2022年12月05日

  invert II 覗き窓の死角

invert II 覗き窓の死角 城塚翡翠 - 相沢沙呼
invert II 覗き窓の死角 城塚翡翠 - 相沢沙呼

嵐の山荘で八方塞がりになった少年の話、翡翠がある殺人事件のアリバイ工作に利用される話の2話。

少年の話は翡翠に手玉に取られる様子がおかしくて、でもそれだけではないネタの仕込まれた一編。
2話目は、これまでの話とは少し雰囲気が違う、読み応えのあるものだった。
翡翠の、はわわてへへろこっつんこが相手を揺さぶる手段だとわかっていても、どうにも苛立たしく感じてしまっていたが、本編はこれまでにない「友達」という関係への期待と自身の覚悟に揺れる、素の部分が魅力的。
秘密の多い翡翠だけど、キャラクターが掘り下げられていくのも楽しみ。
表紙絵は、あの時の一枚ですよね。これも心憎い演出だなぁ。
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2022年04月28日

 invert 城塚翡翠倒叙集

invert 城塚翡翠倒叙集 - 相沢沙呼
invert 城塚翡翠倒叙集 - 相沢沙呼

タイトルの意味は反転、逆転。
犯人が分かっている事件のHOWを解き明かす倒叙3編。

例のごとく、ふわふわした容貌で、はわわ〜とうっかりさんを演じながら犯人を追い詰めていく過程はお見事。
ただ推理は楽しめるけれど、このあざとさがどうも苦手なんだなぁ
翡翠の推理小説語りも筆者ご自身の気持ちなんだろうけど、そりゃ悪かったね、私は普通の人ですからねと思うし。
それを言うなら3編目は驚き小説ではないんですかね・・・

と文句を言いつつも、続編が出れば読んでしまうのでしょう。
若い奇術師の女性が登場しますね。
あれはもしや?と思ったりするのも一興。
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2021年03月07日

 教室に並んだ背表紙

教室に並んだ背表紙 (集英社文芸単行本) - 相沢沙呼
教室に並んだ背表紙 (集英社文芸単行本) - 相沢沙呼

教室での居場所をなくした少女や生きづらさを感じている少女たちが、学校司書のしおりさんに導かれて自分の物語を紡ぎ出す連作短編。

ずらっと並んでいるだけでは中身のわからない本の背表紙を、一見個性の見えにくい制服少女たちになぞらえるところは、なるほどなぁと。
自己肯定力の低い子たちが多すぎて少々辛かったけれど、本への導き手というだけでなく、少し経験を積んだ大人として目線を合わせて寄り添ってくれるしおりさんという存在に救われました。
自分も10代の頃にこんな大人に出会いたかったな。
いわゆる若者言葉と、話し言葉にしては気になる丁寧さが混在している点がちょっと気になりましたが…ミステリな仕掛けもあって、楽しめました。

そもそも本を読むのは「偉い」ことだという感覚が、読書や図書館を近寄りがたくさせ、
漫画なんか読んでるから…という言葉になるんだろうけど、とんでもない偏見。
物語も漫画もアニメも、表現方法が違うだけ。
でもやっぱり、物語も読んでみてーと言いたくなる気持ちもちょっとわかるんだよね…
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2015年01月12日

 スキュラ&カリュブディス

スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫) -
スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫) -

『新伝奇ミステリ』に、これまでとは違う作風をちょっと期待して読んでみた。
確かに人外がらみでエログロテイストもあり、ふとももチラリ程度だった作者にしては冒険でしょう。
人体崩壊の描写などはなかなか。
でも結局、主題は変わらないのよねぇ・・・自己卑下とか自分探しとか。
結末も、ある意味予想外ではあるけれど、嫌な感じに裏切ってくれるしね。
もやもやします。 やはり若年層向きということかな。

そんなこんなの少女乱舞のなか、異質の大人として登場する探偵。
本作では出演の意味があるのか?と思うけれど、続編ありきなのかもしれません。
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2014年02月08日

 卯月のレター・レター

卯月の雪のレター・レター [単行本] / 相沢沙呼 (著); 東京創元社 (刊)

既刊のいじけっぷりに少々嫌気がさしていたので、もういいかなと思っていたところ、「今回はいつもと違う」という評判に期待して。

ささいなことで気持ちの浮き沈みが激しい少女期を、繊細にくみ取る物語たち。
相変わらず自己評価が低く、身近な人と比べて何事もすぐ悲観視する主人公・・・今回もやっぱり、ですかと思った。
が、ちょっと目先が変わってきたかも。

母校での教育実習中に出会ったひとりの生徒との「狼少女の帰還」が良かった。
そうそう、若さってのは殻を破るためにあるんだよ。
そして表題、祖父が受け取った手紙の謎を探る「卯月のレター・レター」
主人公の性格や物語のパターンは似たような感じで、「わたし、どうやって、生きればいいですか」なーんてセリフには、はったおしたろかと思った。
でも、謎めいた岬さんや姉といったひとたちに導かれて、その先にあるはずの希望とか夢とか自由とかがほの見えてくる。
気付いてほしい。赤い糸のはしっこは、きっともう手の中にある。
読みおえてはふんわりと優しい幸福感。良かった。
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2013年10月12日

