2025年10月14日

 愛がぼろぼろ

愛がぼろぼろ - 爪切男
愛がぼろぼろ - 爪切男

初読み作家さん。
父親に殴られる少年と、その周囲の大人たち、友だちとの物語。
タイトルからは想像しにくい内容だけれど、確かにこれは愛の物語なのかもしれないね。

理不尽に殴られ続けて、それでもひねくれることなく、くもりのない目で人を見ることができるってすごいなと思う。
誰もがたくましい。
共感できる部分が少し辛かったけれど、しんどさをも笑いに変えられるパワーに圧倒されました。
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2024年09月03日

 月ぬ走いや、馬ぬ走い

月ぬ走いや、馬ぬ走い - 豊永浩平
月ぬ走いや、馬ぬ走い - 豊永浩平

ちちぬはいや、うんまぬはいさ と読むそうです。

戦火から現代にわたり沖縄の地に降り注いできたあまたの暴力と苦悩、それを引き受けてきた人たちをめぐる群像劇。
と、まとめてしまうにはあまりにも生々しく、何かの傀儡のように物語をめぐる軍刀が印象的。
読み解けない沖縄の言葉は歌のように耳に心地よいけれど、苦悩はいずれなくなるものと口にするしかないことが、今も続く痛みなのだろう。
それでも、と希望を感じられる結末が良かった。
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2024年08月13日

 グリフィスの傷

グリフィスの傷 (集英社文芸単行本) - 千早茜
グリフィスの傷 (集英社文芸単行本) - 千早茜

千早さんの描く物語は好きだなぁと思っていたのに、ずいぶんと久しぶりになってしまった。

威圧する傷、ためす傷、記憶から離れない傷、記憶から逃さない傷、証としての傷・・・
様々な傷にまつわる10の物語は、時に痛々しくなまめかしく静謐で、ひとつとして同じものがない。

引き受けた本人しか痛みはないのに、多くの場合他者を巻き込む威力があり、すでに痛みを失った跡でさえその力を失わない。
傷の持つ物語、それは間違いなく生きてきた証。
雰囲気がとても好みでした。
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2023年10月18日

 心臓の王国

心臓の王国 - 竹宮 ゆゆこ
心臓の王国 - 竹宮 ゆゆこ

最初の『王国』から、突如現れた謎の少年がどういう存在であるかわかってしまうのが残念。
だとしても、ばかばかしくも懸命で、一番大切なものを壊さないよう傷つかないよう、こぼれだす本音とのせめぎあいにもがく主人公たちのあやうさと輝きは十分伝わってきて、まぶしい。
希望の持てるエンディングだったのも好感。
イシグロ作品を読んでいなければ、また違った感想だったかもしれません。
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2022年08月07日

 N/A

N/A (文春e-book) - 年森 瑛
N/A (文春e-book) - 年森 瑛

自分を制御しているつもりが、周りからは否定して困っている状態とみなされる。
人の気持ちを思いやると、自分が言いたいのとは違う言葉しか出てこない。
好意や優しさで向けられるものが違和感でしかない。
自分を守るための武装にも思えるけれど、その感覚を生き辛さというのは違う気がした。
ただ既読にしよう、それで伝わる距離感はとてもいいね。
すっかり大人なので共感しづらい部分もあるけれど、すごく好きな文章だ。
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2022年05月26日

 東北怪談 〜水辺で魔物が交差する〜

東北怪談〜水辺で魔物が交差する〜 - 寺井広樹, 正木信太郎, 槇戸耀春
東北怪談〜水辺で魔物が交差する〜 - 寺井広樹, 正木信太郎, 槇戸耀春

表紙絵はおどろおどろしさを醸し出しているし、装画もかなり気味が悪い。
東北地方での水にまつわる怪談、ということだが、特に地方地域限定ではない内容の話もちらほらだった。
個人的には、演出少なく淡々と事実だけを語る口調の方が好みかな。
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2022年04月05日

 すこしずるいパズル

すこしずるいパズル - たつなみ
すこしずるいパズル - たつなみ

記号かと思えば文字だったり、別方向から、組み合わせて、時にはイラストが関わっていたりもする、かわいらしいずるさのパズル。
コツを覚えるといい線までいけたりしますが、むむむとうなるばかりの物も。

なにしろ頭が固いので、弱点を突かれまくるような楽しさでした。
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2022年03月29日

 夜行堂奇譚

夜行堂奇譚 - 嗣人
夜行堂奇譚 - 嗣人

必要な人しかたどり着けない曰くつき骨董店、夜行堂。
その女主人も見かけとは違う何かで、隻腕の視える青年、怪異担当の県庁職員というコンビが怪異に巻き込まれるという魅力的な設定。
それぞれの話は面白く、謎が残されているのも気になります。
しかし肝心の夜行堂、これはホリックそのままでは…という点がとても残念。
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2022年03月09日

 7.5グラムの奇跡

7.5グラムの奇跡 [ 砥上 裕將 ] - 楽天ブックス
7.5グラムの奇跡 [ 砥上 裕將 ] - 楽天ブックス

眼科には長年定期的にお世話になっているので、あの機械はそんな名前だったのか、しかし視能訓練士という職業は知らなかったなぁなどと、とても興味をそそられました。

不器用だからこそひとつの道を突き詰めることを選んだ、新米機能訓練士の野宮。
問題の本質は、症状の出ている場所にあるとは限らない。
患者にとって直視したくない自分自身といった、とてもセンシティブな部分に向き合わなければならないこともある。
それでも機械を通してまっすぐ瞳を見つめ、患者の困りごとに寄り添うような彼の姿勢が心に残りました。
医師や先輩たちの、見守るような温かさも良かった。

気になったまま未読の前作も、読んでみようかな。
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2019年11月27日

 まほり

まほり
まほり

戸籍上痕跡のない母親のルーツをたどり、大学生の勝山が出身地近くの村に伝わる都市伝説の調査を進めると、浮かび上がってきたのは飢饉と差別の歴史。
そこに関わる蛇の目紋の謎を追ううち、閉鎖的集落に囚われた少女がいるという情報を得る。

民俗学ミステリという大好物の分野ですが、なかなかの厚みでした。
飢饉関連にもかなりのページ数が割かれていて引き込まれましたが、圧巻は言語学の桐生先生。
口下手なのに口さがないという強者で、素人の間違いをバッサリ切り捨て、図らずも謎の真相を暴きだし、専門分野に怖い物無しの小気味よさでした。良いなぁ、桐生先生。
物語自体も、膨大な薀蓄を除けばシンプルに落ち付くべきところに落ち着いた納得の結末で、後味も良い。
既刊にも興味がわきます。
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