2013年08月26日

海の見える街

海の見える街 [単行本] / 畑野 智美 (著); 講談社 (刊)

本田君は市民センターの三階にある図書館で、司書として働いている。
もう10年のベテランだが人づきあいのうまくないところがあって、同期の和泉さんが産休に入ってからは、7年も後輩の日野さんに助けられては情けない思いをしていた。
そこへ和泉さんの代わりにやってきた派遣の春香が、新しい風を呼び込んでくる。

本田君、最初の方はどうにも冴えない印象だった。
恋愛経験もあるようなないような、全てにおいて受け身で、どうしていいかわからなくなると固まってしまう。
三十過ぎでそれはないやろ、インコ可愛がってる場合かと思ったりもしたけど、理解できない異質な状況もはねつけずに受け止めるのは、単に優しいというだけじゃないんだなと見直した。
考えなしのところもあるけど春香ちゃん、確かに可愛げがあるよね。
思ったことをそのまま口にするから人を傷つけたり誤解されることも多いはずだけど、駆け引きなしの素を出せる人って、ある意味うらやましい。

良いだけの人とか、悪いばかりの人なんていないんだな、と思う。
松田君みたいな人は特に。
実際にいれば困った人、という以上に気持ち悪いとたぶん思う。
でも彼が孤独に生きていなければいいなとも思ってしまうんだよね。

ものすごく幸せでも不幸でもない、そのあいだ。
いいことがあったり、ちょっとへこんだり、でもご飯はおいしかったり。
大差なく続く毎日のすきまにうまれる、ささやかな気持ちが、心地良かった。
本田君、最後はかっこよかったよ。
いいなぁ、畑野さん。他の作品も読んでみよう。
posted by てまり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 畑野 智美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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