2025年11月02日

 18マイルの境界線

18マイルの境界線 法医昆虫学捜査官 - 川瀬七緒
18マイルの境界線 法医昆虫学捜査官 - 川瀬七緒

ずいぶんとお久しぶりの、法医昆虫学捜査官シリーズ。
関連不明な2か所から、同一犯によると思われる身元特定が難しい遺体が発見、と今回も発端はかなりショッキングです。
しかし岩楯をはじめ警察内部にも赤堀の能力への信頼が少しずつ広がっているようで、虫を介しての調査もかなりスピーディに進むようになった気がします。
さらに羽多野さんやプロファイラー広澤さんといったプロの活躍ぶりが加わるのも見どころ。

キノコから突破口を見つける過程が特に面白かったけれど、たどり着いた真相はあまりにグロテスク。しかも二重の意味で。
人はどこまで身勝手で残酷になれるのだろうと空恐ろしくなります。
虫以外はまるでポンコツな赤堀のキャラクターに救われているのかもしれません。
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2023年06月16日

 四日間家族

四日間家族 (角川書店単行本) - 川瀬 七緒
四日間家族 (角川書店単行本) - 川瀬 七緒

ネットで集まった自殺志願の4人が、思いがけず保護した赤ちゃんのため疑似家族として奔走した4日間の出来事。
最初の人物像が誰もかも最悪でどうなることかと思ったけれど、それぞれの思いがけない一面をチラ見せしつつ、次々と降りかかる問題に追い立てられるように物語は展開、一気に読んでしまった。
背景のおぞましさの割にテンポは軽めだが、そこが読みやすさでもあり、後味が悪いよりは、と思う。
何となく小気味よい終わり方で、楽しめました。
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2018年09月09日

 紅のアンデッド

紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官
紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官

法医昆虫学捜査官シリーズ6作目。
遺体の無い殺人現場に残された指3本。
そこにあったわずかな差異を虫の側からどうやって探っていくのか、というのが見どころの本作。

遺体なき血の海。吠える犬。近所との確執。23年前に起きた事件との関連…
そして今回のキーマンはアオバアリガタハネカクシ、別名やけど虫。
いつも以上に満身創痍の赤堀ですが、捜査の過程で彼女のプライベートの一端が明かされることとなり、雰囲気の違う面も。
シリーズが進めば彼女の過去やプライベートも見えてくるんだろうな、とは思っていたものの、いきなりディープなトラウマものってどうなの。
何にしても岩楯刑事とのしっかり築かれた信頼関係(仕事の面においてのみ)が頼もしくはあります。

虫に導かれて、思いもよらない真相にたどりつくという醍醐味はいつものごとく。
もちろん事件解決には、足で稼ぐ刑事たちの地味な捜査があってこそなんだけど、心理学分野を扱う部外者的扱いの同僚も加わって、この先も楽しみです。
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2017年08月26日

 フォークロアの鍵

フォークロアの鍵 -
フォークロアの鍵 -

民俗学を老人の消えない記憶から研究するため、つてを頼って認知症のグループホームに通い始めた大学院生の千夏は、老人たちがふと口にした言葉を拾い、古い記憶を聴き取っていきます。

過重労働でも入所者に寄り添おうとする職員や、ひたすら管理しようとする肩書付カウンセラー、問題はあっても人としての尊厳を大事にしたい千夏。
それぞれの立場や考えを通して、理想通りにはいかない介護現場の一端が描かれます。
資格もなく部外者の千夏が動いては、カウンセラーと衝突したり。
こんなわかりやすい敵味方という形はないでしょうが、屈託なく老人に声を掛け、気が付けば懐に入り込んでいる千夏の人柄が魅力的で、思わず応援したくなります。

やがて、夕日を見るとなぜかホームから抜け出そうとする老女、そして彼女が口にした言葉の謎を追うことになるのですが、この畳みかけるように謎を追う過程が一番楽しかった。
不思議な言葉の探索が古い記憶に繋がり、さらに・・・という思いがけない展開に興奮。

一方、上昇志向の強い母親の言いなりに高校まで進学した大地17歳、ようやくというかついに行き詰まり、縁あって千夏の調査に協力することに。
彼の成長譚という面もありますが、さあどうでしょう・・・盛り込むならむしろ千夏の方が興味を持てたかも。
何しろ情報はぽっちゃり体型ということぐらいで・・・言動はキビキビしていて、そういうイメージじゃないんだけどなぁ

