2006年08月30日

赤い指


赤い指

赤い指

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/07/25
  • メディア: 単行本


子どもが犯罪をおかした家族の物語。
自らの保身のため、いっさいの面倒ごとから逃げ続けてきた父親、エネルギーのはけ口を息子だけに向け溺愛する母親、 そしてそうなるべくして育った自分のことしか考えられない息子。
「どこにでもある家庭を襲った・・・」とあるけど、冗談じゃない。
これは家庭として機能していない特殊な家庭だからこそ起こったことだ。と、思いたい。
しかしよくもまぁこれだけ、どうしようもない不快な人が描けるよね。
弱い立場の祖母にしても、その感は否めない。
一応、刑事がこの家族を追いつめていく心理劇みたいな部分もあるんだけど、たとえ事件が解決しても、残された家族に希望が見えない。こういうのはどうもね・・・
posted by てまり at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 東野 圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この「赤い指」は、加賀恭一郎物の1作で、ミステリ作品ではありますが、単に事件を解けばいいというだけのミステリではありませんね。

物語は、加賀の父親に対する態度に割り切れない思いを抱く松宮の視点と、1人息子が犯罪を犯してしまった、前原昭夫の視点の双方から描かれており、その中に嫁姑問題や老人介護問題、家族の絆など、家族や家の問題が濃密に織り込まれていますね。

殺人を犯しながらも、まるで反省の色が見えない直巳や、そんな息子をかばおうとする両親の姿を見ているのが、とてもつらいです。
それだけしてやっても、息子は親を有難いなどと思うことはないでしょうし、懲りずに同じことを繰り返すでしょうに--------。

そんな不愉快な事件なので、事件が解決して心底ほっとします。
そして、事件の解決が、松宮の心情的なわだかまりの解決と見事に重なっているところがいいですね。
この作品は、松宮脩平という刑事の、刑事として、人間としての成長を描く作品にもなっていると思います。

「刑事というのは、真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するか、どのようにして解明するか、ということも大切なんだ」という加賀の言葉が素敵ですね。
まさにその通りに解決していますね。

そして、上司である小林主任に「しっかり、加賀君のやり方を見ておくんだぞ。おまえはこれから、すごい状況に立ち会うことになるからな」と言われた脩平には、少し面白くない思いもあったかとは思いますが、これは確かに大きな経験となったはずです。

ただ、重いテーマを扱いながらも、非常に読みやすいのはいいのですが、それだけに、東野圭吾さんは、本当は長編ミステリとして、もっと深いところまで書きたかったのではないかという思いも残りましたね。
Posted by 紫陽花 at 2024年02月26日 00:20
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