マツリカ・マハリタ

マツリカ・マハリタ (単行本) -
マツリカ・マハリタ (単行本) -

シバワンコとマツリカさんのシリーズ。

相変わらず得体の知れないマツリカさんと、意味深な「一年生のりかこさん」という怪談話。
なんだかんだ言いながら、柴山にも友達らしき人たちができたみたいなのに、相変わらずのいじけっぷり。
そりゃ自分に自信がないとか、居場所がないとか感じる気持ちはわかるけど、そこまで卑屈になる?
わかるよその気持ち、自分も同じだからと手を伸ばすのも、優しさというよりは相憐れむみたいで。
そういう面にうんざりしてしまって、謎解きに気持ちが回らなかった。

マツリカさんへの妄想だけはおもしろかった。
彼女のことは気にならないでもないんだけどなぁ・・・
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2012年05月24日

ココロ・ファインダ 

ココロ・ファインダ [単行本(ソフトカバー)] / 相沢 沙呼 (著); 光文社 (刊)

写真部の女子高生たち4人が、カメラを通じて自分自身、友達と向き合っていく物語4編。

誰しも、人と比べて足りないと思う部分はあるし、ましてや高校生では大人になった自分を思い描くことも難しくて、不安や迷いが多いのも当然。
でも、だからこそ何にでもなれる未来があるわけで。

気持ちは、わかる。とても。
同じような暗い思いに心当たりがないこともない。
でもねー、それにしてもこの子たち、自己評価が低すぎませんか。
どうせ自分なんか、というのが表に出すぎてしんどい。
まぁ青春っつーのは、そういうぐだぐだうじうじしたもんだったかもしれませんが。
そしてそれぞれの先には、少し明かりも見えるんですが。
誰かが自分に価値を見出してくれるから、ではなく、自分自身でそれを勝ち取ってほしい。

口ベタ引っ込み思案の自己卑下キャラ。
そろそろそこから脱出してほしい気もします。
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2012年04月07日

マツリカ・マジョルカ

マツリカ・マジョルカ [単行本] / 相沢 沙呼 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)

「ザ・ベストミステリーズ2011」で「原始人ランナウェイ」を読んだとき、謎解きの過程で見える何気ない悪意、軽い気持ちが引き起こす残酷さを感じたのだけど、続く本作にも似たような傾向が。
祐希は先行シリーズのポチくんと似たタイプだけど、内向を通り越して卑屈なのがちょっとしんどなぁ。
続編前提のできあがりですね。
マツリカさんの正体が知れない分、先が気にはなりますが。
小西さんみたいな細やかなのにさばさばとしたキャラクターにも活躍してほしいところです。
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2012年02月26日

ロートケプシェン、こっちにおいで

ロートケプシェン、こっちにおいで [単行本] / 相沢 沙呼 (著); 東京創元社 (刊)

マジシャン高校生・酉乃が、身近に起きた謎を解く連作の第2弾。
「赤ずきん」にまつわる謎解きはあるんだけど、そこに結びつく気持ちのすれ違いとか煩悶がメインな感じ。
同じ年代の人なら、ああわかるーってなるんでしょうか・・・高校生って、こんななの?
こんなにもひとりになるのが嫌で、さびしがりで、そうまでして周りに合わせなきゃならないのかと、ちょっと不憫に思えてしまった。
なんだろなー、みんな自己評価がものすごく低いね。
誰だって傷つくのは怖いけども、自己卑下は何も生まないよ。って肩をバンバン叩きたくなりました。
そういう苦さはあったけれど、自分のため、友達のために奔走する須川くんたちにはやはりぐっときたなぁ。あまりにもじれったい恋の行方も最後にはちょっと進歩のきざし?というところだし。
この先には、もっと自分の殻を破った酉乃を見てみたい。
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2010年02月04日

午前零時のサンドリヨン 


午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン

  • 作者: 相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/10/10
  • メディア: 単行本


高校入学してすぐ須川くんが惹かれたクラスメイトの酉乃初は、学校の外ではマジシャンという全く違った顔を持っていた。
そして学校で起こった不思議な出来事を、マジックを使って謎解きする。

学校では秀でた才能も表情も隠し、人との関わりを避けるような初。
一目ぼれの須川くんが恐る恐る初との距離を縮めようとすることで、彼女もまた閉じこもったところから引っぱり出されていく。
須川くんは王子さまとしては若干役不足だけれど、初の古風で頑なな感じがとてもかわいらしい。
自分が何者なのか存在価値に迷い、何者になれるのか悩み、迷う少女たちも魅力的だ。
過剰だったり足りなかったり、人との関わりを計るのは難しいけれど、だからこそかけがえのない繋がりも得られるわけで。
いいね。うつむいた顔を上げさせてくれるような、この心地良さ。
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