総じて、人物像がわかりやすい。
悪者は悪者らしく、嫌な奴は徹底的に嫌な奴で。
千夏はまだ未知数の部分が多いかな。好感度は抜群ですが。
何より「進行性の認知症」で「何もわからない」問題ありの老人たちが、憎めなかったり愛おしくなったりと、それぞれにいい。

これまで、昆虫学シリーズ以外はなぁ・・・と期待薄でしたが、良かった。
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2016年12月30日

 潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官

潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官 -
潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官 -

伊豆諸島の小島でミイラ化した遺体が発見され、検屍の結果は死後三ヵ月以上となる自殺。
しかし調査を依頼された赤堀の見立ては、警察の見解とは全く異なるものだった。

といういつも以上に謎めいた序章。
奇妙な状態で発見された遺体、つじつまの合わない虫相、そしてなぜ若い女性が遠い島でそんな最期をとげる羽目になったのか・・・そんな状況を、虫の後を追うことで真相に迫っていく姿に引き込まれます。
とはいえ決して好きとは言えない虫なので、うえぇとなる場面も時々は。
吸虫管とか、アリの雨とか・・・ね。
加えて今回は、閉鎖的な島に伝わる禁忌などやがて明かされてくる背後の闇が深く、読み応えがありました。
生きづらさからの救済を求めた女性に、非情にもかけられた二重の企みを思うと、何ともやりきれませんが。

相手が人でも犬でも虫でも垣根なく、子供のように目を輝かせて懐に飛び込んでいく赤堀。
利己と効率の信奉者だった島の警察官が影響を受けて変わっていくのも、無理からぬところですが、開けっぴろげに見えて自分の事は何一つ語らない彼女にも、何かしら抱える物はあるのでしょう。
犯人に対してさえその先を憂い、どうしてあげたらいいのかと口にする彼女に、人柄が窺えます。

ずっと続いてほしいシリーズですが、いずれ法医昆虫学の今後という点で一波乱あるのかも。
それも含めて楽しみです。

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2014年08月09日

 水底の棘

水底の棘 法医昆虫学捜査官 -
水底の棘 法医昆虫学捜査官 -

湾に近い荒川河口で思いがけず遺体を発見することになった、赤堀涼子。
遺体の身元特定が難航する中、解剖医や鑑識とは全く違う見解を示した赤堀は岩楯警部補とともに別方向から捜査をはじめた。

シリーズ3作目。
赤堀先生の探求は昆虫にとどまらないんですね。
見たこともないような生物が登場しても、反則感の全くないところがすばらしい。
一気読みでした。
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2013年05月11日

シンクロニシティ

シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官 [単行本(ソフトカバー)] / 川瀬 七緒 (著); 講談社 (刊)

今回も、科学的な捜査と土着のいわく因縁が絡む、凝ったつくり。
何といっても、従来の捜査方法からは考えられない方向から確実に進展をつかんでいく赤堀に、わくわくさせられる。
虫コレクターや、怪談の陰に虫ありというくだりもおもしろかった。
直感に従って突き進み、素のままを平気でさらす彼女が魅力的。
強引にひっぱりまわされ、それでも気がつけばするりと懐に入りこんでいて、憎めない。
必要なものを手に入れるためならば、ほめておだてて脅して取引に持ち込む手管も持っている。
なんというか、ひょうひょうとしてたくましい。

岩楯に相棒として指名された月縞も、そんな彼女にいち早く信を置いたひとり。
対人関係に問題ありだった月縞も今後、岩楯といいペアになっていくのかと楽しみだ。
岩楯さん、いい人なのにね・・・夫婦関係の部分はどうでも良かったなぁ。
今のところいい印象しかないだけに、実はかなりの屈折がありそう。
枯杉村側では、藪木の登場のしかたがかなり不気味だった。
ミスリードのためかとも思ったけど、でもある意味事件の核心部分に繋がっていくんだよね。よくできてる。

不可解な遺体発見から、想像もつかなかったクライマックスへ、一気に引き込まれた。
それにしても赤堀って、独走暴走気味なところがあって危なっかしいよ。
地道な捜査活動があっての解決、というところが読み取れるのも良かった。
このシリーズ、まだ続くよね?楽しみ。
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