2024年05月06日

 彼女がそれも愛と呼ぶなら

彼女がそれも愛と呼ぶなら (幻冬舎単行本) - 一木けい
彼女がそれも愛と呼ぶなら (幻冬舎単行本) - 一木けい

母親と母の3人目の恋人氷雨、高校生の娘千夏と初めての彼氏、そして友達との関りに、心揺さぶられる場面が多々あった。
自分のために、を優先できない妻の気持ちもわかりすぎて痛かった。

愛とは相手を自由にすること、それは本当にそうだと思う。
けれど人を好きになる時には、恋だったり情とか庇護欲とか、人を縛って離れがたくする気持ちも同時にやってくる。
だから人との関り方は、自分がどう生きるかで選びとっていくしかない。
失敗したり傷つくこともまた、生きている証。

色々な恋愛のカタチがあったけれど、千夏が花梨との友情を取り戻したことが、一番晴れ晴れしく思えた。
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2020年07月30日

 全部ゆるせたらいいのに

全部ゆるせたらいいのに - 一木 けい
全部ゆるせたらいいのに - 一木 けい

アルコール依存症と家族の問題がテーマ。
理知的で穏やかだった人が、慣れない仕事をきっかけにお酒にのめり込んでしまう。
父親には、人を見下すことでしか自分を肯定できない弱さが見える。
夫・宇太郎は、父親どころか大人にさえなりきれていない幼さだ。
ただ、お酒さえ飲んでいなければ。

依存症は残酷だ。何をきっかけに豹変するかわからない、緊張から逃れられない日々。
飲めば判断力も吹き飛び、大切なものを全て失うまで止まれない。
父親は、娘のため孫のためと何度も断酒を決意しては、果たせなかった。
期待して、裏切られて諦めて、諦めることで自分も傷ついて。
ほんの少しの暖かな記憶があるだけで、全てを捨てきれない。
危ういくせにこんなにも強く人を縛る、親子という繋がりに心揺さぶられます。

それでも愛を諦めなかった千映の強さは、悲しみを繰り返さず、変えていけると思いたい。
いつか、許すことさえ忘れられるように。
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2018年12月10日

 1ミリの後悔もない、はずがない

1ミリの後悔もない、はずがない
1ミリの後悔もない、はずがない

久しぶりにぐうっと心を掴まれるものを読んだ気がする。
中学二年でクラスメイトとして出会って、好きになって、相手も自分を好きになってくれて、初めて人に大事にされることを知って。
そんな由井と桐原、そして彼らの周囲の人たちの物語。

由井と桐原の日々は誰かを好きになることの幸せであふれんばかりだ。
けれど遠く離れてしまう。子どもだったから、どうしようもないことが多すぎた。
この子供時代の閉塞感と、それを打ち破るほどの恋のきらきらは、いつの時も変わらない。

いろいろあって結局別々に生きているけれど、その選択を由井は後悔していないんだなとわかる。
ただ、あの時の記憶が自分を支えてくれて、今の自分を形作る一部でもあるというのは、彼女ひとりの胸の内に秘めた宝物だということ。
だからこそ、隣にいることのできなかった相手の幸せを願うのでしょう。
全く別の道を歩みながら、彼女の夫もまた自分の兄弟に対して同じ思いを抱いているのが印象的でした。

後悔って、取り返しがつかないことを言うんだよ。
どんなに悔やんでも二度と戻れないこと、やり直せないこと。
それもまた自分の一部として、強く生きたいものです。
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