![いっぺんさん [単行本] / 朱川 湊人 (著); 実業之日本社 (刊) いっぺんさん [単行本] / 朱川 湊人 (著); 実業之日本社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51IXYmJ4%2BnL._SL160_.jpg)
三十年前、どんなお願いでも一回だけなら絶対叶えてくれる、山奥の祠「いっぺんさん」に一緒に願い事をした友だち、しーちゃんの思い出「いっぺんさん」 、
昔話をモチーフに、この世とどこかの隙間に入り込んでしまい二度と戻れなくなった子どもたちの「コドモノクニ」
恋人のいる母に気を使って正月を過ごすした祖母の家で怖いものを見てしまう「山からくるもの」
最後の人柱として山に眠る長馴染みへの追想「八十八姫」ほか4編の田舎を舞台にした不思議な物語。
ちくりと残酷な味わいも好きだが、怖さとそこはかとない哀しみと切なさがいい塩梅の短編集。
自分の居場所がないという寂しさから、二度と戻れないどこかに隙間に入り込んでしまった子どもたちの話が多くて、ちょっと胸が痛んだ。
怖いといえば「山からくるもの」 豹変したおばあちゃんがたまらなく怖い。
一番印象的だったのは最終話「八十八姫」この一編が抜き出て良かった。
大きな犠牲を払ってまで守ってきたものが、いつしか変わり、なくなっていく。
立ち向かう術を持たず自分の無力に打ちひしがれた少年も、やがては大人になる。
それでも想いは薄まるどころかむしろ鮮やかに立ち昇ってくる。
大切なものは今も変わらずそこにある、そう思って残された者は生きていくしかない。
たとえ心からそう思えたのだとしても、なにやら切ないではないか。
二度と戻らないもの、取り返しのつかないこと・・・生きていること自体がそうだとしても。


作品をお好きな方に、是非ご興味を持って頂きたく、唐突なお知らせをお許しください。
http://katarito.blog108.fc2.com/
ご来場いただけましたら、とっても光栄です。
七夕の朗読会・・・すてきですね。
私は遠方なので残念ながらうかがえませんが、
興味を持たれた方は、どうぞ。