2012年06月15日

幻想電氣館

幻想電氣館 [単行本] / 堀川 アサコ (著); 講談社 (刊)

現場に遭遇、後をつけて駅裏の妙な映画館「ゲルマ電氣館」に迷い込んでしまう。
そこで映写技師の有働に初恋をしたスミレは、親の伝手を頼ってゲルマ電氣館でアルバイトをすることに。

ダリ髭の支配人、他の人には見えない真理子さん、初恋の相手は偏屈な美形男・・・登場するのは一癖も二癖もありそうな人物ばかり。そして謎めいた映画館。
奇妙でちょっとわくわくするような舞台、なのだけれど。

ゆるく関わる『幻想郵便局』と同様、主人公があの世とこの世の境目で起こるあれこれに関わっていくお話ながら、『郵便局』のような美しさや気持ちにしみいるものはない。
タイトルが示すほどの前時代的なロマンもあまり感じられなくて。
うーん・・・どうもただのドタバタ喜劇のような・・・

児童書、であれば良かったのかもしれません。
期待したのとはちょっと違ったかなという感じ。
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2012年05月09日

少女は卒業しない

少女は卒業しない [単行本] / 朝井 リョウ (著); 集英社 (刊)

廃校となる高校の、最後の卒業式の日。
自分が選んだそれぞれの進路に向けて、大きく道が分かれる時。
発っていく者、見送る者それぞれの想い。

いいなぁ、すごく。心がきゅーっと締め付けられるようだ。
悩み、割り切り、それでも消せない気持ち。
今だからこそ、今しか伝えられない想いが、彼女たちを後押しする。

地方の高校、というのもよくわかる。
大都市は進学するにしろ、自宅から通える範囲にたくさんの学校がある。
地方だとそうはいかない。
進学する人の多くは全国に散らばって、ほんとうにバラバラになる。
高校卒業は本当に、これまでとここからの分かれ目になるのだ。

高校の頃のことが何度も頭をよぎる。
渡り廊下とか部室、三角牛乳、友達、先輩、好きだった人のこと・・・
いいことばかりじゃなかったのに、そういうなんかきらきらした記憶がふっと立ち上る感じ。
私もこんな少女だった、と思う。
こんな風になりたかった、とも思う。
同世代の人が読んだらもっと、自分のことのように感じるだろう。

これまでにケリをつけて、ここからに踏み出す少女たちがまぶしい。
この作家さんにしか描き出せない空気が、とても好きだ。
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2012年05月07日

幽女の如き怨むもの

幽女の如き怨むもの (ミステリー・リーグ) [単行本] / 三津田信三 (著); 原書房 (刊)

戦前から金瓶梅楼、梅遊記楼と名を変えながら続いてきた2軒の遊郭ではいずれも、楼をさまよう幽女のうわさと3人続く身投げがあったという。
戦後、梅園楼というカフェーに変わった楼でも身投げがあり、一連の事件の真偽を探っていた作家の連載も、彼の急死により中断してしまった。
絶筆となった原稿の「解決編」を依頼された刀城言耶は、奇妙な身投げが繰り返される謎を探る。

民俗学的うんちくとロジカルな推理、どんでん返し、そして怪異の余りが少しぞくり。
そんな感じのシリーズだったが、今回はちょっと趣が違う。

時代をまたいで、同じ別館の特別室で続けて3人が身投げ、そして緋桜という源氏名との因縁についての謎解きはある。
日記や2代目女将の話、絶筆となった原稿にその種がまかれていて、ミステリとしてもまぁ、楽しめる。

けれど何より、初代緋桜の日記が圧巻。
戦前から戦後にかけての、貧しくきな臭く混沌としていただろう時代に遊郭で身をひさぐ娘たちの苦しみや悲哀に、胸がつまりそうだ。
多くの女たちの苦悩や慟哭がしみこんだ場所に、さまよえる魂があったとしても無理はないと思える。
だからこそ冒頭の、現実か怪異か不明というくだりになるんでしょう。

怖さも驚きも少ないけれど、物語としてはおもしろかった。
こういうのも、たまには良いです。
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2012年05月02日

PK

PK [単行本] / 伊坂 幸太郎 (著); 講談社 (刊)

『PK』『超人』『密使』、時間軸の異なる3つの話が、遠因や結果となってかかわりあい、いくつもの情景を描き出す物語。

何か大きな力があるらしい。
世の中が「大変なこと」にならないよう見張っていて、何かを試みているようだ。
作家は原稿の改変を要請され、その息子は議員時代にたまたま幼児を転落から救い、大臣になって幹事長から不本意な申し出を受ける。
サッカー選手は八百長を強要され、予言メールによって正義の味方が暗躍する。

何をして何をしないか、その行為ひとつひとつが、それまで影響を受けてきたものすごく多くのことの結果であり、影響を与える原因にもなる。
でもそれが、何にどう影響するのかしないのか、先のことはわからない。
だったら、良しと思うことをやっていくほかないよね。
考えてみれば、癒しや励ましは、自然や音楽、動物などからも得られるけれど、勇気っていうのは人からしか与えられないものかも。
伝播する勇気。いいね。

3編がみごとに絡まり合っているので繋がりの把握にとまどったが、楽しかった。
中でものお気に入りは、次郎君の恐怖体験。
そういう友達を持ったあの作家もまた、くせ者だったのでしょう。
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2012年04月30日

2012年4月の読書

4月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3535ページ
ナイス数:155ナイス

封殺鬼 クダンノ如シ 中 (ルルル文庫)封殺鬼 クダンノ如シ 中 (ルルル文庫)
読了日:04月30日 著者:霜島 ケイ
いまはむかしいまはむかし
読了日:04月26日 著者:安澄加奈
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(2)綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(2)
読了日:04月24日 著者:綾辻 行人,有栖川 有栖
陰陽屋あやうし (ポプラ文庫ピュアフル)陰陽屋あやうし (ポプラ文庫ピュアフル)
読了日:04月22日 著者:天野頌子
硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
読了日:04月21日 著者:貴志 祐介
ザ・ベストミステリーズ2010 (推理小説年鑑)ザ・ベストミステリーズ2010 (推理小説年鑑)
読了日:04月16日 著者:
翼をください (ミステリ・フロンティア)翼をください (ミステリ・フロンティア)
読了日:04月10日 著者:田南 透
高原のフーダニット高原のフーダニット
読了日:04月08日 著者:有栖川 有栖
マツリカ・マジョルカマツリカ・マジョルカ
読了日:04月07日 著者:相沢 沙呼
よろず占い処 陰陽屋へようこそ (ポプラ文庫ピュアフル)よろず占い処 陰陽屋へようこそ (ポプラ文庫ピュアフル)
読了日:04月04日 著者:天野 頌子
遠い町から来た話遠い町から来た話
『The Lost Things』
読了日:04月02日 著者:ショーン タン

2012年4月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
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