく六角と安見の掛け合いが楽しい。
事件もはいずれも、謎が解けてみれば思いのほか深い悪意や裏切りに気持ちがえぐられるが、最終話は六角自身の抱える問題が決着するきれいな落とし方でほっとした。
京都らしい風情が感じられるところも好み。
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2019年09月24日

 つみびと

つみびと (単行本)
つみびと (単行本)

実際に起きた事件を下敷きにした物語だという。
行き着く先を知っている、幼い子供目線の〈小さき者たち〉の章があまりにも健気で痛ましい。
では誰がどうすれば、子どもたちは助けられたのか。

先が予想できていながら彼女と子供たちに関心を持たなかった者に罪はないのか。
子どもを置き去りにした母を人でなしと呼んで切り捨てるのは簡単だ。
普通ではない、自分とは違うと。
けれど彼女も人に大事にされたいと願い、子供らしい子供時代を持たないまま、だからこそ自分の子供たちを宝物と思う、そんな人だったのに。

たぶん育った環境とか年齢や立場で、誰を悪者にしたくなるかは分かれると思う。
もちろん許されることではない。
でも逃げたくても逃げられなかったから追い詰められてしまった。
そんなふうに育てた母も鬼か、ならばその母もまた虐待を生き延びた人ならどうだ。

血だというのは違う。
でも環境のせいで連鎖するものはあると思う。
蓮音は生き直すことができるだろうか。
何だかとてもつらかった。
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2018年04月17日

 ルビンの壺が割れた

ルビンの壺が割れた
ルビンの壺が割れた

フェイスブックのメッセージでやり取りされる男女の会話で進む物語。

30年近くも前の結婚式当日に、花嫁が失踪したという過去を持つ2人。
過去は過去のこととして懐かしむ文面が続く…のかと思いきや、次第にドロドロとした人間関係、家族の秘密、彼女の真相等が明かされていきます。
嫌な気分になりながらも先が気になって一気に読み進み、結末には驚かされました。
が、そもそもこういう経緯で別れた相手とは、二度と関わりたくないと思うのでは…
それを言っちゃおしまいか。

帯はちょっとあおり過ぎな感ですが、薄いしさくっと読めて楽しめました。
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2018年03月14日

 迷い家

迷い家
迷い家

大戦末期、集団疎開先で行方不明になった妹を探しに神が棲むという山に分け入った心造は、御殿のような巨大な屋敷に遭遇する。
異界となった屋敷で妹を探しながら脱出を試みる心造はやがて、ある悲願に取りつかれていく。

という、民話伝承や怪異譚が好物な私にはドストライクな、マヨイガ譚。
しっぺい太郎が語る屋敷の来し方は壮大で、桃源郷のような描かれ方とはまた違った魅力があります。
屋敷内の霊宝それぞれが物語を持っていて、来歴のわかる物わからない物どちらにもわくわくしました。

ただ少年が嬉々として化け物と闘うようになってしまうと、また方向が違うのかなという気もしてきて・・・
極端な価値観に取りつかれたまま、時の流れに取り残された心造少年が恐ろしくもあり、哀れでもあります。
化け物に悲哀があれば人に闇もある、その狭間を垣間見たような物語でした。
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2015年04月09日

 ぼくのニセモノをつくるには

ぼくのニセモノをつくるには -
ぼくのニセモノをつくるには -

ロボットを自分の身代わりにして、やりたくないことをやらせようと考えたけんたくん。
完璧な自分のニセモノにするためには、まず自分のことを知らなくては。

最も身近なのに意外とわかっていない、『自分』について考えてみよう、というような本です。
これを正面切って「はい考えてみましょう」とやると、面倒くさいなぁと思っちゃうけど、それを説教臭くなく伝えられるのがすばらしい。
絵もユニークだし、子供にはきっと楽しい本でしょう(そしておそらく対象は子供でしょう)が、大人が読んでも素直に楽しめるのがいいね。
何といっても、似せるといえばほとんどの場合まず外見からと思うのに、考え方とか気持ちとか、そういうことから似せようという発想がおもしろい。
深く考えること、想像することの楽しさも味わえます。

そして、哲学的だなぁなーんて小難しく考えていたら、脱力ものの落ちにやられました。
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2014年10月23日

 本屋さんのダイアナ

本屋さんのダイアナ -
本屋さんのダイアナ -

『赤毛のアン』に苦手意識があります。
そのせいで、現代の赤毛のアンという見出しで若干、イメージが曇ってしまったかも。

環境のまったく違うふたりの少女が、離れたり寄り添ったりしながらお互いを尊重し合っていく、いいお話だと思う。
でも娘に大穴なんていう漢字を当てるのはやはりどうかと思うし、どんな身形でも本をたくさん読んでいるなら本当は賢い、という図式も好きじゃない。
上品に育った子が変わるきっかけになったことも、ずいぶんと残酷だよね。
とまあいろいろ細かいことが気になってしまって、いいお話なんだけど、うまく入り込めなかった。
好きな人は好きだと思うんだよね、すごく真っ当だし。
良かった!という人が多いのに共感できないのは残念だけど、好みの問題だから仕方ないか・・・
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2014年06月19日

 吉祥寺よろず怪事請負処

吉祥寺よろず怪事請負処 -
吉祥寺よろず怪事請負処 -

大叔父の経営する吉祥寺のガーデンショップに居候している大学生の保。
なぜか不思議なできごとに巻き込まれては、同居の庭師・啓介に助けられている。
どうやら彼には特別な力があるらしい・・・
という、庭や草木と人との思いがゆきかう物語。

無自覚の巻き込まれ体質青年がずいぶんと子供っぽく感じられて、これはちょっと選択を誤ったかと思ったけれど、啓介の人となりが見えてくるあたりから面白くなってきた。
それにしても、物にも思いが宿ることがあるのだから、生きている木ならなおさらというのはわかるんだが、木が怖いというのは考えたこともなかったな。
桜の木は凶暴なのか・・・だから桜にまつわる逸話は怖いのか。
そんなあたりにちょっと興味をひかれました。
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