迷い家大戦末期、集団疎開先で行方不明になった妹を探しに神が棲むという山に分け入った心造は、御殿のような巨大な屋敷に遭遇する。
異界となった屋敷で妹を探しながら脱出を試みる心造はやがて、ある悲願に取りつかれていく。
という、民話伝承や怪異譚が好物な私にはドストライクな、マヨイガ譚。
しっぺい太郎が語る屋敷の来し方は壮大で、桃源郷のような描かれ方とはまた違った魅力があります。
屋敷内の霊宝それぞれが物語を持っていて、来歴のわかる物わからない物どちらにもわくわくしました。
ただ少年が嬉々として化け物と闘うようになってしまうと、また方向が違うのかなという気もしてきて・・・
極端な価値観に取りつかれたまま、時の流れに取り残された心造少年が恐ろしくもあり、哀れでもあります。
化け物に悲哀があれば人に闇もある、その狭間を垣間見たような物語でした。